表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第三章 1995年の休日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/93

聖人君子


 ビデオ店でエロビデオをレンタルしている男子を見て、一気に冷めてしまった。

 巨乳ものだったし、チラっとしか見えなかったけど。

 たぶん、今の俺。水巻 藍に似た幼い顔の女優を選んでたもんなぁ。

 色々としんどい……。


 仕方ないので、駅前をブラブラと歩くことに。

 1995年の真島駅……じゃなかった筑前真島駅は汚いなぁ。

 タクシー乗り場が無くて無法地帯だから、車でいっぱい。

 下手したら、接触事故を起こしそう。

 当時は普通に歩いたものだが。


 駅を通り過ぎると、すぐに目にしたのはゲームセンター。

 そして店の前でたむろする”チーマー”達。

 まだ顔は幼いので、ひょっとしたら中学生も混ざっているのかな?

 タバコを吸いながらスケボーで遊んでいる。


「ギャハハハ! 下手だっぺ、お前」

「俺まだ、始めたばっかだっぺ!」


 うへぇ……治安悪いな、この辺りは。

 ちょっと、駅周辺はやめておこうっと。


  ※


 元々が陰キャのひきこもりだから、本屋へ入ることにした。

 前世じゃ個人経営の本屋は潰れまくったけど、この時代ならまだたくさんある。

 ゲームも一緒に販売している大きな本屋だ。

 名前は確か、”A2(エーツー)”だったけ?


 自動ドアが開くと、まっすぐに雑誌コーナーへ向かう。

 昔のくせで、グラビア雑誌のコーナーへ来てしまった……。

 表紙になってるアイドルが懐かしすぎる。

 ”ヒナカタ・アキコ”だもんなぁ。

 若っ! よくお世話になったから、買っちゃおうかな?


 気になったので、そのグラビア雑誌を手に取り、立ち読みしてしまう。

 この時代ではグラビアアイドルやっていても、後に有名な歌手や女優になるタレントが何人もいる。

 ってことは、これ買って綺麗に保管してたらプレミアつくかな?


 黙ってグラドルの水着姿を見ていると、近くにいた人々の様子がおかしい。

 こちらを見てヒソヒソと小声で何かを話している。

 あ、ヤベッ……今は女の子だった。


 恥ずかしくなった俺は、すぐにグラビアコーナーから退散する。

 すると、マンガ雑誌のコーナーに見覚えのある姿が目に入った。

 ツンツン頭の小柄な少年。ショートパンツにタンクトップを着ている。

 いつも制服姿だから気がつかなったけど。本当に全身の肌が焼けているんだな。

 それか、生まれつきの地黒とか?


 あ! わかったぞ!

 こいつもさっきのビデオ店で見た男子生徒と一緒で、夜のおかずを買いに来たんだな。

 よし、何を買うか後をつけてやろう。

 それでレジ前に立った時、わざと声をかけてやろう。鬼塚の黒歴史になるだろう。


 ~5分後~


 さっきからずっと鬼塚のやつを見張っているが、おかずらしいものは手にしていない。

 彼が立ち読みしている本は、『月刊 バスケ』スポーツ雑誌だ。

 わかった。こっちはフェイクで後からスケベな本を下に隠して買うんだろ? 常套手段(じょうとうしゅだん)さ。


 しかし、俺の予想を裏切り、鬼塚はそのまま雑誌を閉じてレジへ向かう。

 ちゃんとお金も払うし、なんだったら、お店の人に頭を下げていた。


 クソがぁ! なんで買わないんだよっ!

 男なら買うだろ、普通!

 前世じゃ俺のことを虫のように扱ってたくせに。

 聖人君子か、てめぇは!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ