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17話 ぞうさん

軍の収容施設で処刑されそうだったポールローレンス・ダンバー高校の教師テミス


彼女と知り合ったヤムはナノマシーンを抑制する薬品の存在を知る。


そして何とかチカラを取り戻すために部屋からの脱出を試みた。

右手の人差し指を見つめてヤムは集中した。


弱くなっているナノマシーンのチカラを指先に集める為だ。


テミスも何が起こるのかとヤムの指先に注目している。


他の人達は相変わらず怯えきっていて部屋の一所に固まって肩を寄せ合っている。


みんな表情が硬く目が死んでいる。


そんな中ヤムとテミスだけは目が生きていた。


こんな所で諦めてたまるかと奮起する気概があった。


ヤム「テミス先生、この指先に意識を集中できる?」


テミスは訳が分からなかったとにかくできる事は何でもやってみようと思った。


テミス「。。。分かったわ。やってみる。」


しばらくすると、わずかながらヤムの指先にテミスからもナノマシーンの波動が入ってくるのを感じ始めた。


ヤム「うん。テミス先生その調子。」


テミスはじっとヤムの指先に集中する。


するとヤムの指先から細い針金のようなものがクネクネと伸び始めた。


ヤム「来た。」


テミス「すごい。。それでどうするの?」


ヤム「鍵をあける。」


そう言ってヤムはその指先から細く伸びた皮膚をドアノブの鍵穴に差し込んだ。


すると指先から伸びたそれは鍵穴から滑り込むように隙間に入っていく。


テミスはその様子をかたずを飲んで見守った。


そして


ドアノブの中からカチャンという音がした。


その音は絶望しかなかったこの部屋に希望の鐘が鳴り響いた様にさえ聞こえた。


ヤム「開いた。」


それを聞いてテミスの表情もパァッと明るくなると外に聞こえない様に小声で喜んだ。


テミス「や、やった!」


ヤムはスルスルと指先から伸びたものを鍵穴から抜くとそっとドアノブを握った。


そして、音がならない様にゆっくりと回してほんの数センチだけそっとドアを開いて外の様子を伺った。


左右に伸びる無機質な廊下の部屋から向かって右側だけが奥の方まで見えている。


見えているその範囲では誰もいない様だが恐らく廊下にはそこかしこに監視カメラがある筈だ。


外の空気をこのまま出来るだけ吸ってチカラが回復してから動いた方がいい。


そう考えてヤムは廊下から流れ込んでくる空気を吸った。


テミス「どう?誰かいる?」


ヤム「いない。でもカメラはあると思う。戦うなら先にチカラを回復させる必要がある。」


ヤムはそう言うと今度は鼻をゾウの様に伸ばし始めた。


これにはテミスも驚いた。


テミス「キャア!」


ヤム「ちょっと、大きい声出さないでよ。見つかるでしょ?」


鼻を伸ばしたせいか酷く鼻声だ。


そんなヤムに言われて慌てて口を塞ぐテミス。


テミス「ご、ごめんなさい。。。」


ヤム「思った通りだ、外の空気を吸ってみたらいくらか回復する。」


テミス:す、すごい。。。


テミス:すごい鼻声だわ。。。!


テミス:それにしてもこの子本当に人間なのかしら。。。?


テミスがマジマジとヤムの鼻を見つめる中、ヤムは伸ばした鼻を上にやったり下にやったりしていた。


テミス:一体何をしているのかしら。。。?


これは天井付近と床付近でナノマシーンを制御する薬品の濃度の違いを確認していたのだ。


どうやら上下に違いはなく、気化するとまんべんなく空気中に広がるようだ。


ヤム:と言うことは密室で撒かれたら逃げ場はないな。。。これもイシュタル様に伝えないと。。。


ヤム:そろそろいけるかな。。?


ヤムは少し緊張した面持ちでイシュタルに直接会話(SP)をしかける。


不安はあったがその顔にすでに汗はなかった。


ヤム→イシュタル:イシュタル様、聞こえますか?


イシュタル→ヤム:聞こえるわ。何かあったの?しばらくヤムの波動を感じなかったわ。


ヤム→イシュタル:すいません。匂いを嗅ぐとナノマシーンのチカラが弱くなる水があったんです。


ヤム→イシュタル:それで途中連絡も取れなくなっちゃって。。。


イシュタル→ヤム:無事なの?ケガしてない?


ヤム→イシュタル:僕は大丈夫です。。。でも。。。


口ごもるヤムの口調からイシュタルは嫌な予感がした。


イシュタル→ヤム:。。。一度こっちに戻れる?それから聞くわ。


ヤム→イシュタル:あ、それが。。。今僕の他にも5人いて。。。あと、途中で置いてきちゃった人達も。


イシュタル→ヤム:誰?私の知ってる人?


ヤム→イシュタル:あ、はい。テミス先生と合唱部の人達です。怯えきっているし僕だと運ぶのが難くて。。。


イシュタル→ヤム:分かったわ。今からそこに行くからそのままじっとしてて。


ヤム→イシュタル:あ、でもこの部屋は。。。


次の瞬間、一瞬寒くなったと思うとヤムの隣にはイシュタルがいた。


ヤム「あ。。。」


ヤム「イシュタル様、この部屋は。。。!」


と、何かを言いかけたヤムの言葉を遮るようにイシュタルは呆れた顔でヤムに


イシュタル「ヤム。。。その鼻は。。。ぞうさん?」


ヤム「あ。。。!」


ヤムは思わず赤面した。

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