28話 悶々
イ特内部に近隣の83区の工作員が入り込んでいる可能性を疑ったエアバニーは調査に出した特殊工作部隊『H』のリーダー城戸サスケからイ特副隊長ナムの裏切りを報告される。
剛本の心を折る為に密かに狙われた小町は、サスケが隔離病棟へ潜入した時すでに心臓の鼓動が停止していた。
しかし、覚醒者である小町はそれでもまだ死んではいなかった。
小町を助けるべく剛本はエルヴィン共にショウ達を説得することに成功した。
エアバニー「おい!」
サスケ「。。。。」
サスケは明らかに動揺した表情で窓の外を眺めている。
エアバニー「おい無視するな!」
このリビングルームは広々とした空間で南側は一面ガラス張りになっている。
この一番地1号カプセル内を一望できる眼下に広がる景色は絶景だった。
しかし、サスケの目にはそんなものは映ってはいなかった。
エアバニー「おい、さっき隠した巻物をだせ。」
サスケ「な、何のことでござるか?」
エアバニーはため息をつく。
エアバニー「なあ。」
エアバニー「お前は仮にも警察という組織の人間だぞ?こんなこそ泥みたいな行為が許されるとでも思ってるのか!?」
エアバニーはズカズカとサスケに近寄るとサスケの胸元から手を突っ込んだ。
サスケ「や、やめるでござる!!何も隠してないでござる!!」
エアバニー「嘘を付くな!その巻物がいくらしたと思ってんだ!!返せ!!」
サスケ「ぬ、ヌレギヌでござるよ!!やめるでござる!!」
サスケ「やめ。。。」
エアバニーがサスケの服の中から巻物を掴もうとしたその瞬間、部屋の中が一瞬明るく光った。
そして気が付くと剛本とエルヴィン、ショウとミネルバがそこに現れた。
ショウ達の前には嫌がるサスケの服の中に手を突っ込んでいるエアバニーの姿があった。
ショウ「あ。。。」
ミネルバ「イヤッ」
剛本「。。。(汗)」
エルヴィン「うわ。。。何してるの?」
気不味い空気が流れる。
エアバニー「え?あ!!違う!!コイツが俺の大切な巻物を。。。」
と、エアバニーが言いかけたところにサスケは急にしおらしく泣き崩れて剛本にすがる。
サスケ「助けて剛本!たいちょううえがぁぁぁ!!いきなりっ酷いんですぅぅ!!」
エアバニー「おいーー!?何だその誤解を招く言い方は!?」
剛本「隊長、まさか。。。?」
エアバニー「お前まで信じるな!!」
サスケはすかさずエアバニーに
サスケ→エアバニー:隊長上、あの巻物を拙者にくれたら上手くごまかしてあげるでござるよ。
サスケはボコボコながら悪い顔だ。
エアバニー:くっそー!!コイツわざとか!!!
エアバニー→サスケ:何でそんなにあれが欲しいんだよ!?
サスケ→エアバニー:だって拙者、忍者でござるから。
エアバニー呆れた顔でサスケを見る。
エアバニー:はぁあ?
サスケ→エアバニー:忍者といえば巻物でごさるよ。
何故かサスケはぽっと頬を赤らめる。
エアバニー:ダメだコイツ。。。
しかし、その光景を見て周りにいた他の面々は見てはならない物を見てしまった気がした。
ショウ:うわぁ。。。
ミネルバ:。。。
剛本:。。。
その冷たい視線に気がついたエアバニーはハッとすると
エアバニー:い、いかん!
エアバニー→サスケ:だぁぁあ!!もう、分かった!!やるよやる!!だからこの状況をなんとかしろ!!
サスケはその瞬間、会心の笑みを浮かべる。
サスケ:よっしゃぁぁあ!!!
そして突然態度を変える。
サスケ→エアバニー:男に二言はないでござるよ!
と、エアバニーに告げるとスクっと立ち上がり自ら上着を脱ぎ去って上半身裸になった。
サスケ「セパレーション!!」
エアバニー:何ーーー!??
すると、その鍛え上げられた背中一面に『迷子のネコ』をモチーフにした洋風のTATTOOが彫られているのが露わになった。
因みにポーズはボディービルで言うところのバックダブルバイセップスだ。
全員『ええええ!!!???』
ショウ:どんな忍者だ。。。
エルヴィン:背筋すげぇな
そして振り返り、サイドトライセップスのポーズとなる。
サスケ「これで満足でござるか?」
サスケは大胸筋をピクピクさせながらキリリとしてエアバニー尋ねる。
エアバニー「え?」
何が何だかわからないといった表情のエアバニーをさらに畳み掛ける。
サスケ「隊長上の察しの通り、拙者は元ロックンローラーでござる。」
ショウ:一体どういう経歴の持ち主なんだ。。。?
ミネルバは顔を真っ赤にしてショウの後ろに隠れている。
剛本:何なんだ。。。?
エアバニー:ロックンローラーってこんなだったっけ???
因みにエルヴィンはその背中に掘られた迷子と言うにはゴージャスな猫に反応していた。




