表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
111/164

111.水着 今度はプールで

 ポラーベ以外の誘拐団は、全て人間だった。拘束し、ツバーシャの瞬間移動で街の自警団署へ引き渡す。


 続いて、捕まっていた吸血魔たちは貴族街へ瞬間移動させた。ブリューツは彼らを自身の館の別館で休ませたいと言った。


 今回の親玉であるソルンの居場所はわからなかったものの、絞め上げた誘拐団の一人が、ソルンが水晶通信で何者かと話しているのを聞いたという。話の中で『ナデシッコ公国』という名前があったそうだ。


「ナデシッコ公国。たしか王国の隣国だったな」


 その国に行けばソルンがいるのかもしれない。それに吸血魔の王が言っていた。公国と手を組めば、吸血魔の国の暴走を止められるかもしれないと。


「行くとするか。ナデシッコ公国」

「そうね。悪者は地の果てまで追いかけましょう」


 深沙央さんは頷いた。そこへブリューツが話しかけてくる。


「お前たち、ナデシッコ公国に行くつもりなのか」

「そう思っているけど。でも俺たち王国以外に行ったことがないんだ。国境って越えられるのか?」


 ブリューツは少し思案にふけると


「今日は休んでいけ。明日にでも秘宝のあるところに案内する」

「秘宝のありかを知っているのか」


「もちろんだ。死んだ曾祖父様がおっしゃっていたそうだ。それにオレ様はろくな礼もせずに、お前たちを見逃がす男ではないぞ。我が家の迎賓館に泊まっていけ」


 ツバーシャを見ると、うつらうつらと、今にも眠気で倒れそうだった。俺と手をつないでいたから幼児退行こそしていないものの、今日だけで大勢の吸血魔と誘拐団を瞬間移動させたんだもんな。


 ついにツバーシャは俺の背中にもたれかかって、そのままズルズルと落下して眠ってしまった。これでは王都に帰れない。


「じゃあ、お言葉に甘えて、泊めてもらうよ」

「ああ。歓迎してやる。執事たちよ、宴の準備だ」


 俺たちは豪華な食事と部屋でもてなされた。



 翌朝。朝食のあとでブリューツに案内された場所は


「プールだと!」


 この世界にもプールがあったのか。プール自体はレンガで作られて、プールサイドの床は木材で出来ているものの、基本的なデザインは変わらない。どこの世界でも考えることは一緒なのだろうか。


「どうしてプールが?」

「プール? ここは我が鉱山や工場で働く者に向けて作られた保養施設なのだ」


 へぇ。よく見れば滑り台がある。滑り落ちればプールに入れるように位置取りされていた。ウォータースライダーほどではないものの、十分楽しめそうだ。

 プールサイドの奥には喫茶スペースもある。


「康史、午前中は遊んで行け。瞬間移動が出来るのであれば、急いで帰る必要もあるまい」


 そうだな。今朝、ツバーシャは朝食を取らずに二度寝してしまった。あの様子じゃ昼過ぎまで寝ていそうだ。


「康史君……」


 呼びかけられて、振り向けば。


「おおおうっ」


 プールサイドには水着になった深沙央さんたちがいた。


「どうかな? こういうの好き?」


 深沙央さんは淡いピンクのビキニを纏っていた。ボトムはミニスカート風。可愛らしくもあり、しかしその身体は色気あふれるオトナボディ。良い所どりを顕現させている。

 素晴らしすぎMAX。そんな彼女の彼氏は俺。生きていて良かった。


「そんなに見られると照れるんだけどなぁ」


 照れているのに逃げようともせず、俺の言葉と反応を待っている深沙央さん。よく見れば海で着ていた水着に比べると、胸を隠している布の上下幅が1~2センチほど短くなっている。これは俺との距離感が縮まった証なのか。


 さらに胸を見惚れているというのに、逃げない。怒らない。大好きが詰まった彼女の顔を見つめてみる。微笑み返される。俺は今、幸せで出来ている!


 さて、今回も水着の解説を、と思ったら、我が目がお隣のお姉さんに吸いついた。


「康史さん……」


 メグさんだ。メグさんのビキニは夏らしく南国の花柄。腰にはパレオを巻いていて、お姉さんらしさを演出している。


 問題はトップだ。海に行ったとき以上に、トップが胸に食い込んでいる。まるで胸が荒縄で縛りあげられているようで、イケナイ妄想が脳内に飛来した。メグさん、もしかして胸が成長していませんか。


「一番大きなサイズがこれしかなかったんです。なんだか自分が恥ずかしい」


 いいんです。それで。社会的に必要だと思います。耳を澄ませば大きな胸元から声が聞こえてくるような気がした。苦しい、助けて、と。

 よしよし。俺がビキニから解放してあげよう。救出作戦開始だ。そのときだった。


「お姉さま、さっそく水に浸かりましょう」


 深沙央さんの手を取ったのはポコリナだった。黒のタンキニ。背中には聖剣。


「こんな時でも武装してるのかよ」

「当然です。これはお姉さまから託された愛の証ですから」

「ふぅん」

「それにしても少年。明らかにお姉さまたちを見る時と、私を見る時では、瞳の輝度に大差がありますね。どういう事ですか」

「俺、タンキニって嫌いなんだ。露出したくないのなら水着を着るなよ」

「なんですか、それ! 何を着ようと私の勝手です。ご自分の趣味趣向で私の水着に介入しないでくださいよ」


 さてと、次は誰かな。あ、シーカだ。

 シーカは紺のフリルビキニだ。ヒラヒラが胸元で揺らめいている。猫ってさ、ヒラヒラしている物に手を伸ばすよね。俺も手を伸ばしていいかな。


「康史様、その、そんな目で見ないでください」


 わぁ、怒られたぁ。でも言葉とは裏腹に、羞恥の混じった消え入りそうな声で言われたものだから、こちらとしてはアブナイ感情が沸点を超える。しかし、俺は紳士だ。優しくしてあげるよ。


 そのときだった。俺の第六感が良いモノの存在を知らせたのは。


「マーヤさん! その姿は!」


 今回も、やってきました。旧スクール水着。しかも白!

ああ。水に入ると透けそうだ。希望の未来をもたらしてくれる希望の水着だ。

 マーヤは顔を赤らめると胸元を隠した。おやおや、隠すのは胸元だけでいいのかい? なんなら俺の手で隠すのを手伝ってあげても良いんだよ。


「康史様。イヤラシイ顔になってます。いい加減にして下さい」


 シーカがマーヤの前に立ちふさがる。


「説教してくれるのか。水着で。顔が赤いままで。本当は俺の前に立つのが恥ずかしいんだろう。仲間を助けるために頑張りおって。だけどな、俺にとってはシーカも目の保養の対象なんだよ。生まれてきてくれてありがとう」

「え、あ、ひゃうううう」


 羞恥の限界だったのかシーカが走って行ってしまった。マーヤも追う様にして俺の前から去っていく。二人とも必死だ。追いかけたくなっちゃうなぁ。


 するとポコリナが無言で近づいてきて、俺を担ぎあげた。

 え? どこへ連れていく気なの? まさか。


「やめろ。俺はまだ水着に着替えていないぞ!」


 ポコリナはなんの罪もない少年をプールに投げいれたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ