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殺したいほど憎いのに、好きになりそう  作者: 味噌村 幸太郎
第十一章 ウインターデート

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社会見学


 たまたまとは言え、中学生の男女がペアルックとかしんどすぎる。

 地元だし、誰かに見られたら勘違いされるぞ。

 でも、今はまだ冬休みだから人が少ない。早めに電車に乗ってしまおう。


「じゃあ、鬼塚。さっそくだけど電車に乗ってもいい?」

「ああ、全然いいよ」


 駅舎の中に入って自動券売機の前に立つ。

 目的地であるスペースワールド駅はいくらだろう? と券売機の上に貼ってある路線図を確かめるがどこにも載っていない。

 

「あれ……スペースワールド駅が無いんだけど」

「は? スペースワールド駅?」

 

 戸惑う俺を見て、鬼塚が少し苛立っているように見えた。


「だってスペースワールドに向かうんだから、駅があるでしょ?」

「お前、何を言っているんだよ? そんな駅はないに決まっているだろ!」

「へ?」

「スペースワールドへ向かうには、”枝光(えだみつ)駅”しかないだろう。早く切符を買っちまおうぜ」


 そうか、思い出した。まだ1996年じゃその駅は完成してないんだった……。

 まだまだ前世の感覚が抜けなくて困るな。


 鬼塚が二人分の切符を買って戻って来た。もちろん、俺の切符代はあとで払ったけど。

 切符を持って自動改札機へ入れようとしたが、どこにもない。

 きょろきょろと辺りを探していると、また鬼塚に怒られてしまう。


「おい、水巻。こっちだよ!」


 そう言う鬼塚は、改札口の前でJRの制服を着たおじさんに切符を渡し、スタンプを押されていた。

 あ……まだ有人改札だったのか。

 

 ようやく小倉行きのホームに立ったところで、この時代の洗礼をくらうことになった。

 辺りにいた中年男性たちが口にタバコをくわえて、白い煙を吐き出している。

 なんで、このおっさんたちは堂々と駅のホームで喫煙しているんだ……。


 目の前でタバコをふかしいているので、ぜんそく持ちの藍ちゃんの肉体から拒絶反応が起きる。

 発作が始まったのだ。


「えほっ! がはっ……」


 俺がその場で咳き込んでいると、隣りにいた鬼塚が発作の原因がタバコであることに気がつく。

 彼は機転を利かせてわざとその場で咳ばらいをし、中年男性たちを睨みつける。

 すると、俺の周りにいたおっさんたちがタバコの火を消すこともなく、ホーム下の線路に投げ捨てていた。

 マナーの悪い人たちだな……と思った瞬間、思い出した。

 そうか……まだこの時代は喫煙する場所が多くて、駅のホームでタバコを吸っても許されていたのか。


  ※


 その後、小倉行きの電車が来たので鬼塚と一緒に乗ったのだが。

 鬼塚が言うには、数駅進んだら一度降りて乗り換えないといけないと説明された。

 俺はその説明を聞いて不思議に思った。

 

「え? このまま、枝光駅まで乗って行けばいいじゃん」

「水巻って本当に何も知らないんだな……この列車は普通列車だろ? 快速列車に乗り換えないとものすごく時間がかかるぞ」

「あ……」


 そうだった。まだ地元の駅である”筑前真島(ちくぜんまじま)”は、快速列車が止まらないんだった。

 不便な時代だな。


 鬼塚に言われた通り、途中の駅で一度降りてから、快速列車に乗り換えて枝光駅へ向かうことになった。

 快速列車に揺られること約40分。ようやく目的地の枝光駅に到着。

 そこから更に10分ほど歩いていると、大きなスペースシャトルの建物が見えて来た。


「おお~! これがスペースワールドかぁ……」


 前世では一回も来た事ないというか、遊園地自体初めてだからな。

 ”SPACE WORLD”と大きく書かれた看板を見上げて、ちょっと感動していた。


「どうしたんだよ、水巻? 別に初めてじゃないだろ?」

「え、生まれて初めての遊園地だけど……」

「ウソだろ? 小学校の時、クラスのみんなで”社会見学”で来たろ?」


 そう言えば、小学5年生ぐらいの時にそんな案内をあゆみちゃんが自宅に持って来てくれたような。

 でも、鬼塚からのいじめが怖くて行けなかったんだ……。

 なんか思い出して来たら、イライラしてきた。

 隣りに立つ、褐色肌の少年の顔を睨みつける。


「な、なんだよ? そんなに俺の顔を見つめて……」

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