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チャンネル  作者: もちづき裕
花魁淵編
24/42

第一話  大森くんと再会する

お読みいただきありがとうございます!よろしくお願いします。

 厨二病を爆誕させた僕は、高校は地元の生徒がほとんど通わないような場所を選んだ。チャンネルを閉じることに成功した僕は、もう、幽霊がどうのと言われることはない。


 周りの生き霊やら死霊やら、よく分からない思念体など全く無視の状態で高校三年間を謳歌した・・のだが、結局、選んだ高校が難関大学合格に特化した高校ということで、高校一年生の時から、大学受験に向けて勉強を頑張る羽目になったわけ。


「お父さん、僕、聖上大学に通おうと思うんだけど、それでも良いかな〜?」


 聖上大学とは埼玉にある大学になるんだけど、公務員になるには聖上と言われるくらい噂によるとコネがあるらしい。国家公務員一種でも国家公務員二種でも、そこら辺を狙うならとりあえず聖上に行っておけと言われるようなところで、不景気ゆえに公務員を目指そうという人が多くなっている今の世の中では人気の大学になるわけだ。


「お前、もしかして麻衣ちゃんが聖上を受けるって言うから、受けたいっていうんじゃないだろうな?」


 麻衣ちゃんとは、はとこの男鹿麻衣ちゃんのことで、僕と同じ年だったりするんだよね。東京の大学を受験するって言うので、学校見学とか説明会を受けるために東京に出て来た時に、鬼のおばあちゃんから頼まれて麻衣ちゃんは何日かうちに滞在することになったんだ。


「確かに一緒に大学の説明会にも行ったけど、お父さん、やっぱり今の世の中、公務員が安牌だと思うんだよね」

「むむむ〜」

「色々と調べたんだけど、聖上大学は私立にしては学費も安い方だし、奨学金も充実しているから良いと思うんだけど」


 僕が説明会で貰った、大学の卒業生の公務員への就職率のエグさを記した資料を見せると、唸り声を上げながらお父さんは聖上への進学を許してくれたんだ。


 僕は結局、高校三年生になるまで自宅学習の教材に頼り切りで塾に通うことはしなかったんだけど、公立中、公立高校と進学して、ここで国公立は目指さずに私立大へ志望を変更。


 大学は埼玉にあると言っても、京浜東北線から途中で一本乗り換えるだけだし、大学のキャンパスが多い八王子とか、所沢とか、その辺りに行くよりも交通費は安く済むようになったわけ。


 そんな訳で僕は聖上大学の経済学部に入学した訳だけど・・

「おおお!智充!久しぶりだなーー!」

 そう言って大森くんが声をかけて来た時には回れ右をして逃げ出しそうになってしまったよ。


「中学の仲間の集まりに全然来ないんだもん!ラインの返事もしてくれないしさ〜」

 する訳ないだろう、何故、僕が返事をしなければならないんだ?

「いやー、知り合いもいないし心細かったんだけど、智充が居て良かったー」

 大森くんが同じ大学、同じ学部に進学していたとは知らなかった。くそー、受験会場で大森くんの姿なんか見た覚えがないんだけどな〜。まあ、受験する生徒が多いんだから、見つけられるわけもないんだけど・・


「隣に座っていい?いいよな?有り難う」

 問答無用で隣に座った大森くんは、僕の方に改めて体を向けると、

「智充、本当にごめんな!」

 と、いきなり謝り出したんだ。


「中学の時さ、あそこで何か言ったら周りの奴らが俺の方を攻撃しそうだと思って、何にも言えなかったんだよ。だけどさ、お前には一度助けて貰っているっていうのに、俺って本当にサイテーな奴だと今でも思っててさ」


「・・・・」


「あの時は本当にごめん!だけど、あの後のお前の行動は凄かったよな!俺たちの間では伝説になっているほどだもん」


 そりゃ、他人の家庭の不倫と教師のセクシャルハラスメント疑惑について、幽霊を通じて暴露しているようなものだからね。厨二病爆誕にも程があるよ。


「大森くん、正直に言って僕は大森くんのこと、クソほどどうでも良いと思っているんだけど、この大学でも僕のことをどうのこうのと言い出したら、その結果、どうなるかは分かっているよね?」


 ちなみに僕の体臭が臭いと冤罪をふっかけて来た野島さんの家は両親が離婚し、クラスのリーダー的存在だった五島さんは、パパ活疑惑によって女子から遠巻きにされるようになったので、その後は静かに中学生活を送っているようだったけども。


「分かっているって!それよりもさぁ!今度、女の子と4対4でバーベキューするんだけど、男の人数減っちゃってて、数合わせで参加してくれないかな?」


「バーベキュー?」

「そうそう、奥多摩で渓流釣りしながらバーベキューするんだよ」

「バーベキュー・・」


いきなり大学生っぽいイベントの話が来たな。

「そんなイベントになんで僕を誘うわけ?」

「智充さ、もしかして車の免許持ってる?」

「持っているけど」

 僕は春休みに入ってすぐに運転免許の合宿に行って、車の免許をゲットしているのだ。

「それじゃあさ、車出してくれないかな?」

「はああ?」

「車出してくれれば、バーベキュー代は出さなくてもいいから」

「えええええ?」

「俺の友達、お父さんに車を貸してもらえなくなっちゃったんだよ!お願いだから!お願い!」

「ええええええええ?」


 マジかよ、いきなりバーベキューって、奥多摩まで行く足が無いからダメ元でお願いしているだけじゃんかよ。


「うざーー!」

「そんなことを言わないで!お願い!」

「だったら、僕は彼女と一緒に参加しようかな」

「マジで?智充、彼女が出来たの?」


 この度、同じ大学に通うようになった僕は、はとこの麻衣ちゃんと付き合うことになったんだよね。


「彼女がバーベキューに行っても良いって言うのなら、お父さんに頼んで車を借りてあげるよ」

「マジで!彼女さん、行ってくれるかな?」

「こっちの友達が欲しいって言っていたから大丈夫だと思うけどね」


 結局、恋人の麻衣ちゃんにバーベキューを提案したところ、

「いいよ!楽しそう!」

 麻衣ちゃんは二つ返事でOKしてくれたんだよね。


ここまでお読み頂きありがとうございます!

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