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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第九章 美少女でもいじめられる

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学ランブルマ


 今日の給食は、大好きなカレーライスだ。

 いつもならあるだけおかわりしているところだが……今日の俺にはそんな余裕がない。

 それは俺の格好に理由がある。


 周りは長袖の学ランとセーラー服姿だってのに、俺だけ半袖の体操服と紺色のブルマで食事している。

 寒さから手が震えて、スプーンをうまく使えない。

 隣りに座っていた鬼塚が心配して、声をかける。


「おい、水巻……お前、大丈夫か?」

「ん? だ、大丈夫だよ……今日は私の大好きなカレーライスだし……」

「そんなこと言って、全然食べられてないだろ。そうだ、これで少しは暖かくなるんじゃないか?」


 何を思ったのか、鬼塚は机から立ち上がると、学ランのボタンを上から外し始める。

 そして学ランを脱ぐと、自身は白いカッターシャツ姿になった。

 俺が「なにしてんの?」と聞いてみたが彼は何も言わず、脱いだ学ランを俺の肩にかける。


「ほら、袖を通せよ……少しは寒くないだろ」

「あ、うん。ありがとう」


 鬼塚のさり気ない紳士的パフォーマンスにクラス中は、騒ぎ始めた。

 辺りにいた男子生徒が鬼塚へ「お前、水巻のことが好きなのかよ?」とからかっていたが、彼は黙り込んで相手にしなかった。


 まあ確かにこんな寒い状態では、カレーライスを美味しく食べられないからな。

 鬼塚のぬくもりってのがムカつくけど、ここは彼の善意に甘えるとしよう。

 


「まだ使っていていい」というので、午後も俺は体操服姿に鬼塚の学ランで過ごしていた。

 下がブルマだけだから、なんか彼氏の家へ遊びに来た彼女みたいなファッションだな……。

 今日の廊下掃除は俺と鬼塚のペアだったから、二人だけの空間になってしまう。


 特に話すこともないし……なんか空気が重たく感じる。


「あ、そうだ。昨日借りたバスケットシューズ、後で返すよ」

「おお、そっか……でも、お前のセーラー服も見つかるといいな」

「うん。ないと目立つから、ちょっと困るよね……」

「一体誰がそんなことをしたんだ! 俺が犯人を見つけてやるよ!」

「そ、そんな犯人探しなんてしないでいいよ……」

「前にも言ったろ! 泣いているお前の姿は見たくないって!」

「……」


 あの、今日は一度も泣いてないけど。


  ※

 

 掃除が終わって帰りのホームルームが始まる前に、鬼塚へバスケットシューズを返すことにした。

 俺が磨き上げたシューズを笑顔で受け取る鬼塚。


「磨いてくれたんだ、ありがとな水巻」

「いや、こっちこそ……そのずっと制服を借りてごめんね」


 そう言って、彼が着ていた学ランの袖に触れてみる。


「別にいいって。俺はこう見えて鍛えてるからさ……そうだ、お前のセーラー服が見つからなかったら、そのまま着て帰れよ」

「え? それはさすがに悪いよ……」


 と断ろうとした瞬間だった。

 誰かが俺の肩に体当たりしてきて、思わずよろめいてしまう。


「うわっ!」

「大丈夫か、水巻」


 すかさず鬼塚が俺の身体を支えてくれたので、助かった。

 しかし、俺にぶつかってきた相手は謝りもせず、舌打ちをして教室を出て行く。


「ちっ!」


 あれは……鞍手(くらて) あゆみか?

 もしかして、わざと体当たりしてきたのか。

 そうか! 俺と鬼塚が仲良くしていると誤解して、嫉妬したんだ。

 俺って転生しても、損な役回りばっかなんだよ。

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