表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第八章 ディナーデート

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/84

女の子あるある


 鬼塚のおばさんと話し合ったというか、一方的にお礼を言われただけなのだが……。

 どうもかなり疲れていたらしい。そこへ息子たちのいじめやトラック事故などが耳に入り、心を病みそうになった時。

 俺と言うおっさんが藍ちゃんに憑依したため、結果的に愛する子供たちを助けたことになる。

 だから、俺が女神に見えるそうだ。

 まあ、確かにあの”クソ女神”がいなければ、こんな奇跡は生まれなかっただろうが。


 涙をポロポロとこぼしながら、俺とお母さんに何度も頭を下げるおばさん。

 自宅を出るまで何十回「ありがとう」と言われたことか……。

 まあ褒められるってのも悪い気分じゃないな。


  ※


 翌日の朝、いつものように優子ちゃんと学校まで肩を並べて歩いていると。

 彼女が不服そうに頬を膨らませて口を開く。


「最近さぁ、藍ちゃん。冷たくない?」

「え? 私が? そんなことをしているつもりはないよ……」

「だってさ! なんか鬼塚くんの弟も助けるし、鬼塚くんのいじめも解決したって聞くし。昔の藍ちゃんからしたら、考えられない行動だよ!」

「う……」


 確かに優子ちゃんの言う通りだ。

 元々、この水巻 藍という少女は文学好きで大人しく、頭も良い。そして悪く言えば猫背の陰キャな女の子。

 そんな女の子が元いじめっ子の少年と弟を助けるとは思えない。

 接点もないし……。


「前はもっと私と遊んでたじゃん? 最近は鬼塚くんとばっかり……」

「そうだったけ? ちなみにどんな遊びしてたの?」

「ほら、いつも近所のスーパー。”バキバキ屋”のフードコートで、お互い買った本を読んで時間を潰してたじゃん」

「え? それって遊びなの? ちなみにどれぐらい読書していたっけ?」

「ん~ 6時間ぐらいかな。大体アイスコーヒー1杯でそれぐらいは粘ってたもん」


 営業妨害だろ……。

 そんな遊びは絶対にしたくない。


「そ、それ以外で遊ぶことないの? もっとこう女の子らしい遊びとか」

「女の子らしい……? そうだなぁ、あ! 良いこと思いついた! もう少ししたら冬休みだから、私の家に遊びにおいでよ!」

「優子ちゃんのお家で遊ぶの? まあそれならいいかな」

「じゃあ約束だよ? 藍ちゃん」


 そう言って、右手の小指を差し出す優子ちゃん。

 俺も小指を差し出して、優子ちゃんの指と結んで約束を交わす。


「うん、約束。女の子同士でパジャマパーティーとかいいかもね」

「楽しみ~ あ、お姉ちゃんもいるから、きっと色んな話が聞けると思うよ」


 忘れていた。あの画力が半端ない腐女子のお姉さんもいたんだった……。

 お家遊びはやめておいた方が良かったかな。


 ~数時間後~


 中休みに入り、トイレへ行こうとしたら、優子ちゃんに声をかけられた。


「藍ちゃん、トイレなら私も付き合うよ」

「あ、うん……」


 女同士ってなんでこう”連れション”をしたがるのかね?

 俺からしたら、ただの排泄行為だ。それに女子は男と違ってみんな個室でするのに、意味あるのか。


 廊下を歩きながら、優子ちゃんが花柄のハンカチを取り出して、俺に見せつける。


「じゃーん、これ。いいでしょう?」

「うん、かわいいね」


 褒めたと思ったのに、優子ちゃんは頬を膨らませて怒っている。


「ちょっと、藍ちゃん! なんで気づかないの?」

「は? 普通にかわいいハンカチだと思うよ」

「違うよっ! おそろいでしょ? 藍ちゃんと!」


 言われるまで気がつかなかった。確かに俺の自宅のタンスに入っているハンカチと同じ柄だ。

 わざわざ同じものを買ったのか。


「あ、本当だ……でも、それ何の意味があるの?」

「ひどいっ! 藍ちゃんと私だけのハンカチだからお揃いにしたんだよ? 嬉しくないの?」

「え……ごめん。よくわからない」

「やっぱり、最近の藍ちゃんは冷たいと思う!」


 中身がおっさんだからな……前とは違うでしょうよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ