表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第五章 バスケットボーイズ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/114

時代が早すぎた


 前世で芸人として、大活躍していた”もりもりにんに君”。

 この真島中学校の卒業生だと言っていたが、何しに来たんだろう。

 気になるなぁ……生で芸能人なんて見たことないし、ちょっと後をつけて見るか!


 数時間に渡って数学の教師から居残り指導を受けたので、部活をやっている生徒以外はみんな帰宅している。

 学校の廊下を歩いても人気を感じず、静かすぎて恐怖さえ感じてしまう。

 だが、この長い廊下を抜ければ、あのにんに君がいるんだ! もう少し、頑張ろう。


 体育館に入ると、なぜか中は静まり返っていた。

 普段なら生徒たちの練習する足音やかけ声などが、元気に聞こえてくるはずなのに……。


「えぇ~ 今日はこの学校のOBで、両刀高校の2年生。”中川(なかがわ) 譲二(じょうじ)”くんに来てもらったから……」


 と赤いジャージ姿の教師の隣りに立つのは、なぜか白いタンクトップにデニムのショートパンツ姿の中川先輩。

 なんで、着替えたんだ?

 それを真面目にバスケ部の生徒たちが、体育座りをして話を聞いている。


「あ、あいつもいる……」


 その中には、ツンツン頭の少年もいた。

 鬼塚だ。大好きなバスケの話だから、いつも以上に真剣な顔つき。

 どうやら、中川先輩は鬼塚の憧れのようだ。

 目をキラキラと輝かせて、前のめりで話を聞いている。


 

「じゃあ、お前ら。中川くんに何か質問は無いか?」


 ってこれ、完全にバスケとしての先輩だよな……。

 あのネタとか、見れないのかな。

 でも、まだ芸人じゃない中川先輩だし。

 

 と一人で、体育館の隅で隠れていると。


「はい! 俺から良いですか!?」


 一人の少年が姿勢を正して、挙手した。

 鬼塚だ。


「お、鬼塚か。いいぞ、言ってみろ」

「はい!」


 すると、鬼塚はその場で立ち上がり、「俺、1年の鬼塚 良平って言います!」と自己紹介を始めた。

 中川先輩は可愛い後輩だと、ニコニコ笑っている。


「あの……俺、1年なのに先輩からレギュラーメンバーに入れてもらえて、嬉しいんですけど」

「うん、良かったね!」

「でも俺は中川先輩みたいに背が高くないから……みんなの足を引っ張っている気がするんです」


 体格ゆえのコンプレックスを聞かされて、これには中川先輩も少し険しい顔になる。


「なるほど……」

「俺1年生の二学期に入っても、150センチないんです。毎日牛乳もたくさん飲んでいるんですが、これから身長は伸びると思いますか?」

「……」


 黙り込む、にんに君。

 さすがの中川先輩も、身体の話となれば別だ。

 いくらエースだったとは言え、身長は必ず個人差が生じる。

 簡単には答えられるはずがない……。

 

 しかし俺の予想とは反して、にんに君が取った行動に呆然としてしまう。

 いきなり右腕に力こぶを作ると、反対の手でパシパシと叩き始める。


「おい、聞かれてますよ……この子の身長、伸びるのかい? 伸びないのかい?」


 これには、俺も声に出して突っ込んでしまう。


「え、今”アレ”をするの? ウソでしょ?」


 何人かの部員が俺の声に気がついたが、にんに君は無視する。

 

「伸~び~る! ファイト・パワーーー!」


 堪えきれなくなった俺は、その場で爆笑してしまった。


「はははっ! めっちゃウケる! さすが、にんく君だ……あ~ お腹痛い~!」


 だが、俺以外の部員はあのネタを見ても笑いもせず、真面目に話を聞いている。

 鬼塚に至っては感動から泣いていた。


「ありがとうございます、中川先輩! 俺、これからも毎日牛乳を飲んで、練習を頑張ります!」


 鬼塚のやつ、真に受けている……。

 まだ、にんに君のデビューは、早すぎたのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ