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83話 拉致

ウルク孤児院の人達が軍に拘束されたと聞いて被験者達の家族が同じ様なことにならないか危機感を持ったイシュタルと被験者達は急ぎ1区へ戻ってそれぞれの家族の元へ向かう事にした。


しかし、人の姿をしていない者達はそのままでは街に戻れない。


そこでイシュタルはそんな彼らに元の姿とは真逆な可愛らしい気ぐるみを着せた。

イシュタルがテレポーテーションさせた1区ゾーン1からゾーン5の各地


そこではイシュタルによってその異形とも言える見た目をカムフラージュされた亜人型や動植物合体系の被験者達が『ゆるきゃらまつり』さながらの光景を繰り広げていた。


しかし、彼等はお互いの姿を見合わせてうろたえていた。


微妙な空気が広がる。


イシュタル→全員:ダ。。。ダメかな。。。?やっぱりみんな嫌。。。だよね?


しかし、皆の微妙な空気を感じ取ったイシュタルのシュンとした顔を見るや近くにいた者たちは奮起した。


「い、いやいや!そ、そんな事は!」


「配慮ありがとうございます!我々はこれで何とか行ってみます!」


「よく見たら可愛いいっすね!これなら誰も怖がらないです!」


「わ、私もこれ好きです!」


イシュタル「本当に?」


イシュタルの顔がパァッと明るくなるとさらに周りにいた者たちが奮い立つ。


イシュタルの近くの者→全員:皆!我々はイシュタル様に命を救われたワン!

そして今この時もゴシュリンタマ(ご主人様)は最善を尽くして下さっているニャン!

イシュタル様のお気持ちを無駄にするニャワン!

そして皆の大切な人達を救いにいくんだワン!

さあ、時間がにゃい!今この瞬間にも皆の大切な人達が捕らえられようとしているニャ!

奴らに拘束された時の事を思い出すニャ!

あの様な非道を二度と起こさせてはニャらニャいわん!


犬なのか猫なのかよくわからなかったがとにかく残った者たちはこれに鼓舞された。


そしてその仮装パレードさながらの『可愛らしい』集団もようやく慌ただしく散っていった。


そして、それを見送ったイシュタルはホッとした様にため息をつくとすぐにウルク孤児院へ瞬間移動した。




ウルク孤児院


誰もいない薄暗いキッチン


時計の音だけが響いている。


そこに突然何もない空間が歪み、中から美しく緑色に輝くイシュタルがフワリと現れる。


そして古びた木製の床にゆっくりと着地すると部屋の中を見渡した。


古いながらもよく手入れされたキッチン。


ついさっき迄、誰かがいたようなそんな雰囲気だ。


窓際に飾られた花々もまだみずみずしく花びらも落ちてはいない。


イシュタルはゆっくりと目をつぶる。


するとそのオーラが孤児院の敷地全体へそして表まで広がっていく。


オーラからイシュタルの意識に情報が一気に流れ込む。


匂いや足跡などの痕跡が手にとるように分かる。


軍の車は3台、2台は重量のある装甲車1台は護送車か大型の車だ。


10人の軍人が突然突入して来た。


争った跡もある。


リリイがかなり暴れた。


それを押さえ付ける兵隊。


それを止めようとする桃井。


桃井は後ろから横腹を蹴られてうずくまる。


兵隊を振り払って桃井を庇おうとしたリリイと桃井はそのまま麻酔銃で撃たれる。


ナンナはその光景を見て立ち尽くす以外に出来ない。


涙がこぼれ落ちている。


それから全員護送車に荷物を積むかのように雑に乗せられて車は去っていく。


そしてイシュタルの感知はさらにその行き先を追う。

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