3話 暴動
ショウの祖父の保管していた『くるみ割り人形』がアヌや曽祖父の三浦シュウの罠であることに気がついたショウ達は27番地MNOの秘密基地でこれからのことを話し合っていた。
そこに、かつてサークルアンデッドの地下施設でショウ達に危険を知らせた東風平が呼ばれる。
そして、47番地の惨状とサークルアンデッドの狙いを訴えた。
その時、突然停電になった。
真っ暗だ。
ショウ「停電?」
アナト「敵襲か!?」
エアバニー「おいおい。。。」
バアル「皆さん、落ち着いて下さい。」
バアルは自らオレンジ色のオーラを放って周りを照らした。
バアル「ご安心下さい。補助電源に切り替えます。」
そうしてしばらくして電源が復旧した。
バアル「速報を見てみましょうか。」
バアルがそういうと部屋の中心に空中ディスプレイが投影され、ニュースやテキストの速報がいくつか映された。
そして、すぐに全員の顔に驚きの色が走ることになる。
『全番地で停電発生!復旧の目処たたず。長期化する模様。』
『テロか?全番地一斉停電。混乱する81区』
バアル「全番地で?これは。。。?」
エアバニー「もう動いて来やがったか。かなり大掛かりな攻撃だな。これは戦争になるぞ。」
エアバニー「サスケ!入れ!」
サスケ「お呼びでござるか?」
入口が開いた訳でもなく、どこからともなくスッとエアバニーの隣に現れた忍者。彼は特殊工作部隊『H』リーダー城戸サスケ。
エアバニー「お前の部隊で急ぎ情報収集に走れ!大至急だ!」
サスケ「承知したでござる!しからばごめん!」
そう叫ぶとサスケは煙を出してドロンと消えた。
そして、どこかから「ニンニンニンニン!」と叫ぶ声が遠くへ消えていった。
アナト→ショウ:「お、おい見たか?」
ショウ→アナト「うん。」
アナト→ショウ:「なあ?今のあれ、忍者じゃないか?」
ショウと目が合ったアナトは明らかに興奮気味だ。
アナト→ショウ:「忍者だよな?ずっと気になってたんだ。エアバニーの後ろで布もって壁にへばりついてたの。」
アナト→ショウ:「あれってアレだよな?『忍法かくれみの』ってやつだよな?」
ショウ→アナト:「え?なに?オクレ?」
アナト→ショウ:「ちがう『かくれみの』だ。絶対そうだ。私も以前似た技で隠れてだろ?」
ショウは最初にサークルアンデッドの地下施設でアナトが壁に擬態していたのを思いだす。
ショウ:あぁ。あれかぁ。
アナト→ショウ:「な?ホラ!やっぱり忍法だったんだ。アレ!」
何故か誇らしげなアナト。
ショウ→アナト:「落ち着けって!今は忍者どころじゃないだろ?」
ショウ→アナト:「これから戦争になるかもしれないんだぞ?ちゃんと聞いてないと。兄様にしかられるぞ?」
アナト→ショウ:「あっ!そ、そうだな。すまない。つい。」
少し恥ずかしそうなアナトを見てショウは少しホッとしたような気がした。
ショウ:アナトも子供っぽいとこあるよね。。。
しかし、そんな二人以外はかなりシビアな空気だ。
剛本「クソ!ここまで来て人間同士で戦争か!」
バアル「どうする、か。剛本君、81区の首脳達は今回の同盟と83区との戦いについても賛同頂けているのですよね?」
剛本「あぁ。もちろんだ。グダグダ抜かす老人は全員有無を言わさずに隔離した。奴らは83区に買収されていやがった。利権と汚職でどうしようもない連中ばかりだ。」
エアバニーは思う。
エアバニー:うわぁ。。。剛本君、それクーデターって言うんじゃねーの?
バアル「それは何よりだ。ならばすぐに同盟を世界に発表しよう。その上でイシュタラの国と81区の連合軍でアヌ達と84区を迎え撃つ。」
バアル「敵の第一目標はやはり他守君の奪取だ。予定は変わるが調印式などやってはかえって的になる。その旨を伝えてくれるか?」
剛本「了解した。で?それでもアヌが出てきたら結局、他守と小町。。。いや、コマチンを出すしかないんだろ?結局同じじゃないのか?」
バアル「違うさ。どこにいるかいつ来るかも分からない相手を迎え撃つのと、既に姿を現した相手と戦うのとではね。」
バアルか「他守君を手に入れられずに、向こうも少し焦っているのかもしれないね。」
剛本「小町。。。いや、コマチン。無理はするなよ。危なくなったら一回退くことも忘れるなよ。」
コマチン「剛さん。。。ありがとう。心配しないで。アチシ、すっごく強いから!」
剛本「分った。。。信用している。」
剛本:小町。。。いつか、いつかきっと俺が何とかお前を元に戻して見せる。それまで絶対に死ぬなよ。。。
その間にもニュースの情報はどんどん切迫してゆく。
『速報!81区原子力発電所テロ!30箇所一斉に爆発!』
『速報!複数の原子力発電所爆発!同時多発テロか。83区の工作員を多数確認』
『83区軍、南部に集結しているとの情報。』
『81区、各地で暴動を確認。83区移民地区に戒厳令。』
『暴徒化した移民街』
83区からの移民達によって組織的に一斉に暴徒化したのだ。
81区全土で火の手が上がりつつあった。
それは傀儡を許した棄民の末路にも見えた。




