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廃核の海 〜ログアウトしたらゲームの魔族キャラのままでした〜  作者: 織雪ジッタ
こんな姿じゃ生きていけない
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3話 インビジブル

3 インビジブル



体の感覚が元の寝転んだ状態に戻り、『ファーストアドベンチャー18』のタイトル画面に戻る。



そしてショウはゆっくりと目を開けた。



見慣れた天井が見える。



いつもの自分の部屋だ。



なんとなく安心した。



しかし、ほっと胸をなでおろしたのも束の間、起き上がってまず自分の着ている服に目を疑った。



それは赤魔導士の専用装備『レッドソーサラーローブ』そのものだった。



ショウ「え!?なんで!?」



うろたえながら自分の体や衣服を確かめる。



ショウ「あ、あれ??うそ??」



筋肉量も衣服も何もかもが本来の他守ショウとは違いゲーム内のtamoriそのものだ。



ショウ「そ、そんなまさか。。」



あわてて洗面所へ駆け出し、恐る恐る鏡で自分の顔を確かめるとその姿にショウ絶句した。



頭の上に白く輝くtamoriの文字。



銀髪の奥ににするどく光る赤い眼光。



驚いて少し開いた口から見える牙。



全てが自分が作り育て上げたtamoriそのものだった。



挿絵(By みてみん)



手足がブルブルと震え、心臓が張り裂けそうにドクドクする。



脈打つ心臓の鼓動が本当に聞こえてきそうなほどだ。



目の当たりにした状況を受け入れられないショウは、そのまま腰が砕けたかの様にヨロヨロとした足取りで部屋に戻ると



ショウ:落ち着け。。落ち着け。。落ち着け。。落ち着け!!!



と、心の中で何度も何度も自分に言い聞かせた。



ショウ「何が起こっているんだ?ゲームのバグか?」



ショウ「ゲ、ゲームのバグなら。。。そうだよ!オフィシャルに何か載ってるはずだよな??」



すがる思いでゲームのオフィシャルサイトを確認することにした。



ショウ「インプル!」



脳を補助するシステム『インプル』のコンソールを呼び出す。



その呼び出しフレーズ『インプル』を声に出すと、目の前にインプルのコンソールが現れる。



インプルは文字の出力と同時に音声でも会話ができる。また、先程のように目を閉じて脳内でも操作できるモードもある。



インプル「こんばんは」



インプルはそう音声を発して、同時に目の前のコンソールにも「こんばんは」と表示されてチカチカとカーソルが入力を待っている。



ショウ「ファーストアドベンチャー18の状況を調べてくれ」



インプル「わかりました」



そしてインプルの説明が始まる。



インプル:

ファーストアドベンチャー18は、インプルシステム上で動作するVRMMORPGです。

E.C.249年 ファーストアドベンチャー18サービス開始

250年 ファーストアドベンチャー18 第二章エリア開放

251年 ファーストアドベンチャー18 第三章エリア開放

254年 ファーストアドベンチャー18 AR機能実装




ショウ「え?AR機能?? そんなのあったんだ。。ひょっとしてその影響??」



インプル:257年末、ゲーム制作会社サークルアンデッド倒産によりファーストアドベンチャー18サービス終了



ショウ「え。。。?」



その瞬間ショウは固まった。



ショウ「しゅ、終了??」



汗が吹き出る様な気がした。



ショウ「そ、そんな、まさか。。?さっき普通にログイン出来たし。。?」



そう言うとショウはまたインプルでファーストアドベンチャー18のタイトルを確認した。



すると今度はタイトルロゴの下にコメントが流れていた。



『現在、メンテナンス中です。メンテナンス終了時間は未定です。現在プレイする事は出来ません。』



ショウ「な、何だよそれ!?GMコールは!?」



ショウは慌ててゲームの方のコンソールからGMコールしようとしたがメニュー自体がなくなっていた。



ショウ「インプル、ゲーム制作会社サークルアンデットを調べてくれ」



インプル「ゲーム制作会社サークルアンデットの検索結果はありません。」



ショウ「はぁあ!?」



ショウ「ちょ、ちょっと待ってくれよ!!どうすんだよこれ!?」



ショウ:お、落ち着け、最初から落ち着いて考えろ!まずARからだ。もしAR機能のバグならこの姿に見えているのは自分とファーストアドベンチャー18のプレイヤーだけの筈だ。

まずはいつもの売店に行って酒を買ってみよう。

見た目が変わってないなら店のオヤジが必ず声をかけて来る筈だ。



ショウ「。。。。。。。。。。。。。。。。」



ショウ「よし、まずは確認だ!」



ショウは何か覚悟を決めたように立ち上がった。



そして近未来的な雰囲気の玄関で息を呑む。



部屋を出るときに知り合いに出くわしてもし、向こうからもこの姿に見えていたら明らかにおかしい。



不自然過ぎるぐらい不自然だ。



下手をしなくても通報されるかもしれない。



いや、間違いなく通報される。



だってどう見てもこれは今、世間を騒がせている『イシュタラ』そのものだ。



下手をしたら大騒ぎになるかも知れない。



ショウの額に汗がにじみ出る。



ショウ「!そうだ。。」



ショウ:ゲームだったら姿を消す魔法がある。この姿がもし自分にだけ見えているなら消える魔法も自分が消えていると思っているだけになる。

なら売店まで行かなくても消えた状態で他の人の反応を見れば取り敢えずこの現象を自分だけが見えるのかどうかわかるはずだ。



そう思うやすぐに「インビジブル!」と唱えた。



そして魔法詠唱ポーズをとると足元に魔法陣が現れ、「tamori」の姿をかき消えた。



ショウ:ゲーム内と同じだ。。。



鏡を見ても自分の姿はない。



ショウ「よし。。」



そうしてようやく、ショウはドアの外に人の気配がないか十分に確認しつつ、そっとドアの外に出た。



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