10話 秘密基地
MNOというカプセルにあるイシュタラの秘密基地にショウ達はリニア鉄道て向かっていた。
相変わらずケンカばかりしているショウとエルヴィンはいつしか眠りこけてしまった。
白いモヤの中
誰だろう?
3人の人影が見える
それは、よく知っている様な
それとも全然知らない様な
不思議な感じがした
一人は女の人
もう二人は男の人
女の人は何か泣いているみたいだ
男の一人も泣いているのか肩が震えているのが分かる。
もう一人は。。。そんな二人を慰めているのだろうか?
泣いている様に見える男は。。。どこかで見た様な。。。
顔が見えそうで。。。
次の瞬間、ちらりと見えたその男の顔を見て心底驚いた
て。。。は!?
な、なんだコレ!?
未来が見えているのか!?
その男はなんと少し歳をとったショウ自身だった
狼狽えたショウは他の二人を見てみる
しかし、やはり知らない顔
この二人は一体誰?
女の人の声がかすかに聞こえる
どうか。。。あの子を。。。
あの子?誰の話をしているんだ?
自分に似た泣いている男は何やら礼を言っているようだ
もう一人の男はそんな男女を包み込むように優しく励ましていた
。。。頭を上げてください。。。
私も。。。ので助かり。。。私達は。。。ですよ。。。
内容はよく聞こえない
そして声がだんだんと遠ざかり意識が少しずつ戻っていくと溶けるようにその景色は消えていった
あの人達は一体何なんだろう。。。?
一体。。。?
どうして俺?がいたんだろう。。。?
どうして泣いていたんだろう。。。?
どうして?
。。。。
◇ ◇
◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇
ハッとして目が覚めた。
見れば隣のシートにはアナトがいてエルヴィンはその膝の上でまだ眠っていた。
アナト「どうした?顔が青いぞ?」
ショウ「え?いや。。。何でもない。ちょっとウトウトしてただけだよ。」
アナト「そうか。。。それならいいが。。。」
ショウ:今の夢は。。。何か妙にリアルだったな。。。
アナウンス「まぁもなく〜エーメヌオ、エメヌオです。おぉりの際は、おぉ忘れ物のごぉざいませんょ。ごぉ注意くさぃ。みぃぎ側の扉開きます。エーメヌオ、エメヌオす。こぉの列車はこの駅までです。ご乗車になぁれませんので、ごぉ注意下さい。」
ショウ達を乗せたリニアは聞き取りにくいクセのあるアナウンスが流れると程なくして駅に到着した。
プシューッという音ともにポーンという電子音が鳴り、続いてリニアの扉が開くとまばらに乗っていた乗客はゾロゾロと降りていく。
アナト「さぁ着いたぞ、降りよう。」
ショウ「あ、うん。」
駅を出たショウ達はすぐに出迎えに来ていたリムジンに乗り継ぎ、イシュタラの秘密基地へと向かった。
こんな高級車で移動とは予想していなかったショウはただ驚くばかりであった。
そして程なくしてヨーロッパ調の大きな門が眼前に現れる。
ショウ「うわぁ。。。」
英国のケンジントンパレスを彷彿とさせるその佇まいはショウにさらなる衝撃を与えた。
ショウ:どこが秘密基地なんだ?まるで宮殿じゃねーか!?
そう、左右を見渡しても幅が100メートル以上はあるのではないかというその豪邸の外壁とその奥に木々に隠れてかすかに見える建物の外観はまさに宮殿だった。
バアル「どうかしたかい?」
ショウ「いやあの、1ミリも隠れようという配慮が見当たらないんで。。。秘密基地って言うからてっきりひっそりと地下にでもあるのかと思ってたんですが。。。」
目を丸くするショウを見てバアルはニコリとして答える。
バアル「確かに驚くかもしれないね。でも、この地区ではこの方が逆に目立たないんだ。」
ショウ「へぇ。。。」
ショウ:そんなものなのか。。。?それにしてもイ特が日々操作しているというのにこんなに堂々と。。。
車が近づくとその黒く重厚な洋風の門扉はそれぞれ内側にガラガラと弧を描きながら開いてショウ達を迎えた。
脇にある小さな建物から一人、品のある老人が出てきて深々とお辞儀しているのが見える。
そして車はまたゆっくりと動き始めてその敷地内へと進んで行った。
美しい庭の奥には大きなレンガ造りの洋館があり、その前には噴水のある円形の池が見える。
その周りをぐるりと囲むロータリーを回って車は洋館の前のホテルの様な屋根付きのエントランスに入るとゆっくりとその動きを止めた。
エントランスには10名の男女が一列に並び車の到着と同時にお辞儀をすると、先頭の男性が車に近づいて静かに後部座席のドアを開けた。
男「お帰りなさいませ。」
バアル「うん、出迎えありがとう。」
男「滅相もございません。」
エルヴィンはぴょんと飛び降りて伸びをしている。
男「アナト様もご機嫌麗しゅうございます。」
アナト「うん、皆変わりないか?」
男「はい、何も問題ありません。」
アナト「そうか。」
男はアナトの手を取り下車をエスコートする。
そして次はショウが降りる番だ。
男「こちらが。。。」
アナト「他守だ。客人として丁重に頼むぞ。」
男「はい、畏まりました。。。」
深々とアナトに頭を垂れるその男の目は鋭くその眼光をショウに向けられていた。
ショウはすぐにそれに気が付く。
ショウ:うわぁ。。。なんかスゲー睨まれてるんですけど。。。??




