20話 トントンマル
最近の登場人物
◇時の天皇
200年前に『加護』により不老不死となった。しかし、氷河期の終わりと共にその体は病に冒されて次第に弱り続けていた。
◇竹田氏
天皇の代理で24番地を治めている。
病の天皇を治癒する為にショウ達に回復魔法を依頼した。
◇景丸
ショウが呼び出したマスクの一人。元々硬派な忍者キャラなのだが呼び出しの際にショウが別の格闘ゲームをイメージしながら呼び出した為に色んなキャラクターの性格が入り混じってしまった。
◇エアバニー
81区警備局イシュタラ対策部特殊捜索1課(通称イ特)課長。役職は警視正。81区の英雄。ナノマシーン適合者ランクはS
◇剛本剛
イ特特殊攻撃部隊『D』リーダー。イシュタラの議員の決起により、ティアマトの赤いオーラに目覚めてナノマシーン適合者ランクはSSにランクアップした。
小町が持ち帰ったナノマシーンウィルスがイ特内でクラスター感染を起こした為にエアバニーの特命を受けてナノマシーンウィルスの血液製剤をイシュタラの国から持ち帰る。
◇藤原小町
イ特特殊攻撃部隊『D』ナノマシーン適合者ランクはA
イ特のサークルアンデッド施設立入り操作を緊急執行した際に捕らえられていたナノマシーン被験者からナノマシーンウィルスを感染してしまう。剛本の持ち帰ったナノマシーンウィルスの血液製剤を接種するも既に重篤化していた小町の容態は依然として厳しいものだった。
◇城戸サスケ
特殊工作部隊『H』リーダー。イ特内に忍び込んだ83区工作員の操作をエアバニーから一任される。 ナノマシーン適合者ランクはA
エアバニー「な、なんだって。。。?」
サスケは変顔をしたままだ。
サスケ→エアバニー:隊長上、声に出ています。。。
エアバニーはハッとして取り繕う。
エアバニー「まさか、お前その顔は。。。」
サスケの殴られ過ぎて腫れぼったい目は小さくつぶらな眼差しでエアバニーをまっすぐ見ている。
サスケの鼻も頬も殴られた跡が生々しく赤くぷっくりと腫れて所狭しとお互いを押し合っている。
そしてそんな痛々しい顔を目一杯膨らませている。
そう、そんなサスケの顔はまるで。。
サスケは無言で頷く。
そして2人はシンクロしたのを確信したかの様にほぼ同時に言葉を放った。
エアバニー&サスケ「ジわャんムこパ先ン生くん!」
エアバニー&サスケ「え?」
エアバニー「今何て言った?」
サスケ「せ、拙者でござるか?」
エアバニー「そうだ、何て言った?」
サスケ→エアバニー:内通者は、ナム副長です。
サスケ「わんこ先生でごさる。」
エアバニーは驚きを隠せない。
エアバニー→サスケ:ナ、ナムだと。。。?
エアバニー「わ、わんこ。。。先生。。。?」
サスケは無言で頷く。
エアバニー→サスケ:まさかあのナムが。。。?
ナムとはイ特副長ナムの事である。
イ特ナンバー2でエアバニーとは軍に所属していた頃からの古い付き合いだ。
エアバニーと共にイシュタラとの戦いで何度も死線を乗り越えてきた友でもある、
エアバニー→サスケ:いや、それは流石に何かの間違いじゃないのか?単独でおとり捜査をしている可能性だってある。
エアバニー「犬なのか?」
サスケ→エアバニー:おとり捜査?隊長上の預かり知らない所ででごさるか?あり得ないでごさるよ。
サスケ「それはそれは優美なシルエットをした喋る忍者犬でござる。」
エアバニー→サスケ:しょ、証拠はあるんだろうな?
エアバニー「忍者犬?なんだそれ?」
サスケ→エアバニー:もちろんでござる。
サスケは体の前で手を組み合わせて素早く印を組む。
サスケ「亥豚戌豚酉豚申豚未豚(いの・ぶた・い・ぶた・とら・ぶた・さる・ぶた・ひつじ・ぶた)」
エアバニー:ちょっと!豚多くねーか?
そしてこう叫ぶ。
サスケ「口寄せの術!」
するとサスケの前にドロンと煙が上がって煙の中から1匹の犬が現れた。
その犬は丸々と太った白いマルチーズでその小さな額には「忍」と書いてあるハチマキを巻き、背中にも大きく「忍」とプリントされた祭りのはっぴを着ていた。
エアバニーは思わず目を丸くしてその犬を見ると次の瞬間その犬は何と流暢に人の言葉を話し始めた。
犬「忍者犬だからって皆ちくわばっかり食ってると思ったら大間違いだぜ?」
エアバニー「お、思ってねーよ。。。」
エアバニー「それより、ホントに出しやがったな。。。忍者犬。」
サスケ「当然でござる。」
エアバニー→サスケ:で?証拠は?
サスケ→エアバニー:まずはこちらをご覧ください。
サスケはスッと忍者犬の方にエアバニーの視線を誘導する。
忍者犬「自己紹介がまだだったな。俺は忍者犬のトントンマルだ。」
エアバニー「豚豚丸?」
トントンマル「おっと、今マルを漢字で連想しただろう?」
エアバニー「いや、全部だけど。。。」
トントンマル「マルはカタカナだ!マルチーズのマルだからな!そこんとこよーく覚えておいてくれ。」
エアバニー「そ、そうか。。。」
エアバニー:いや、そこはどうでもいいんだけど。。。
次にトントンマルはお手をする様な仕草で前足で床をトントンと叩き、目をくるりと回転させた。
犬は普通、黒目が大きく白目はあまり見えない。
しかしこの時トントンマルは目玉の裏側見える程に大きく目玉をぐるりと回転させた。
エアバニー「うわ!気持ち悪!」
これにはエアバニーを驚いた。
しかし、その後もトントンマルはその動作を何回も繰り返した。
初めは驚いたエアバニーだったがそのうちエアバニーは思わず見入ってしまい、それにつれて次第に意識が遠くなっていった。
エアバニー「な、何だ?これは。。?意識が。。。」
次にハッとして気がつくとエアバニーは見たこともない部屋に立っていた。
エアバニー「こ、ここは。。。?」




