9話 選択
米国中の空軍基地と核ミサイロを地下から破壊してまわりついにはハリー・グリーン少将の本陣も消滅させたアヌは米国国防総省ペンタゴンをも一瞬にして破壊し尽くした。
■登場人物の紹介
◇アヌ ナノマシーン研究開発者であり最初の適合者。ナノマシーン開発自体が彼の細胞を使って行われていた為に高い適合能力を見せるも。。
◇ウトナ アヌと共にナノマシーンの研究開発を行った科学者。
◇エンキ エンリルの母
◇エンリル 12歳のアヌとエンキの息子。小さい頃から病弱だつたがナノマシーンによって奇跡的に回復するも暴走するナノマシーンの騒動に巻き込まれてしまう。
◇エルヴィン エンリルの飼っている茶色のトラ猫。
◇ドナルド・ニクソン副大統領 米国副大統領。大統領が暗殺された為にその責務を代行したいる。
ホワイトハウスには正面にレジデンスと呼ばれる大統領一家の暮らすよく知られた外観の白い建物がある。
その向かって左側、ウエストウィングと呼ばれるエリアに副大統領のオフィスがある。
その内側で人々は今まさに恐怖と絶望に支配されていた。
その一室でこんな状況の中満足げな笑みを浮かべる男がいた。
他でもないドナルド・ニクソン副大統領その人だ。
「全能者にして主なる神よ。しかり、あなたの裁きは真実で、かつ正しい裁きであります。」
副大統領は立ち上がると両手を広げて天を崇めた。
「偉大なる神よ。あなたは!あなたは!あなたは!正しい!聖徒と預言者の血を流した者たちに、血をお飲ませになりましたが、それは当然の事であります。」
「既にラッパは吹かれ、あの者の鉢はぶちまかれました。」
その目は血走っていた。
「ああ、黙示録はやはり我々を正しく導いて下さっている!」
「素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい。。。」
副大統領が感慨にふけっている時、その部屋の扉を一人の男がノックもなく静かに開いた。
副大統領は天を仰いだまま目だけ扉の方を向けた。
副大統領「貴方には感謝していますよ。」
扉を開けて立っていたのはアヌである。
アヌは戸惑った。
目の前の副大統領は自分を恐れていなかったのだ。
アヌ「感謝。。だと?」
副大統領「そうです!感謝です。。偉大なる神の審判を貴方は忠実なまでに体現しているのですぅ。。」
そしてブツブツ言い始める
副大統領「素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい」
副大統領「素晴らしい!!!」
アヌ:狂っているのか。。。?
アヌが疑いの目で見ていると急に副大統領は冷静になる。
副大統領「ああそうでした、あなたの望みは分かっていますよ。」
アヌはさらに訝しげに副大統領を見つめる。
副大統領「いいでしょう。貴方の大切な人達は私が責任を持って保護しましょう。」
副大統領「そして共にこの国難を乗り越えた暁には神に選ばれし民として子々孫々まで共に1000年の安寧を享受出来るのです。」
アヌ「1000年?何を言っている?」
副大統領「千年王国。我々はそう呼んでいます。」
アヌ「千年王国?」
副大統領「全ては神のみ心のままに。」
アヌ「さっきから何を言っている?私は終戦交渉をしにきただけだ。さっさと降伏して兵を引かせろ!さもなくばここも殲滅する!」
副大統領「降伏ですか。。。」
微笑む副大統領
副大統領「それよりここは一つ手を組みませんか?」
アヌ「こちらに何のメリットがある?何か企んでいるのか?」
副大統領「企んでなどいませんよ。見ての通り、私に貴方と正面切って戰うの力などありません。」
副大統領「しかし我々と組んだほうが貴方にはメリットがあります。」
副大統領「まず、ナノマシーン研究機関の警戒を解きましょう。好きなだけ息子さんの為に研究を進めてください。」
副大統領「さらに軍が進めているナノマシーン研究資料も提供します。」
副大統領「これ程の力だ。制御出来るなら国益に叶うでしょう。」
アヌ「千年王国とは何だ?」
副大統領はまた微笑む
副大統領「貴方は世界のパワーバランスを崩した。」
副大統領「やがてこの世界は戦乱の時代となりましょう。」
副大統領「必ず近いうちに最終戦争が起こります。」
アヌ「。。。」
副大統領「そこで貴方に今出来る選択肢は2つ。」
副大統領「我々と組んでご家族の保護と研究の再開を得るか我々を殺して孤高の道を行くかです。」
副大統領「我々は降伏などしません。」
副大統領「それならここを破壊して国を滅ぼしてそれで貴方の欲しいものは手に入るのでしょうか?」
アヌは何も言い返せなかった。
副大統領「政治の中枢がなくなれば統治するだけでも時間がかかります。一度無政府状態になってしまえば全米の研究機関や最新の施設の運用すら危うくなるでしょう。」
副大統領「そこに最終戦争です。貴方は一人でも勝てるでしょうが息子さん達はどうなりますか?」
副大統領「共に協力して最終戦争に勝ち、千年続くような神に祝福された国を作りませんか?」
副大統領「なにより今は息子さんの為に一刻の猶予もないのでしょう?」
その通りだった。
副大統領の提案には魅力があった。
アヌはとにかく時間が惜しかった。
エンリルは今この瞬間に暴走してもおかしくはないからだ。
アヌ:今は乗るしかないか。。
アヌ「分かった。その話に乗ろう。」
すると副大統領は満面の笑みを浮かべて
副大統領「交渉成立ですね。それは喜ばしい限りです。」
と握手をする為に右手を差し出した。
アヌは慎重な面持ちでその手を握った。
アヌ「約束は守れ。でなけれは次はない。」
副大統領「ええ、勿論です。」
副大統領:もし、貴方達が最後の審判に生き残ったならですがね。。




