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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第五章 バスケットボーイズ

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厳しい指導


 鬼塚から天ケ瀬先輩の話を聞いて、確かにかわいそうな人だとは思う。

 だがらと言って、このまま放置していいことなのか?

 ハーフでアメリカ出身だから、何かと苦労すると思うけど、それでも人を傷つけて良い理由にはならない。


 

 教室に戻ると、俺たち1年7組の担任である若い女性教師と目が合う。

 どうやら俺が教室に戻るのが遅かったようだ。

 俺以外は、みんな机の上に教科書とノートを用意している。

 ちなみに今から始める授業は、国語。


「水巻? チャイムが聞こえなかったの?」


 若いけど、それなりに貫禄があるんだよな。

 この”ねーちゃん”先生。


「あ、あの……すみません。トイレに時間がかかって」

「分かったから、早く席に着いて」

「はい……」


 ここで「鬼塚くんがいじめられているからです」と言えたら、楽になるのだが。


  ※


 国語の授業は数学ほど難しくなかったが、眠たくて仕方ない。

 

「ではこの作品を書いていた頃の、作者の気持ちをノートに書いてみて」


 そんなもん、誰が知ってんだ……。

 作者が生きている時にインタビューした奴ぐらいだろ?

 大体、人間。誰だって嘘をついたり、格好良く見られたい生き物だ。

 作者だからといって、必ずしも本心を語るとは思えないがな。


 と心の中でツッコミを入れていると、担任教師が俺の名前を呼ぶ。


「水巻? あんた、指が動いてないけど。ちゃんと書いているの?」


 ギクッ! バレてしまったか?


「あ、あの……今から書くところです。ハハハ」

「しっかりしてよねぇ、最近の水巻はおかしいよ? 学年でもトップの成績だったのに、他の先生たちも最近のあんたの回答には困ってるらしいから」

「え? そうなんですか?」

「そうよ、みんな水巻に期待しているのよ? ……って、そのカバンについているの、なに?」


 先生が指差すのは、机の隣りにかけているカバンだ。

 恐らく、昨日鬼塚からもらったゴマフアザラシのキーホルダーのことだろう。

 

「へ? これですか? 水族館のお土産ですけど」


 とカバンからキーホルダーを取って、先生に見せてみると。

 何を思ったのか、先生の細い肩が震え始める。

 

 俺と先生のやり取りを見ていた鬼塚が隣りからため息を漏らす。


「学校に持ってきたのかよ……水巻」

「え? だってキーホルダーだから、カバンにつけるでしょ? 普通」

「お前、生徒手帳とか見てないのか? 校則違反だぞ」


 そのあと、先生が凄まじい形相になると、授業が終わるまでずっとお説教を食らうことになった。

 もちろんキーホルダーは没収。帰るまでに反省文を書かせられることになってしまった。

 これぐらいで怒られるとか、どんなブラック校則だよ……。


 ~昼休み時間~


 給食を食べ終えると、いつもなら優子ちゃんと教室や図書館でお喋りするのだが。

 今日は違う。キーホルダーをカバンにつけてきたということで、現在反省文を執筆中。

 400字の原稿用紙を3枚最後まで、びっしり詰めて書けと言われた……。


 たかがキーホルダーごときで、そんなに文字数使うかね?

 普段は後ろに座っている優子ちゃんが、わざわざ俺の前に来て苦笑する。


「キーホルダーぐらいで面倒だよねぇ……。でも、ルールだから守らないとダメだよ?」

「うん……」


 今度、生徒手帳とやらを読み直しておくか。

 昼休み中に書き終えないと、居残りになると聞いたので、必死に書き上げた。

 これでゆっくりできると安心していたら、教室の扉が勢いよく開かれる。

 

「あ、水巻! 良かった。反省文、終わったみたいだね」


 担任のねーちゃん先生だ。

 反省文を回収しに来たらしい。

 俺が書き終えた原稿用紙を差し出すと、何を思ったのか、先生は俺の肩に優しく触れる。


「お疲れさま。でもね、数学担当の先生が『放課後に水巻を連れて来て欲しい』って。なんか今日あんたが提出したノートの答えが意味不明すぎて、心配らしいよ」

「……」


 居残り確定じゃねーか。

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