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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第二章 それでも気になる

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ラッキースケベ?


 中学生の勉強とは言え、何がなんだか分からない。

 特に数学と理科の授業は、教師の言っていることが全く頭に入らない。

 こんなんで俺はちゃんと中学を卒業できるのだろうか?

 さすがに留年とかは、無いよな。


 二時限目までの授業が終わり、中休みに入った。

 授業についていけない俺は、机の上におでこをつけて、頭を冷やす。


「マジで積みゲーじゃん……」


 そう呟くと、後ろの席から優子ちゃんが顔を出す。


「藍ちゃん、どうしたの?」


 振り返ると、優子ちゃんの姿が一変していた。

 いつの間にか、セーラー服から体操服へと着替えていたからだ。

 

「あっ、JCの生ブルマ」


 つい言葉に出してしまう。

 前世じゃ、もう絶滅危惧種だからな。

 優子ちゃんはまだまだ幼児体型で、低身長だから胸は無いけど。

 これはこれでOK! 眼福だなぁ……なんて考えていると、優子ちゃんに叱られた。


「もう、藍ちゃん。何をボーっとして! 早く着替えなよ、次は体育の授業だよ」

「あ、そっか……」


 気がつけば、周りの生徒たちはその場で制服を脱ぎ出している。

 なるほど。小学校の時みたいに中学校も男女一緒に、クラスで体操服に着替えるんだな。


 俺も急いでイスから立ち上がり、カバンから体操服とブルマを取り出す。

 そしてセーラー服を脱ぎ、カッターシャツのボタンを外していくと……。

 ダサいファーストブラが露わになる。つまり、ふくよかな谷間も見えてしまう。


「な、なにやってんの!? 藍ちゃん!」

「へ? だって着替えるんでしょ?」

「体育の授業なんだから、家で体操服を着て来るのが普通でしょ! 胸が見えてるよ!」

「え……そうなの?」


 優子ちゃんが騒ぐから、周りにいた男子の視線が一気に俺へと向けられる。

 特に胸のあたりを……。

 ただ、隣りに座っていた鬼塚だけは頬を赤くして、視線を床に落としている。


「早く隠して!」

「あ、うん……」


 優子ちゃんに言われるまで、ずっと自身のたわわな胸は放置したままだった。

 急いでカッターシャツのボタンを閉めると、優子ちゃんが「一緒に来て」と教室から連れ出す。

 俺の体操服とブルマを持って、女子トイレまでやって来た。

 中に入ると「個室のトイレで着替えなさい!」と怒られてしまった……。


「ちきしょう……お母さんが言っていた体育の話って、これのことだったか」


 ようやく着替え終わると、優子ちゃんの姿が見えない。

 代わりに立っていたのは赤白帽子を被った少女。

 目力の強い、オールバックポニーテール。

 鞍手 あゆみだ。


 下から俺のことを睨んでいるように見える。


「フンっ……わざとらしい」


 と鼻で笑うと、トイレから出て行った。

 なにを言いたかったんだ?

 それにしても、前世とは態度が違いすぎるだろ。俺のことを嫌ってんのかな。


 一応、トイレで着替えたから、手洗い場で手を洗っていると。

 別の個室から優子ちゃんが出てきた。


「ご、ごめん……鞍手さんがいきなり入ってきたから、逃げちゃった」

「そんなにあゆみちゃん……鞍手さんて怖いの?」

「怖いよっ! 男の子には甘えた声で話すのに、女子には思ったことをポンポン言うし……」

「ふぅーん」


 前世では、陰キャでオタクの俺でも、あんなに優しくしてくれたのにな。

 顔も可愛かったし、あの子以外女の子と触れたことないから。

 何度、お世話になったことか……。

 

 あゆみちゃんルートは、存在しないのかな? この世界。

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