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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第八章 ディナーデート

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コスパの悪い女


 イタリアンレストラン、”T・REX(レックス)”。

 鬼塚から話を聞いたがオープンして30年ほどの老舗で、地元民から長いこと愛されているそうだ。

 とりあえず、メニュー表を広げてみる。


「う~ん、生パスタが売りなのかぁ……どれにしよう?」


 俺が迷っていると、目の前に座る鬼塚が「今日はおごりだから値段は気にするなよ」と笑う。


「え? なんで?」

「だって、今日はうちの母ちゃんが『水巻にお礼したい』って言ったろ?」

「あ、ひょっとしておばさんが支払ってくれるの?」

「うん! だから水巻はなんでも頼んでいいからな」


 その言葉を聞いて、俺のテンションは爆上がり。

 すぐさま近くにいた女性店員を呼びつける。


「あ、ご注文はお決まりですか?」


 と問われる前に俺はメニュー表を開いて、とある部分を指差す。


「この、たらこパスタとペペロンチーノをビッグサイズでください! あとサラダとケーキとスープもください!」


 一気に注文したから、店員が慌ててオーダーをメモする。


「あのお客様……サラダとスープ、それにケーキもつけるなら、セットの方がお得ですよ?」

「え? でもケーキをこのチーズケーキとショートケーキ。それからフールツタルトも頼みたいんですよ。それでもセットになりますか?」

「いえ、それだとできませんね……」


 俺の胃袋に困惑する店員を無視して、更に注文を追加する。


「それから、ピザも食べたいんですよ。マルゲリータとシーフードをください。えっと……私は以上です。鬼塚はどうするの?」


 と鬼塚の方を見ると、彼は真っ青な顔をしてこちらを見つめている。


「……た、足りるかな?」

「へ? なにが?」

「いや、水巻は気にしなくていいよ。すみません、俺はスープとサラダだけでお願いします」

「か、かしこまりました……」


 なぜか、苦笑いでその場を立ち去る女性店員。


「鬼塚。本当にスープとサラダだけで良かったの?」

「ああ……俺、今減量しててさ。今日はあれだけでいっぱいだよ」

「ふ~ん、やっぱりバスケのため?」

「そうそう……だから、水巻は気にせず食べてよ」


 なんだろ? 彼の態度が一変してしまった気がする。


  ※


「お待たせいたしました。こちら、たらこパスタとペペロンチーノのビッグサイズ。あとマルゲリータとシーフードですねぇ~」


 目の前に並べられた豪華な食事を見て、思わずよだれがこぼれそうになる。


「うわぁ~! どれもおいしそう! 本当にこれ全部私が食べていいの?」

「ああ……俺はお腹いっぱいだからさ」


 彼の前に置かれたのは、小さなサラダとスープのみ。

 よくわからないけど、鬼塚のおばさんが払ってくれるんだし、ここは甘えさせてもらっていいんだよな。


「いただきまぁ~す!」


 鬼塚や優子ちゃんの言う通り、この店のパスタとピザ。どれも外れのない美味い物ばかりだった。

 特に生パスタが素晴らしく、ビッグサイズを二つも食べたのに、俺はおかわりを頼んでしまい、鬼塚がドン引きしていた。

 食後にケーキを出されて、これにも感動を隠せない。


「優しい甘さがたまらん! またおかわりしたくなってきたぁ~!」

「え……?」

「すいませぇ~ん! チーズケーキをもう一つください!」


 それからしばらく鬼塚は黙り込んでしまい、俺ひとりで食リポしていた。


「くぅ~ どれも美味しい! この店、また来たいかも~」

 

 

 俺の胃袋がようやく満たされたことで、鬼塚とカウンターに向かう。

 会計前に女性店員からコートを渡されので、俺がコートを羽織ろうとしていたら、鬼塚が財布を開いて顔面真っ青で固まっていた。


「あ、やっぱり足りない……小遣いを足せば、いけるかな」


 気になった俺は鬼塚へ声をかける。


「どうしたの? お金が足りないなら、私も出そうか? たぶん二千円ぐらいなら財布に入っていたよ」

「い、いや……今日は水巻へのお礼だからいらないよ。大丈夫、きっと足りるから……」


 なんか悪い事しちゃったかな?

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