22話 指名手配
ゲームの中のキャラクターの姿のままログアウト後の世界に出てきてしまったショウ。
ゲーム運営を名乗る男達の言うまま施設へ。
施設との戦いの末、全てを破壊したショウ。
その行く末は？
そして指名手配としてショウの行方をイ特は。
話は夕方まで戻る。
某未来のネコ型ロボットの登場するアニメで、変わった髪型の意地悪な男の子が、パパの知り合いのテレビ局の社長のコネで集めてもらった芸能人のサインを自慢する。そんなシーンのＢＧＭを彷彿とさせるメロディが流れる。
エアバニー「もしもーし！毛田ちゃーん？調べてくれたー？」
毛田「は、はい。珍しい苗字なのですがやはり27番地全体ですと数が。。ただ、昨日のイシュタラ騒ぎのあったすぐ近くに他守という住民登録か1軒あります。」
エアバニー「うんうん。さすが！察しがいいねぇ。ありがとう。データこっちに転送しておいてね！」
毛田「はい！了解致しました。」
エアバニー「お礼に今から何か食べに行こうか？」
毛田「あ、いえ、あの。。えっと。。ちょっと。。」
エアバニー「くぅー！切ないなぁ。。でもまぁ、今日はちょっと急ぐからまた今度ねー！」
そう言うとエアバニーはインプルの通話を閉じた。
エアバニーは移動中の警察車両の後部座席にいた。
目的地は23番地。例のサークルアンデッドの地下施設のある場所だ。
ショウが、そこに輸送される際に目撃された車。
その情報を追っている内にその地下施設が浮かび上がったのだ。
そして、その施設は前からエアバニーが目を付けていた場所でもあった。
エアバニーは直属部隊100人を連れて、今まさにそこを目指して車を走らせていた。
編成は攻撃班60、狙撃班10、突破班20、医療班10、そして隊長エアバニー、副長ナムである。
そのエアバニーの乗っている車の後方には副長の車と武装隊の乗る装甲車が10台追従した、物々しい体制での移動だった。
エアバニーは毛田からもらった他守ショウの資料に目を通した。
エアバニー：他守ショウ28歳。 工場勤務。両親は生まれた年に他界。母方の祖父に育てられる。祖父は三浦。。。！
エアバニー「。。。こいつは。。！」
何かに気がついたエアバニーは驚きを隠せない様子だったがやがて冷静になって何かを腹に決めた。
エアバニー「サークルアンデッド側は知ってか知らずか？どっちにしてもこいつは是が非でも確保しないと、な。」
エアバニー：インプル。副長に繋げ！
インプル：わかりました。『ナム副長』にお繋ぎします。
ナム副長「隊長。どうかしました？」
エアバニー「サークルアンデッドがどこかでヤバイ人体実験をやっている疑惑があるのは知っているな？」
ナム副長「はい、しかしなかなかしっほを見せませんね。区の政治家の中にもかなりのパイプがありますし。。」
エアバニー「そうだ、あそこに踏み込むにも、まず裁判所から令状がおりない。」
ナム副長「疑わしいだけでは踏み込めませんからね。」
エアバニー「だったら逆をついてみないか？って思ってね。」
ナム副長「と、言いますと？」
エアバニー「連れ去られた他守ショウの方を指名手配にしちゃおうかなと思いまーす！ってどうだ？」
ナム副長「そう来ましたか。。」
エアバニー「と言う訳で早速だが裁判所に連絡しろ！許可が出次第、緊急執行でと言う形を取る。」
ナム副長「なるほど。了解致しました。」
エアバニー「くれぐれもサークルアンデッドに踏み込むとか言うなよ！」
エアバニー「それと本署の方で会見を開いてマスコミに指名手配の事を報道させろ。」
ナム副長「了解！心得ておりますよ！」
ナム副長は、阿吽の呼吸でエアバニーの指示を受け取り、そして実行した。
エアバニー：さーて。今日こそは何か尻尾を掴んでやる。
エアバニー達の車はカプセルからカプセルへと数珠繋ぎとなった移動用のトンネルを通り、拠点の13番地から23番地へ移動を続けた。
時速100キロで4時間程の距離である。
逃げる時間は与えない。
エアバニーは確たる証拠も令状もないまま、裁判所の手続き完了に先んじて100人も動かしたのである。
この日のエアバニーはいつもの軽いノリとは明らかに違っていた。
