3話 チーズちゃん2
イシュタルとヤムはウルク孤児院のみんなを救うために立った二人で1区の軍の収容施設へ向かった。
残された者の中に一人異彩を放つ『チーズちゃん』を見つけたナズィ。
そしてそれを不振に思ったエリドゥのコンパスの針で刺すという行為によってチーズちゃんは適合者出ない事がバレた。
どうしてこんな事になっちゃったんだろう。。。?
もう一回整理してみよう。
男は今日一日の事を振り返った。
朝、病院薬剤師の私はいつもの様に勤め先であるジョンズ・ホプキンス病院に出勤した。
何も普段と変わりない日常の筈だった。
午後に『一日院長』と言う謎のキャンペーンの為に『チーズちゃん』という着ぐるみが回ってきた。
しかし、そこで事件が起こった。
『チーズちゃん』はギャラリーに手を振りながら関係者を引き連れて私の方へ歩いてきた。
そして道行く患者さんやお見舞いに来られた方々にしてきたのと同じ様に私にも握手を求めてきた。
私はその顔の両脇から直接生えている手を握りしめた瞬間の事だった。
『チーズちゃん』は突然苦しみ始めたのだ。
私は慌ててチーズちゃんを近くにあったベンチに座らせると病院に緊急コールをしようとした。
しかし、チーズちゃんはそれを頑なに止めた。
それからチーズちゃんは苦しみながらもベンチに正しい姿勢で座り、人が来れば手を振って調子が悪いことを周りに悟らせなかった。
しかし、私はその彼の振り終わった手が震えているのに気が付いていた。
チーズちゃんは言った。
自分は病気で苦しんでいる患者さんに元気を出してもらう為に今日ここに来たのだと。
その自分が苦しんでいては患者さん達に希望を与えられないのだと。
チーズちゃんの見た目からは想像も出来なかったその言葉に私は感動した。
そして残り半日、チーズちゃんを代行する事を買って出てしまった。
関係者の誘導するまま各所を回って握手をするだけだろう。
そんな軽い気持ちがあったのは否めない。
私が病院に半休を取って彼とチーズちゃんを交代した時、仲間たちは私を見て笑った。
チーズちゃんの姿が滑稽なのもあるがそれよりも私がそんな格好をしているのが可笑しかった様だ。
それにしてもどうもみんな私のお尻を見て笑っているような気がする。
確かに足元とお尻がスースーする。
カプセル内は決して暖かくはないというのにこの衣装と来たら下半身がピタピタの白いタイツだ。
こんなのを履いたのはキンダガーデン以来かもしれない。
そして、私は職場では割と堅い男として知られている男だ。
カタブツなんて陰口を言うやつも居るだろう。
しかし、実際の私は柔軟だ。
はっきり言ってフワフワだ。
フワフワのソフテナーだ。
。。。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
今の私は『チーズちゃん』だ。
さあ、みんなに元気を振りまきに行こう!
そこの君!私と握手をしようじゃぁないか!
!!!!
しかし、驚いたことに目の前にいたのは『ピンクの恐竜』だった。
彼は握手しようと差し出した私の手を取ってそのまま引っ張って走り出した。
何か急いでいる様だが恐竜なのに『わん』とか『にゃー』とか言っている変なやつだ。
そして、私の手を引くその手は見かけによらず力強く放すことも引っ張る事も出来なかった。
そしてなすすべも無く引っ張られて気がつけば着ぐるみの集団の中にいた。
何というランデブーだ。
そう思った時だった。




