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18話 神殿議会 2

ゲームの中のキャラクターの姿と能力のまま現実世界に出てきた他守ショウ。



サークルアンデッドとVRMMORPGファーストアドベンチャー18の正体を知ったショウ達は打倒サークルアンデッドを胸にイシュタラの国へとやってきた。



しかし、イシュタラの国の入国で女神の門の試練に失敗、近くにある人魚の里で修行をする事になった。



一方、剛本はエルヴィンという不思議な猫に出会い街を目指してシダーの森に入り、森の守護者フワワに街へ行く事を認めて貰う事に成功した。



そしてバアル達はイシュタル神殿に来ていた。




■登場人物の紹介

◇他守ショウ  VRMMORPGファーストアドベンチャー18からログアウトしたらゲームのキャラクターのまま現実世界に出てきてしまう。ナノマシーン適合者としてはこの世界最強のSSS。緑色のオーラを持つ。

銀髪に角があり、光を帯びた赤い目、口元には牙が見え、少し尖っ耳に爬虫類系の尻尾がある魔族設定のキャラクターだが中身の本人は童顔を気にする黒髪の28歳。



◇アナト  ショウと一緒にサークルアンデッドと戦ったイシュタルの娘。ナノマシーン適合者ランクはSS。赤いオーラを持つ。



◇バアル  アナトの兄。ナノマシーン適合者ランクはSS。オレンジ色のオーラを持つ。 



剛本剛ごうもとつよし     イ特特殊攻撃部隊『D』リーダー。ナノマシーン適合者ランクはA



◇エンキ博士   かつてイシュタルを覚醒させたナノマシーン開発者。200年以上の時を超えてコールドスリープより目覚める。サークルアンデッドを使って大量の人体実験を繰り返した。



◇エンリル   エンキの子。エンキ同様どこかでコールドスリープにより眠っている。



◇イシュタル   アナトとバアルの母であり、全てのイシュタラに尊敬、崇拝されるイシュタラ達の女神。イシュタラの国を作り、放射能汚染から低ランクのイシュタラと魚たちを守るために命を落とした。



フワワ    イシュタルが創り出したシダーの森の守護者。獅子の頭にドラゴンの口胸から滝のように水の溢れ出る魔神。厳密にはイシュタラではなく、仮想生命のミネルバに近い存在。但しミネルバとは違いゲーム設定の縛りがないのでイシュタル亡き後も存在している。



ヤム     神殿議会長。外海の魔神と呼ばれる回遊族のイシュタラ出身。人間殲滅作戦を考案。一応バアル達を立ててはいるが実質支配している。



議会室



そこは11席の椅子と豪華な白い長机があるだけの部屋にしてはかなりの広さがある。



学校の教室に例えるなら議長の席は教壇だ。



議長席の後ろ、少し離れて黒板の位置にはイシュタルの鎧と剣と盾が鎮座しそれを挟んで両脇にイシュタラの国の国旗と軍旗が飾られている。



向かって右側に入り口があり、兵が外に二人立っているが中からはあまり解らない。



そして左側は全面窓になっており部屋を明るく照らしている。



議長席を挟むように右にバアル、左にアナトが座りそれから他の議員達が座っている。



そして右の末席に空席があり、そこはフワワの席と言うことに一応なっている。



床にはよく手入れさるたかなり毛の長いそれでいて品格のある赤い絨毯じゅうたんが敷かれている。



そんな神殿議会室はこの国の重大意思決定をする政治の中心である。



その中で議長ヤムとバアル、アナト他主だった議員達はバアル達の久々の帰還にともない、緊急で会議を行っていた。





ヤム「幸い他守ショウは敵方に回らなかったものの女神の門が通さない以上は油断は出来ない存在には変わりないと私は判断します。」



ヤム「それに、今後また敵方にこの様な我々を凌駕するチカラを有した者が出てくる可能性があることをこそ憂慮される懸念事項としてこの機会に対応を決めておくべきかと思います。」



バアル「その件ですが当面は大丈夫かと。」



ヤム「何故ですか?」



バアル「今回の件は人間社会に報道され、サークルアンデッドの事は一般の81区民に知れ渡る所となりました。そしてこの後一斉にサークルアンデッドに捜査が入るでしょう。被験者は全て保護されエンキの手に落ちる事はないと思われます。」



ヤム「バアル殿、それでは手緩いのではないですか?81区も別に味方と言う訳ではないのです。憎むべき我等が敵に変わりはありませんぞ?」



ヤム「不確定要素はあてにせずに我々自ら将来禍根を残さぬ措置を講ずるべきです。」



バアル「しかし81区は現代におけるエンキの巨大な実験場と言えます。被験者達は我等が女神イシュタル様のかつての状況と同じ立場にあります。人間から進化した同じナノマシーン適合者として共闘すべきではなきかと私は考えます。」





バアル「難しいのは彼等は既に自らの意思でナノマシーンの適合者となるシステムを持っている点です。81区並びに83区を強引に落とせば彼らの中から望んで危険な適合施術を受ける者が多数出て来るでしょう。」



バアル「中には他守ショウの様な者が出てきて敵に付くとも限りません。」



ヤム「だからですよ。今、全総力を挙げてそんな暇を与えずに殲滅しておかないと非常に危険なのです。」



ヤム「虫は見つけたら早い内に駆除しなければ手に負えなくなる。と言う事です。」



バアル「。。。ですが他守ショウの事もあります。」



バアル「居場所を失ったとは言え故郷の81区を潰すのは他守ショウも看過しないでしょう。」



バアル「それに81区のイ特とは既に対83区で密約を結んでいます。今は83区にいるエンキのみにターゲットを絞るのが得策かと思います。」



バアル「虫を駆除するには巣穴から。と言う事です。」



ヤム「フッ。。。バアル殿も言うようになりましたな。」



ヤム「少し81区に肩入れし過ぎではありませんか?」



バアル「そうでしょうか?」



バアル「81区にはエンキの子エンリルがまだ眠っている可能性もあります。滅ぼすより生かしておいて数の力を利用して捜索させた方が得策でしょう。」



ヤム「なる程、そう言う事ですか。それではバアル殿は引き続き81区にてエンリルを捜索する。と言う事で宜しいかな?」



議員の一人「そ、そんな。それではまたバアル様は長期で政務を離れる事に。。」



バアル「。。。」



バアル「いいでしょう。」



アナト:兄上。。。



ヤム「83区の対応については明日の議会にて議論したいと存じます。」



ヤム「それでは皆様、これにて本日の議会を閉会します。」



ざわめく議員達を残してヤムは颯爽さっそうと部屋を出ていった。



議員の一人「やれやれ、これでまた当分ヤム議長の独断状態になるな。。」



議員の一人「言葉を慎みなされ。」



議員の一人「しかし、ようやく81区のイ特並びにサークルアンデッドの対応に区切りが付いたというのに今度はエンリルとは。。」



議員の一人「全くじゃ。バアル様にはご苦労をおかけしっぱなしで自分の不甲斐なさに腹が立つばかりじゃ。。」



バアル「皆、私なら大丈夫だ。」



バアル「此度こたびはまだ礼拝堂にも行けていないので私もこれで失礼する。」



バアル「アナト。母様にご挨拶に行こう。」



アナト「はい。。」



バアルが立つと議員達は全員起立をして礼をする。



バアルが幼少の頃より仕えて来た議員達の忠誠心はバアルに向いているのが伺える光景だった。



そんな議会室を後にしてバアルとアナトは最上階にある礼拝堂へと向かった。





神殿の構造上、最上階に上がるには頂上まで一直線に伸びる外の階段を使う必要がある。



階段に向かって外側を歩いているとそこで一人の少女が二人を待っていた。



少女「アナト!」



少女の名はアスタルト。



アナトとは幼馴染だ。



体が弱く実家の薬屋で暮している。



アナト「アスタルト。久し振りだな。」



アナトはアスタルトの頭を撫でる。



アナト「うん。顔色も良さそうだ。」



アスタルトは目に涙を浮かべながら笑顔を見せた。


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