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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第五章 バスケットボーイズ

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負の連鎖


 バスケットボール部には、どうしても天ヶ瀬がいる。

 だから鬼塚が部活動を続ければ、ずっと彼にいじめられることも分かった。

 しかし、それをバスケ部の先生か、担任の教師に相談しても悪くないだろう……。

 何をそんなにためらっているのだろうか?


「ねぇ、誰か先生に相談しようよ! このまま、いじめがエスカレートしたら死んじゃうかもしれないよ?」


 あれ? なんか鬼塚のことを自分のように心配している……。

 だが、彼は首を横に振る。


「無理だよ……さっきも言ったけど、時が解決するって。あと半年もすれば落ち着くさ」

「どういうこと?」

「水巻は部活やってないから分かんないと思うけど……3年生になれば、一学期でほぼ引退するんだよ」

「はぁ……だから?」

「つまり、天ヶ瀬も二年生だし今は二学期じゃん? バスケ部で活動できるのも約半年ぐらいさ」

「え? じゃあ天ヶ瀬先輩が引退する3年生の夏まで我慢するってこと?」

「ま、そういうことだな」


 なんて肩をすくめてみせる鬼塚。

 たかが部活動をするのに、あんな凄惨ないじめに耐えろというのか?

 それぐらい、鬼塚のバスケットボールに対する情熱が強い……ということか。


 でも、それにしても天ヶ瀬先輩のいじめが酷すぎる。

 上級生だからと言って、下級生である鬼塚に対しあんな酷いことを執拗に繰り返すなんて。

 ただの嫉妬だろ?



「でもさ、なんで天ヶ瀬先輩は鬼塚のことばっかり、八つ当たりするの?」

「あ、それは多分あいつの親が関係しているんじゃないかな」

「親? どうしてそれが鬼塚をいじめる理由になるの?」

「いやぁ……あいつの家庭も複雑だからさ。天ケ瀬の下の名前、知ってるか?」

「ううん」

「あいつの名前は、”ウィリアム”て言うんだ」

「は?」


 いきなり、外国の名前が出てきたので、アホな声が出てしまった。

 

「天ケ瀬は父親がアメリカ人で、母親が日本人のハーフなんだよ」

「え!? そうだったの?」


 そう言われたら、あの明るい髪色。

 金髪だったのはヤンキーだからじゃなくて、地毛だったのか。


「まあ、俺は天ヶ瀬に嫌われてるし、他の先輩から聞いた話だから……どこまで本当か知らないけどさ」


 

 それから、しばらく天ヶ瀬 ウィリアムという人間の話を聞かされることになった。

 生まれはアメリカで、小学生まではずっと現地で育っていたらしい。

 母親が日本人だから生まれつき日本語は話せるが、読み書きが苦手らしく。

 数年前に両親が離婚したことにより、母親の生まれ故郷である日本、福岡へ移住。


 この真島中学校には、2年前に転入してきたのだが。

 先ほどの日本語は話せても、読み書き。特に漢字が苦手だったため、教師たちが彼へ留年を勧めてきたという。

 「ずっと日本で暮らしていくには、義務教育期間中に漢字を読み書きできるように……」

 それが、天ヶ瀬先輩の中でかなりの屈辱だったらしい。

 好きだったバスケットボールの部活動も、実際は3年生で本来なら部活も引退しているはずなのに。

 また2年生を繰り返すことになってしまった。


 前代未聞の留年という話で、元同級生たちからはバカにされて、下級生である今の同級生たちからは浮いている状態。

 また転入してから、持ち前の金色の髪が邪魔して、先生や生徒たちからかなりバカにされていたらしく。

 今も元同級生たちに絡まれることが多いそうだ。

 

 話を聞き終える頃に、中休みの終わりを知らせるチャイムの音が聞こえて来た。


「まあ、そういうことだから……俺のことは気にすんなよ。あと半年の辛抱ってことだし」


 そう言うと、鬼塚は渡り廊下から立ち去っていく。


「いじめられたから、そのうっぷんを自分より弱いやつにぶつけて、発散させる……か」


 鬼塚の言うように待てば、時が解決してくれるのだろうか?

 誰かが、この負のスパイラルを止めないと永遠に繰り返されるのではないか。

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