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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第十一章 ウインターデート

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重力測定


 お化け屋敷から出てくると、俺は両手で自身の熱くなった頬を隠していた。

 鬼塚に俺の胸を触られた……別に俺は中身が女の子じゃないから、嫌じゃない。

 嫌ではないけど、それでもあいつがこの大きな胸に触ったことだけは隠さないと。

 胸を触ってしまったことを知れば、あいつのことだ。きっと罪悪感に陥ってこのあと支障が出る。


「おい、水巻? どうしたんだよ? なんか顔も赤いぜ」

「そ、それはその……」


 あくまでも無意識に触ったんだと思うが、こんな態度を取られると。それもそれで腹が立つな。

 でも、なんか胸のドキドキが止まらなくて鬼塚の顔を見ることができない。

 あいつの大きなブラウンの瞳を見つめると、更に顔が赤くなりそうだし……。


 遊園地の中で同じデザインのスタジャンを着た若い男女が立っているだけで、どうしても目立ってしまう。

 恥ずかしさから俺が鬼塚と距離を取って歩いていると、近くにいた家族連れの話し声が聞こえてきた。


「ねえ、あのペアルックの彼女。彼氏とケンカしたのかしら? なんか落ち込んでるわよ」

「ああ……そうかもな。なんか男の子が焦ってエッチなことでもしたとか?」


 勝手な妄想話を聞かされて、俺はついその場で立ち止まってしまう。

 鬼塚にもその話し声は聞こえていたようで、家族連れの父親を睨みつけると何を思ったのか、俺の手を強く掴んだ。


「水巻、早く行こうぜ」


 ギュッと俺の左手を掴む、鬼塚の手はとても男らしく見えた。

 なぜだろう? この手に包まれていると、さっきまで恥ずかしくて胸の音がうるさかったのに落ち着く。


「う、うん……」


 頬はまだ熱いけど、俺は鬼塚に手を引っ張ってもらい、小走りでその場から立ち去ることにした。


 遊園地の奥まで走ったところで、鬼塚は恥ずかしそうに手を離す。


「そ、そのいきなり手を繋いで悪かったよ……」

「いや、あそこにいるのも気まずかったし。気にしてないよ」

「そうだよな。ところでさ、この”タイタン”に乗っていかないか?」

「え? タイタン……?」


 その場で見上げると、そこには空まで届きそうな背の高いジェットコースターが目に入った。

 気がつくと俺たちはジェットコースターの入口の前に立っていた。

 看板には”流星ライナー タイタン”と書かれている。


「俺さ、前から乗りたかったんだけど。翔平がいるから、身長制限で乗れなかったんだよ」

「ああ……そういうこと。別にいいよ」


 俺がそう言うと、鬼塚は嬉しそうに笑っていた。


  ※


 冬休みなので、どこも乗り物を一回乗るために30分近くは待たないといけない。

 そう言えば、俺もジェットコースターなんて生まれて初めての経験だな。

 前に並んでいるお客さんが減っていくにつれて、ドキドキしてきた。

 だって、ジェットコースターが出発するたびに女性陣の悲鳴が聞こえてくるから……。


 ようやく俺たちに順番が回って来たと思ったら、鬼塚が「一番前に乗ろうぜ」と言い始めた。

 俺を置いて先に行ってしまったので、急いで追いかける。

 仕方なく、俺も最前列でジェットコースターを体験することに。


「ワクワクするよな!」

「え……ちょっと怖いんだけど?」

「何を言ってんだよ! 水巻はお化けもゾンビも怖くないんだろ?」

「いや、怖さの種類が違うじゃん……」


 そうこうしているうちに、コースターはカタカタと音を立てながら、頂上へと近づいていた。

 このあと、一気に急降下するんだよな……怖すぎる。

 恐怖から呼吸が乱れてきた。


「そう言えばさ、水巻。お化け屋敷で、俺がこけた時どこか触ってないか?」


 今から急降下するって時にいきなり変な質問をしてきやがった。


「な、なんのこと?」

「俺の勘違いならいいんだけど。この手に残る感触がさ、すげーやわらかくて気持ち良かったんだよ。一体なにを触ったのかなって……」


 鬼塚の話を最後まで聞くことはできず、そのまま俺たちはもの凄いスピードで地面へ叩きつけられた。

 と思ったら、直前で右側に急カーブして、上下に激しく回転し始める。


「ぎゃああ!」


 何が怖いかって、この藍ちゃんという肉体が恐ろしい。

 中学一年生とは思えないバストの持ち主だから、左右の大きな胸が揺れて揺れまくる。

 つまりジェットコースターに乗っている間は胸が暴れまくって痛いということだ……。

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