35話 雨降って地固まる
ゲームの中のキャラクターの姿と能力のまま現実世界に出てきた他守ショウ。
サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。
ヤムと和解した後、バアルに移譲しようとした瞬間体が真っ二つに裂けたショウ。
心の中の謎の声が与えた青いオーラでミネルバを再召喚し、無事に復活を果たした。
■登場人物の紹介
◇他守ショウ VRMMORPGファーストアドベンチャー18からログアウトしたらゲームのキャラクターのまま現実世界に出てきてしまう。ナノマシーン適合者としてはこの世界最強のSSSS。緑から青いオーラにランクアップした。
銀髪に角があり、光を帯びた赤い目、口元には牙が見え、少し尖っ耳に爬虫類系の尻尾がある魔族設定のキャラクターだが中身の本人は童顔を気にする黒髪の28歳。
◇アナト ショウと一緒にサークルアンデッドと戦ったイシュタルの娘。ナノマシーン適合者ランクはSS。ショウからのチカラの移譲により赤いオーラからオレンジ色のオーラにランクアップした。
◇バアル アナトの兄。ナノマシーン適合者ランクはSS。オレンジ色のオーラを持つ。
◇ミネルバ ショウが呼び出した『ファーストアドベンチャー18のフェイスと呼ばれるパーティーメンバー補填用のNPC』召喚士。ゲーム設定ではヒュムリア王国の王女。
◇剛本剛 イ特特殊攻撃部隊『D』リーダー。ナノマシーン適合者。イシュタラの議員の決起により、ティアマトの赤いオーラに目覚めてランクはSSにランクアップした。
◇エンキ博士 かつてイシュタルを覚醒させたナノマシーン開発者。200年以上の時を超えてコールドスリープより目覚める。サークルアンデッドを使って大量の人体実験を繰り返した。
◇イシュタル アナトとバアルの母であり、全てのイシュタラに尊敬、崇拝されるイシュタラ達の女神。イシュタラの国を作り、放射能汚染から低ランクのイシュタラと魚たちを守るために命を落とした。
◇ポン太 シダーの森の住人。エルヴィンを生きていると認識している。見た目は可愛らしい小狐。
◇ヤム 神殿議会長。外海の魔神と呼ばれる回遊族のイシュタラ出身。人間殲滅作戦を考案。一応バアル達を立ててはいるが実質支配している。
◇アルル アルルの街の守護者。イシュタラ軍を率いて魔神軍と共にセラフィールド戦を戦った。10議員の一人でもある。
◇ウル ウルの街の守護者。10議員の一人。バアルの教育係をしていた。
◇エリドゥ エリドゥの街の守護者。10議員の一人。バアルの戦闘訓練をしていた。人魚の里の長
◇ラガシュ ラガシュの街の守護者。10議員の一人。亜人族の長
◇ウンマ ウンマの街の守護者。10議員の一人。声がダンディな獣人族の長
ショウ「ごめん。心配かけたみたいだね。。」
ショウ「もう大丈夫だ。」
そう言ったものの、あの心の中の声の言葉に不安を覚えるショウだった。
ショウ:じいちゃんがどうとか言ってたな。。夢?じゃないよな?
アナト「?。。どうかしたか?」
ショウ「いや、何でもない。」
アナトは何となくモヤモヤした感じがしたがヤムが話に入ってくる。
ヤム「失礼、移譲の件ですがやはり連続は厳しいと言う事で宜しいですか?」
ショウ「いや、さっきのは別の理由で。。」
アナト「別の?」
ショウ「何か。。。何か上手く言えない何かに横やりを入れられた様な。。?」
ヤム「まさか、エンキの?」
バアル「何!?」
その場に緊張感が走った。
シーンと静まり返る。。
アナト「サークルアンデッドの施設で何か仕込まれていた?。。とか?」
アナト「そうなると私も危ないか?」
ショウ「い、いや。そう言う訳でもないと思う。」
ショウ「生まれ付きの何か。。。そんな感じだった。」
アナト「?」
ショウ「と、取り敢えず移譲の続きをやろう!」
バアル「いや、それは。。」
アナト「他守、流石にあれを見た後にすぐ移譲はないだろう?せめて少し休んでくれ。」
ショウ「大丈夫だよ。心配ならもう一人、ミネルバの様なNPCを呼び出そうか?」
アナト「そう言う問題じゃない!」
少し怒った様子のアナトにショウは驚く。
ショウ「ご、ごめん。でも、ホントに大丈夫だから。」
アナト「今はとにかく休んでくれ。お願いだ。」
ショウ「。。。分かった。」
その返事を聞いてアナトはようやくホッとした様子だった。
そこに囚われの剛本も割って入る。
剛本「待ってくれ。移譲が中止になる場合はやはり人間殲滅が再開するのか?」
ヤム「その選択肢はありませんね。」
ヤム「外でもないアナト殿に続けてバアル殿の強化が出来る機会です。それに、これ以上イシュタラの民が割れるのは私としても不本意です。」
ヤム「それでも私と敵対しますか?」
剛本「人間殲滅を中止するならその必要はない。」
ヤム「宜しい。しかし、君はこのまま拘束させてもらいます。」
剛本「。。。」
ヤム「君に少し話があります。」
剛本「話?」
ヤム「ま、君の行動は色んな意味で無駄ではなかったと言うことですよ。」
剛本「ひとつアンタに聞きたい。」
ヤム「何ですか?」
剛本「俺は昔、親父をイシュタラに殺された。セラフィールドでだ。」
剛本「そして俺はその私怨を超えてここに来た。」
剛本「アンタはそのイシュタルが死んだと言う私怨を超えて話が出来るのか?」
ヤム「それは無理でしようね。」
ヤム「我々は常に被害者だった。」
ヤム「この海を死の世界に変えられた件にしてもね。」
ヤム「当時、セラフィールドでは自然に海へ崩落した核廃棄物以外にも地上にある多くの危険な核廃棄物をコンクリート詰めにして海に沈める計画をしていた。」
ヤム「そして実際に多くの工事関係者や技術者が集められていた。」
ヤム「あなたの父親もそこにいたのでしょう。」
剛本「。。。」
ヤム「そしてまた、今後未来においてもいつその様な蛮行をするかも分からない種族なのです。」
ヤム「しかし、エンキと言う存在がある以上は敵の敵は味方と言う考えは出来ます。」
ヤム「現時点ではですがね。」
剛本「敵の。。敵。。か」
ヤム「それ以上の関係になりたくば先ず変わらなければならないのは人間の方だとは思いませんか?」
剛本は言葉をなくした。
ヤム「今日はここまでです。後日、今度は私から話をします。」
ヤム「バアル殿、議員の方々は拘束を解いて下さい。」
ヤム「もう、争う理由はないでしょう。」
バアルは頷くと剛本以外の拘束を解いた。
アルル「すまない。我々は少し貴方を誤解していた様だ。」
ウル「私欲でそうしていたのではないのだな。」
ヤム「私も少し頑なになり過ぎていました。」
ラガシュ「我々は早まったのか。。」
ヤム「いえ、この様に良い結果を生めたのは皆がそれぞれに真剣にイシュタル様に忠誠を尽くし、このイシュタラの民を愛して行動しておられるからでしょう。」
エリドゥ「。。。お恥ずかしい限りです。」
ウンマ「ワンにんまきらんあちゃーから。。」
言葉の意味は分からないがとにかくウンマはとてもダンディな声だった。
ヤム「それでは他守君の事はアナト殿に任せて我々はこれで退きます。」
そう言うとヤム達は剛本を手のひらに軽々と乗せて去っていった。
その後ろを小狐のポン太が慌ててついていった。
後にはエリドゥとアナト、そしてミネルバとショウが残った。




