11話 アーマゲドン
激闘の末、米軍を壊滅的に追い込んたアヌはドナルド・ニクソン副大統領と停戦合意した。
そして自分の細胞と軍のナノマシーン研究資料をウトナに託した。
■登場人物の紹介
◇アヌ ナノマシーン研究開発者であり最初の適合者。ナノマシーン開発自体が彼の細胞を使って行われていた為に高い適合能力を見せるも。。
◇ウトナ アヌと共にナノマシーンの研究開発を行った科学者。
◇エンキ エンリルの母
◇エンリル 12歳のアヌとエンキの息子。小さい頃から病弱だつたがナノマシーンによって奇跡的に回復するも暴走するナノマシーンの騒動に巻き込まれてしまう。
◇エルヴィン エンリルの飼っている茶色のトラ猫。
◇ドナルド・ニクソン副大統領 米国副大統領。大統領が暗殺された為にその責務を代行している。
ウトナと話したその日からアヌは忽然と姿を消した。
誰も彼を探し出すことは出来なかった。
少しでも暴走を先延ばしにする為に地中深くで生命活動を極限まで止めて瞑想していたのだ。
この間に事態はあらぬ方向に進展した。
ドナルド・ニクソン副大統領は公式の場でこう発表した。
我々はかつてない深刻な境遇にさらされている。
今や我が国の国内における軍施設及び核兵器はことごとく破壊され国防総省も消失した。
我々は口にするにもおぞましい数の戦死者を出して敗北したのである。
一体何に敗北したのか?
それは信じられない事にたった一人の人間だった。
ナノマシーンの覚醒により超人化したたった一人の人間に我々は敗北したのである。
彼はこの世界にとって非常に危険だ。
なぜならその精神は錯乱状態にあり、崩壊しつつあるからだ。
そして彼は現在消息を断っている。
精神疾患のある人間が核兵器よりも恐ろしいチカラを持ってこの世界のどこにいつ現れてもおかしくないのです。
これ程の脅威は我々人類にとって未だかつて無かったでしょう。
現在、我国の軍は機能していません。
しかし、警察や司法は機能しています。
皆さん、どうかパニックにならずに落ち着いて過ごして下さい。
避難は不要です。
抵抗しても逃げ隠れしても全て無駄だからです。
今まさにここに彼が現れてここが消し飛んでも何の不思議もありません。
毎日、地震やハリケーンに怯えて暮らしても仕方が無いように考えない様にしているしかないのです。
ですのでその時が来るまで普段通りに生活して下さい。
死は全ての人に平等にいつかは訪れます。
受け入れるしかない事実です。
これは神の裁きなのやもしれません。
以上です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
これを受けた各国は国際連邦議会を開催した。(3章一話)
国際連邦会議にて米国と日本の代表者が拘束された同日、各国は時間合わせをして急遽用意出来た2000発余りの水素爆弾を含む弾道核ミサイルを米国ナノマシーン研究機関本部に向けて発射した。
意図的にか中にはナノマシーン研究機関以外を狙った物も多数あった。
米国海軍は混乱の中ただ呆然と見守る事しか出来なかった。
ホワイトハウス
副大統領のデスクの電話が鳴る。
ドナルド・ニクソン副大統領は何か騒がし気な受話器の向こう側の話を聞くと
「そうか。了解した。」
と、一言だけ言うと受話器を置いた。
ほくそ笑む副大統領。
「クックックックッ。。。」
「ハッハッハッハッハッ。。。」
「さぁ、残りの鉢をぶちまけろ!アーマゲドンはクライマックスだ!」
ロシア、旧中国の3カ国、インド、パキスタン各国から発射された長距離弾道核ミサイルは既に成層圏にまで到達していた。




