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25話 神殿議会2日目

ゲームの中のキャラクターの姿と能力のまま現実世界に出てきた他守ショウ。



サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。



しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。




※登場人物の紹介を後書きにつけています。

イシュタラ神殿議会室



議長のヤムはこの日も相変わらずその冷徹な面持ちのまま議会を開会した。



ヤム「本日の議会を開会します。」



ヤム「本日は83区のエンキ攻略について論議したいと思います。」



ヤム「現在、我々の努力の甲斐あって地上世界の人間達の約半数がその忌まわしき歴史と共に姿を消しました。」



ヤム「皆さんのイシュタル様への忠誠心に心より敬服致している所であります。」



ヤム「しかし、まだ尚半数もの人間が生き残り、地球を汚染し続けております。」



ヤム「自分達が汚したこの星の汚染源を回収しようともせずにです。」



ヤム「幸い、ここに居られるバアル殿、アナト殿他多数のイシュタラの民のご尽力により主だった汚染源は現在ようやく全て北極の氷の底深くに封印されました。」



ヤム「地球の生命の殆どを死に至らしめた罪を、彼等はその身をもって償わなければなりません。」



ヤム「現在、我が軍の大量捕食作戦により外海の魔神達のティアマトリンクのレベルは平均で一つ程度向上しているとのデータが上がっております。」



ヤム「来たるべきエンキとの戦いに向けて残り半数の人間達の命を地球への贖罪として我らに捧げさせ、さらなるレベルアップを計りたいと考えております。」



ヤム「何か意見のある方はおられますか?」



バアルが手を上げる。



ヤム「どうぞ。」



バアル「そうしている間にもエンキはどの様なチカラを手に入れているかわかりません。いっそ一刻も早く全軍で83区に攻め込んではどうでしょうか?」



ヤム「エンキを侮ってはいけません。十分な準備が必要です。それに、奴の研究を阻害させる手は打ってあります。」



バアル「それは?」



ヤム「魔神達で83区の原子力火力地力その他全ての発電施設の破壊と封印を決行する準備がございます。これにより83区全ての電力を一切使用不能にする事が可能です。」



議員達はざわめく。



ヤム「研究を続けるどころかコンピューターも動かせなくなります。」



ヤム「温度調節が効かなくなり、食料プラントは死滅するでしょう。」



ヤム「そうなると奴は研究が続行不能になり、必ず何処かに亡命しようと姿を見せる筈です。」



バアル「それでエンキが来る一番可能性の高い81区に私を張り付かせようと言うことか。。」



ヤム「ご苦労をお掛けしますがイシュタラ最強のチカラを持つ貴殿にこそこの要の任をお任せするしかないのが今の我々の現状なのです。」



バアル「それでその83区の発電所無効化はいつ決行されるつもりですか?」



ヤム「こちらの強兵準備が整うまで今しばしお待ち下さい。」



すると今度はアルルが手を上げた。



アルル「そんな悠長な事をしている場合かね?先日のサークルアンデッドの件ではあの他守ショウのデータが敵方に流れている可能性がある。」



アルル「もし、あの様なチカラを持った者を量産されるような事になれば我等は、ひとたまりもないのでは有りませぬか?」



ヤム「アルル殿、それは杞憂と言うものです。」



アルル「何じゃと?」



ヤム「81区にて行われた膨大な数の実験体の中であの様な適合者は彼一人です。」



ヤム「意図してそうそう作れるものでは無い事を彼ら自身が証明している様なものではありませんか。」



ヤム「かと言って我々ものんびりしている訳にもまいりません。」



ヤム「人間殲滅作戦に邁進まいしんし、早急に事を運ぶ必要があります。」



アルル「しかし原子力発電を使わぬ区の人間達まで殺す理由はなかろう?」



アルル「イシュタル様はあの様な酷たらしい所業は望まぬ。」



バアル「それについては私も同意見です。それに、他守ショウも我々と共に戦ってくれます。」



バアル「彼は相当な戦力になる筈です。」



バアル「何も人間全てを虐殺しなくても。。」



バアルの言葉を遮る様にヤムが口を挟む。



ヤム「貴方がたは甘いのです!」



ヤムの一喝に議会室が静まり返った。





■登場人物の紹介

◇他守ショウ  VRMMORPGファーストアドベンチャー18からログアウトしたらゲームのキャラクターのまま現実世界に出てきてしまう。ナノマシーン適合者としてはこの世界最強のSSS。緑色のオーラを持つ。

銀髪に角があり、光を帯びた赤い目、口元には牙が見え、少し尖っ耳に爬虫類系の尻尾がある魔族設定のキャラクターだが中身の本人は童顔を気にする黒髪の28歳。



◇アナト  ショウと一緒にサークルアンデッドと戦ったイシュタルの娘。ナノマシーン適合者ランクはSS。赤いオーラを持つ。



◇バアル  アナトの兄。ナノマシーン適合者ランクはSS。オレンジ色のオーラを持つ。 



◇ミネルバ   ショウが呼び出した『ファーストアドベンチャー18のフェイスと呼ばれるパーティーメンバー補填用のNPC』召喚士。ゲーム設定ではヒュムリア王国の王女。



◇エアバニー  81区警備局イシュタラ対策部特殊捜索1課(通称イ特)課長。役職は警視正。81区の英雄。ナノマシーン適合者ランクはS



剛本剛ごうもとつよし     イ特特殊攻撃部隊『D』リーダー。ナノマシーン適合者ランクはA



◇エンキ博士   かつてイシュタルを覚醒させたナノマシーン開発者。200年以上の時を超えてコールドスリープより目覚める。サークルアンデッドを使って大量の人体実験を繰り返した。



◇エンリル   エンキの子。エンキ同様どこかでコールドスリープにより眠っている。『時期』が来ればエンキは復活させる予定だったのだがかつて罪を犯したエンリルを隠す為にエンキとは別の場所で眠っている。



◇イシュタル   アナトとバアルの母であり、全てのイシュタラに尊敬、崇拝されるイシュタラ達の女神。イシュタラの国を作り、放射能汚染から低ランクのイシュタラと魚たちを守るために命を落とした。



◇人魚達

ローレライ   アナトについた人魚

メロウ     ショウについた人魚

メリュジーヌ  ミネルバについた人魚

リー      バアルについた人魚

イアーラ    剛本についた人魚



◇ローレライ  美しい歌声の金髪に碧眼の人魚。ショウに電撃を教える。



◇メロウ  小さな魔法の帽子をかぶっているショウのメタモルフォーゼの訓練を指導する事になった人魚。

笛吹いて人を魅了する事もある。



◇オンジ   アナトが名付け親となったサークルアンデッドの地下施設で捕らえられていた培養細胞から生まれた赤ん坊。ナノマシーンウイルスの耐性を持つ。



◇エルヴィン  生きているのか死んでいるのかわからない不思議な猫。



◇ポン太    シダーの森の住人。エルヴィンを生きていると認識している。見た目は可愛らしい小狐。



◇フワワ    イシュタルが創り出したシダーの森の守護者。獅子の頭にドラゴンの口胸から滝のように水の溢れ出る魔神。厳密にはイシュタラではなく、仮想生命のミネルバに近い存在。但しミネルバとは違いゲーム設定の縛りがないのでイシュタル亡き後も存在している。



◇ヤム     神殿議会長。外海の魔神と呼ばれる回遊族のイシュタラ出身。人間殲滅作戦を考案。一応バアル達を立ててはいるが実質支配している。



◇アスタルト  アナトの幼馴染。体が弱く街で薬屋営み実家で暮している。この国一番の情報通でもある。



◇アルル    アルルの街の守護者。イシュタラ軍を率いて魔神軍と共にセラフィールド戦を戦った。10議員の一人でもある。



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