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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第四章 大嫌いなあいつとデート

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お土産交換


 鬼塚が作ってくれた弁当箱をきれいに平らげると、俺は満足して眠たくなってしまう。


「ごちそうさま!」

「……また今度作る時があったら、弁当箱を買い直すかな」

「へ? なんで?」

「いや、水巻が考えることじゃないよ……」

「?」



 そのあと、一通り水族館を歩いて回り、さすがにヘトヘトになったので帰ることにした。

 しかし、このまま帰るのは気が引ける。

 だって弟の翔平くんが高熱を出して、家で寝ているのだから。

 鬼塚の作った弁当が美味いからと、翔平くんの分まで食べてしまったし。


 出口付近にお土産ショップがあることに気がついた俺は、鬼塚に「ちょっと見て行きたい」と一人で店の中へ入ることにした。

 イルカやラッコのぬいぐるみとかあるけど、男の子だものなぁ。

 それに俺のお小遣いも、千円札が一枚しかない。

 何が良いだろう? と店の中を探していたら、一つの商品が目に入った。


「あ、これ。いいかも……」


  ※


「ごめん、おまたせ~」

「別にいいけど。なんか欲しいものがあったのか?」

「そ、それなんだけど……。これを翔平くんへおみやげに」


 と白いビニール袋を鬼塚へ差し出す。

 それを受け取った彼は、袋の中を確認する。


「え、これ? マリンワールドのクッキー?」

「うん……。クッキーなら翔平くんの体調が良くなった時、食べられるだろうし。今日来られなかったのがかわいそうだったから」

 

 そう言い終えると、なぜか鬼塚は頬を赤くして、身体を震わせていた。


「こ、こんな気を使うなよ!?」

「え? だってかわいそうじゃん……楽しみにしていたのだろうし」

「だからそういうの、いらないって言ってんだよ!」

 

 なにをそんなに怒っているんだ?

 ひょっとして、翔平くんはクッキーが苦手だったのかな……。


「ごめん、勝手に私が選んで買ったから……」

「そういう意味じゃないよ! ちょっと、水巻はここで待っていろ! 動くなよ、迷子になるから」

「……え?」


 鬼塚はかなり興奮しているように見えた。

 顔を真っ赤にしたまま、お土産ショップへ入って行く。

 ひとり残された俺は、仕方なくその場で黙って待つことに……。


 ~10分後~


 まだかな? 一体、何を買いに行ったんだろう。

 それにしても、俺のことをどんな女の子だと思っているんだ?

 放っておくと迷子になるなんて……ガキじゃないのに。


「み、水巻。悪い、待たせたな……」

「あぁ、別にいいよ。何を買いに行ったの?」


 俺がそう問いかけても、鬼塚は黙り込んでしまう。

 頬を赤くして、視線は俺の足元を見つめている。

 

「こ、これ……女の趣味とか分からないから」


 そう言って、小さな紙袋を差し出す。


「?」


 意味が分からないがとりあえず、彼から紙袋を受け取る。

 この紙袋、プレゼント用の包装紙だ。マリンワールド限定の。

 ラッコやイルカのイラストが描かれている。

 肝心の中身を開けてみると、可愛らしいゴマフアザラシのキーホルダーが入っていた。


「なっ!? これって……」


 ようやく意味を理解した俺は、改めて鬼塚の顔を見つめる。

 視線を向けられた彼だが、恥ずかしいようで俯いてしまう。


「その……俺、お金も無いし、女に物をあげたこともないから」

「お返し、ってこと?」

「まあ、うん。そういうこと」

「……」


 アホかっ!?

 これじゃ、マジで俺たち初めてのデートをしているみたいだろ……。

 しかも、この世界じゃ鬼塚は、まだ女の子にノータッチの状態。


 正真正銘、童貞の少年と処女の少女が健全なデートしているだけとか。

 辛すぎる……しかし、このキーホルダーを何に使えば良いんだ?

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