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加藤良介 エッセイ集

「人類電子書籍化計画」執筆していた連載が一応完結したので、これを機に電子書籍化してみる。最強勇者もはだしで逃げ出すレベルの、苦悩の一週間

作者: 加藤 良介

 今回は私が「小説家になろう」にて連載していたファンタジー小説が、一区切りついたので、それらを電子書籍化してみた。と言うレポートになります。

 ご自身の作品を、電子書籍化してみようかなと、お考えの方の参考の一つとなれば幸いです。

 はい、皆様こんにちは。加藤良介でございます。

 突然ですが、自分の作品を電子書籍化してみました。

 勿の論で、執筆、編集、校正、全部私の、完全無欠の同人活動でございます。

 昨今は、便利なフォーマットが沢山ございまして、誰でも自分の書いた文章をネット上で販売することが出来ます。

 いや、便利な世の中になりましたね。

 アマゾンやキンドルで、自前の作品を簡単に出版できます。

 簡単に・・・・・・・


 結論から言いましょう。

 まったく簡単ではありませんでした。

 めっちゃ大変。

 時間はかかるは、進まないわで、頭抱えましたよ。呻きましたよ。本当に。


 あっ、誤解が無いように言いますと、フォーマットのせいではありません。

 中には使いにくいかなと、感じる物もありましたが、そこは、色々種類が有るので、自分に合ったフォーマットを選択すればいいだけの話です。ここは、簡単です。

 私も初めは、コピペで張り付けるだけの簡単なお仕事と、高を括っておりました。

 実際に、コピペで張り付けるだけで、完成いたします。

 後は、設定などをチョロッといじれば、基本的には終わります。

 でも、終わんないんだぁ、これが。


 何に足を引っ張られたかと言いますと、自分です。

 私が私の足を猛烈に引っ張ります。

 順を追って解説いたしましょう。

 


 其の一。


 電子書籍化に際して、私の中に幾つかの願望がありました。その中の一つが、「台詞の前後は改行して、スペースを作る」という、マナーからの解放です。

 これはマナーなのかな?

 やっていない人も沢山居らっしゃいますが、私はケータイで「小説家になろう」を読む方に、ストレスが発生しないようにと採用しています。

 これは、編集画面で地道にスペースを消去していくだけの作業。

 極めて事務的に、簡単に行えます。

 問題は次からです。



 其の二


 表示方法は絶対に縦書き。


 昔ながらの紙媒体信者である私は、小説を読む場合は縦書き以外認めないという、縦書き原理主義者です。

 正直、横書きの小説は読みにくい。

 エッセイとか、会議の資料なら横書きでも、全く違和感ありませんが、物語小説は絶対に縦書きの方がいい。

 そんな、縦書き原理主義者の私ですが、「小説家になろう」においては横書きで、作品を発表いたしました。

 だって、それがスタンダードなんだもん。

 なろうで作品を発表する限り、そのルールに従うことといたしました。

 こんな所で意地を張ったってしょうがない。

 しかし、自分で作る電子書籍の場合は、そんなルールに従う必要はないので、当然のように縦書きをチョイス。これが、地獄の始まりでした。


 皆さん。これをすると何が起こるかお分かりになられますか。

 まったく想定していない、トラブルが発生いたしました。

 それが、句読点問題です。

 正しくしは、句点問題。

 縦書き表示にした途端。私の小説は圧倒的に句点が足りていないことが、如実に浮き上がったのです。

 その数・・・・・・数えきれません。十や二十ではありません。感覚的には四百個は足りていなかったかな。

 全然打ってないじゃん。

 まぁ。これは、私だけに起った問題かもしれませんが。

 それまで横書きで表示してい時は、気にも留めていなかった句点の欠如に、縦書きにした途端、目につくようになりました。

 これは、表示形式の違いとしか言いようがありません。

 横書きだと、本当に句点の欠如が気にならないのです。

 なんでだろう。

 おかげで、句点を打ち直す作業が、しんどい、しんどい。

 何個あんねん。

 ここもない、あっ、ここも、ここもない。うーん。本当に日本人かお前。 

 句点が足りていない状態で縦書きで表示すると、紙面が美しくないんですよね。文字と文字が詰まって、すっげー息苦しい。

 横書きだと、そんなことないのに、不思議だなぁ。

 皆さん。縦書き横書きに、関心が無い場合は、横書きがお勧めです。

 めっちゃ楽なはずですよ。


 紙面の美しさの話が出たので追加いたしますと、其の一で語った、台詞の前後のスペースを削減するも、これの為です。

 改行してスペースを作ると、一ページ当たりの文字数が極端に減るので、紙面がスッカスカに見えます。

 こうなると、駄目なラノベ臭が強くなりすぎるので、個人的に嫌いです。

 昔の文学とかの何がカッコいいかと言うと、あの、圧倒的なまでの文字の集合体ですよ。読みごたえがありますよね。



 其の三


 設定がブレている。誤字が多い。


 連載はじめと、最新話では設定がブレていることが、ちらほらと見かけられました。

 発想や語り口がおかしかったり、知っているはずの事を知らなかったりと、色々ありますが、これは、ある意味では仕方ありません。

 私の設定がガバかったという事です。地道に修正いたしました。

 一番多かったのが、口調ですかね。

 読んでいて、ん? て思う事は多々ありましたけど、致命的なのは無かったです。

 一番、間抜けだったのは、キャラの名前を間違っている、でしたね。

 あー、恥ずかし。

 後、誤字多すぎ。



 其の四


 出だしがボロボロ。


 何が辛かったって。これが一番つらかった。

 皆さん。出だしですよ。出だし。小説の冒頭。

 ある意味で、一番重要な所じゃないですか。

 ここが、本当に酷かった。

 私が読者だったら、一話で切ってたよ。ほんと。

 前に書いたエッセイの中で、小説は出だしが大事とか、ほざいていたくせに、自分が全くできていませんでした。

 あんな出だしでしたが、多くの読者様が最終話までお付き合い下さいました。誠にありがとうございます。 

 伏して御礼申し上げます。


 では、なぜそれまでは、気にならなかったのでしょう。

 書いた後も何度も読み直したのに、私は出だしの歪さが気になりませんでした。

 ちょっと苦しいかなって程度です。

 実際には、窒息するレベルで苦しかったのですが。


 ここが、電子書籍化するかしないかの、大きな違いです。

 電子書籍化するという事は、世間様に値段を提示して、買ってくださいとお願いするという訳です。

 其の目線で見た時に、あの冒頭は無い。

 あんなもん、恥ずかしくて、出版なんて出来ませんよ。

 リアルに「これは無いな」と、口にいたしました。

 

 電子書籍化を目指すと、お金が絡んでくるので、目線が明らかに一段階高くなります。

 其の目線に冒頭部分は、具体的に言うと主人公の描写部分は、耐えられませんでした。


 どうして、あんな冒頭にしたか思い出しましたよ。

 あの出だしは、ガリア戦記の冒頭のパクリです。

 あ痛たたたたた。痛すぎる。余りの痛さに死んでまうわ。

 本当に申し訳ございませんでした。


 これの修正が本当に大変でした。精神的に。

 当初は、「小説家になろう」で投稿している部分はそのままにして、手直しした部分のみを電子書籍版に回すつもりでしたが、あまりの酷さに、一話は全部改修致しました。

 

 作業前は、「電子書籍化するんだから、外伝とかを加筆しようかな」とか、舐めた事を考えておったわけですよ。

 とんでもない。

 国語が出来とらん上に、読んでもらう気があるのかと、疑うレベルのオープニング。

 正に、みそ汁で顔洗って出直して来いって感じでした。


 どうしてこんなことになったかを考えると、二つ心当たりがあります。

 まず、無料です。


 「小説家になろう」は無料のコンテンツ。読んでいる方も書いている方も、お金は発生しません。ですので、よく言えば伸び伸び、悪く言っちゃうと適当に作品を仕上げてしまいます。

 作品に対しての責任感が低いんですよね。

 言ってしまうと、掲示板の書き込みの親戚です。


 これは、電子書籍にして値段を付けようとするまで、全く気が付きませんでした。私なりに一所懸命に書いていたつもりでしたから。

 しかし、値段を付けようとした瞬間、パチンのスイッチが切り替わりました。

 この作品で、お金が取れるのかと問われれば、答えはNO!!

 ストーリーとキャラには自信がありますが、基本的な国語が出来ていない。

 これは、同人と言えども世に出すの憚れますよ。

 この現実と、目の前に広がる修正点の数々に、打ちのめされました。辛かった。


 

 次が投稿頻度。


 「小説家になろう」において、投稿頻度と言うものは、非常に重要です。特に書き手にとっては。

 読専の方は気にされませんが、投稿者はPVを、めっちゃ気にしています。

 何万ポイントも稼いでおられる作者なら関係ないかも知れませんが、普通の投稿者の作品は、一度、投稿が途絶えると、作品のPVは急降下いたします。

 文字通り、ガクッと下がります。十分の一以下とかザラです。

 ほとんどの投稿者は、これに耐えられないはずです。

 これを避けるためには、コンスタントな投稿が求められます。

 毎日投稿などと言うのが、この現象の最たる例でしょう。

 そして、当然の帰結として、作品の質は低下いたします。

 これは、避けられない事です。

 前に書いた文章の手直しよりも、次のお話、次の舞台が優先されます。その結果、致命的な欠陥を抱えたまま、作品が進行いたします。

 ラグビーで、ボール持って、無理やり突き進むプレーあるじゃないですか。あのイメージに近いと思います。ありとあらゆる事を置いといて、ラインを目指すわけです。

 そりゃ、骨折しますよねって話です。

 私なんて、一話目冒頭でこれをやっちまった訳ですからね。そりゃPV伸びるわけがない。

 笛が鳴ってるのに、試合を続けたおバカさんが私です。


 しかし、今回の電子書籍化計画でようやく、気が付きましたよ。自分の作品の歪さに。

 一年掛かっちゃった。

 いや、本当に苦しい戦いでした。

 作者の皆さんもどうですか、電子書籍化計画。

 フォーマットによっては無料でやらせてもらえる所もあります。

 一度挑戦してみてはいかがでしょう。

 地獄が見えるはずです。



                終わり


 最後までお読みいただき、ありがとうございます。


 ご意見、ご感想などございましたらお気軽にどうぞ。基本的に返信いたしております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 電子書籍化、お疲れさまでした。(*_ _) 自分も「電子書籍化は誰でも簡単にできる」なんて話をチラリと聞いて以来、なんとなく少し興味があったので、色々と参考になるエッセイでした。 電子書…
[良い点] いやあ、恐ろしい話ですね。読んでいるだけで鳥肌ものでした(笑)
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