10話 紫の光
83区軍はラフムとモモイという二人の刺客をイ特に向けて放つ。
一万の軍勢を引き連れて二人が迫る中、特殊部隊DとPの許で不可解な出来事が多発していた。
一方、剛本はシュンイーとシュンイルという謎の赤色覚醒者に襲われて絶体絶命にピンチに陥っていた。
剛本はぼんやりとした意識の中、今にも消えそうなうっすらとした小町の姿を見た。
小町:剛さん。。。剛さん。。。
小町:手を取って。。。
そう言われて無意識に手を伸ばし、その小町の手を握る。
しかし、それと同時に小町の姿は露の様に消えてしまう。
剛本「こ、小町!?行くな!!戻ってこい!!」
その瞬間、はっと目覚めた。
すると目の前にコマチンの顔がある。
コマチン「剛さん、大丈夫?」
剛本「こ、小町?どうしてここに。。?他守達の所にいたはずじゃ。。。?」
コマチン「アチシはね、どこにでも現れるの!さ、立って!」
ふとコマチンの後ろを見るとシュンイーとシュンイルが膝をついて苦しそうにこちらを睨んでいる。
剛本「そうか、お前が助けてくれたのか。。」
シュンイー「何だあの猫耳?相当ヤバいぞ?」
シュンイル「クソが!」
シュンイルは赤いオーラを触手のように伸ばしてコマチンをつかもうとする。
しかし、コマチンが振り向きざまにフゥーッと息を吹きかけるとそれはいとも簡単にかき消えてしまう。
かと思うと次の瞬間コマチンはシュンイルの目の前に現れてデコピンをかます。
コマチン「ほれ」
するとバン!という銃声にも似た爆音と共に数百メートルは吹き飛ばされて凍った海面を割って海へと突き刺さるように落ちた。
そしてチラリとシュンイーを見てコマチンは言う。
コマチン「よくも剛さんをイジメてくれたわね?」
シュンイー「な、なんなんだ?お前は?」
コマチン「アチシ?アチシはこのナノマシーンの力を創造した者。」
剛本:。。。!?
コマチン「そしてお前たちのボスの愛していた猫。」
シュンイー「な、何言ってやがる?」
コマチン「そして剛さんを守るイ特の元隊員、コマチン(小町)よ!」
そしてコマチンは白く輝き始める。
シュンイー「な、何だよその白い光は!?き、聞いたことねーぞ!?」
コマチン「知る必要もない。消えなさい!」
真っ白なその光に包まれてシュンイーは跡形もなく消え去った。
なんとか海から這い上がったシュンイルはその光景を見て愕然とする。
シュンイル「き、聞いてないぞ。。。こんな化け物がいるなんて。。。」
慌てて海に潜ってその場から逃げる。
シュンイル:じょ、冗談じゃねえ!あんなの無理だ!退却するしかねぇ!
シュンイルはそう心の中で叫びながら海の闇の中へ消えていった。
コマチン「逃げたか。。。一世代前の未完成体か、本体やショウと違ってデキが悪いな。。。」
と、少し不愉快そうなコマチンを見つめながら剛本は
剛本「ありがとう小町、助かったよ。」
と、少し気まずそうに礼をいう。
コマチン「フフフ、どういたしまして。ケガはない?」
剛本「ああ、何でもない。それより小町、アイツ等は一体。。。?」
コマチン「アヌやショウのニセモノみたいなものよ。」
剛本「ニセモノ?」
コマチン「そ、遺伝子は同じでもティアマトのリンクが不完全な欠陥品よ。奴らにとってはたどの捨て駒。」
剛本「遺伝子が同じ。。。?人工的に人間を作ってるのか。。。」
少しの間、沈黙が二人を包む。
剛本「なあ、一緒にイ特の野営地に戻らないか?」
コマチン「そうしたいけど、戻らなくちゃ。」
剛本「そうか。。。」
コマチン「うん。。。」
しかし、そう言って頷いて剛本の方を見たコマチンの視線の先に紫色の光が見える。
見覚えのある光だ。
コマチン「あれは。。。まさか!?」
剛本「どうした?」
コマチン「あっちの方、あっちの山の方に今紫色の光が見えたわ!」
コマチンの指差すその方向に剛本は覚えがあった。
剛本「そっちは。。。イシュタラの野営地の方だな。どうした?」
コマチン「アチシ、いかなくちゃ!」
剛本は困惑の色を隠せなかったが、そこに剛本の方にも部隊から連絡が入る。
プルルルルルルルルルル。。。
剛本「とうした?」
剛本「何!?わかった。。。すぐ戻る!」
険しい表情になる剛本。
剛本「ヤレヤレ、こっちもトラブル発生してるみたいだ。小町、ここでお別れだ。」
コマチン「うん、絶対に死なないでよね?」
剛本「あぁ、お前もな。」
コマチン「。。。」
剛本「どうした?」
コマチン「ううん、何でもない!大丈夫!アチシは特別だからね!」
剛本「ああ!俺たちは特別だ!」
コマチン「じゃ、行って来る!」
そいういとコマチンは紫の光が見えた方向に駆け出すと、夜の闇にすうっと消えていった。
それを見送った剛本も再び赤いオーラをまとってイ特野営地に向けて飛び去って行った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イシュタラ野営地
バアル達が集まる中、突然にそれは現れた。
怪しく光る紫のオーラ。
くるみ割り人形だ。
そのオーラからはとてつもないチカラを感じる。
バアル「こ、これが例の。。。」
バアル:こ、こんなものに勝てる訳が無いぞ。。。どうする?
ヤム「バアル殿、危険です!お下がり下さい!」
ヤムはバアルを庇う様に前へ出ると懐から注射器の様なものを取り出した。
ヤム「グレピオス、感謝する。これでイシュタル様に最後のご奉公が出来る。」
そう言うと一瞬、思い詰める様にその注射器を眺めて、それから自らの舌先にそれを差し込んだ。




