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短編(ヒューマンドラマ)

真面目な先輩は勉強と料理の二刀流

作者: 御厨カイト


「……先輩、そんなに勉強ばかりして楽しいですか?」


「まさか、勉強を教えてくれと頼まれた後輩からそんな事を言われるなんて思ってもいなかったな。」


「だって……、もう疲れましたよー!朝から始めてもう4時間ですよ!?それも休憩無し!」


「それは君が『厳しく教えてください!』って頼んできたから、言われた通りにやっただけだよ?」


「限度があります~!そんな馬鹿正直にやらなくて良いんですよ!」


「えっ?そうなの?」


「そうですよ!まったく……、勉強は凄く出来るのに馬鹿正直なんですから!」


「えぇー、もう面倒くさいな。というか言われた通りにやっただけなのに、何でディスられてるんだろう。」


「ふんっ、……あぁ、もう疲れたんで休憩にしましょう!それで先輩、……私、お腹が空きました。」


「だから何?」


「……もうっ、察しが悪いな。料理を作ってくださいってことですよ!」


「何で俺が作るのさ。ここは君の家なんだから、お腹が空いたなら自分で作れば良いじゃないか。」


「それは……そうなんですけど、ね。」


「あっ、なるほどね。」


「……何でそういうところの察しは良いんですか。もうっ!」



私がキッと睨んでも先輩は飄々とした姿で受け流す。



「仕方ないな。まぁ、可愛い後輩のお願いというのなら聞かざるを得ん。」


「おっ、それじゃあ!」


「ちょっとキッチンを借りるぞ。」


「あ、キッチンにある物は好きに使っていただいて構いませんから。」


「了解、ちょっと待ってって。」



先輩はよいしょと立ち上がり、腕まくりしながらキッチンの方へと向かう。

それから少しして、トントントンと小刻みな音や、炒める音、そして香ばしい匂いが漂ってくる。

耳障りの良い音に美味しそうな匂い、自然にお腹がグゥーと鳴る。


その音が聞こえたのか、先輩は「クスッ」と軽く笑う。



「……笑わないでください。」


「アハハ、ごめんごめん。……はい、出来たよ。」


「……これは、野菜炒め、いやポン酢炒め?」


「そう、冷蔵庫に結構野菜が余っていたからね。折角だから使わせてもらったよ。それにポン酢も若干余っていたからそれも。」


「なるほど……、じゃあ、頂きます!」


「はいはい、どうぞ。」



私は目の前でホカホカと湯気を立てている野菜炒めを口へと運ぶ。



「……どう?美味しい?」


「……はい!キャベツもシャキシャキしていて、入っている豚肉もポン酢のおかげかサッパリしててすごく美味しいです!」


「そうか、口に合ったようで良かったよ。」


先輩が話している間にも、私の箸は止まらない。


「……うん?ちょ、ちょっと待て、ペース速くない?俺の分が無くなるんだが?」


先輩は危機に思ったのか、慌てて箸を付け、食べ始める。


「うん、美味しいな。流石俺だ。」


「確かに美味しいですけど、自分でも褒めるんですね。」


「そりゃ、美味しいからね。」


「……そうですか。」


そうして、黙々と食べていく。

話題が尽きた訳じゃなく、普通に美味しく黙々と食べ進めてしまった。



「……ふぅ、ご馳走様でした!」


「はい、お粗末様でした。」


「美味しかったです、先輩作ってくださってありがとうございます!」


「いやいや、こっちこそそんなに美味しそうに食べてくれて嬉しいよ。」


食器をキッチンへと運びながら、先輩はそう言う。



「それじゃあ、また勉強を再開させましょうかね。」


「……何で先輩は、折角良い気分になったぶち壊すような事を言うんですか。」


「えっ、だって俺、そのためにここに来たんだけど。」


「……そんな正論で言われたら何も言い返せないじゃないですか。」


「よし、そう何も言い返せなくなったところで早速始めようか。」


「今度はちゃんと休憩を取ってくださいよ!」


「流石に分かってるよ。そこら辺はちゃんとやるから、はい問題集を開いて。」


「……はーい。」




そうして、私は渋々勉強の続きを再開していくのだった。




結局、この勉強会は日が暮れるまで続きましたとさ。

流石に疲れたよ~……















皆さんこんにちわ 御厨カイトです。

今回は「真面目な先輩は勉強と料理の二刀流」を読んでいただきありがとうございます。


読んで「面白い」とか思っていただけたら、感想とか評価のほどよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ん~ずぼらな子って、いいっすねぇ。
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