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82話 大切なひとたち

イシュタル達に不利な捏造された情報がメディアによって拡散されていく中、ナズィからはウルク孤児院のみんなが軍に拘束されたと連絡が入った。

アルル「どうかされたのですか?」


ナズィからの連絡を受けてからのイシュタルは余りに顔色の悪く、それは周りの者にも見て取れる程であった。


そんなイシュタルに不安を覚えたアルルはに恐る恐る訪ねた。


アルル「あの。。。イシュタル様。。。先程から顔色が優れませんがいかがしましたでしょうか?」


そう言われてイシュタルは我に返る。


皆が自分を注視している。


ここにいるみんなだって同じ。


軍が動くなんて思ってもいなかった。


でも考えてみればそうだ。


メディアが自分やナノマシーンの被験者達のチカラ、そして暴走した時の錯乱した映像を流しながらこれは伝染すると吹聴(ふいちょう)して回っているのだ。


この密閉されたカプセル内では感染が広まってしまえば蔓延は必須。


こんなに早く動き始めるなんて区や軍の上層部はよほど気が気でないのだろう。


早くしないと大切な人達がどんな目に会うか分からない。


もうじっとしていてはいけない。


そう思うとイシュタルの目から迷いが消えた。


イシュタル「わたしのお世話になった方たちが軍に拘束されたそうです。」


アルル「それは。。。」


イシュタル「わたし達が考えている以上に事態は急変している様です。」


イシュタルの近しい人間が軍に拘束されたと聞いて他の被験者達にも動揺が走る。


「俺の家族は大丈夫なんでしょうか?」


「私にはまだ幼い娘がいました。」


「俺も病気の母が心配です。」


ヤム「僕も母さんが心配です。」


イシュタルは、彼らの不安げな声を聞いて立ち上がる。


イシュタル「一刻の猶予もないわ。すぐ助けに行きましょう。」


エルヴィン「イシュタル、君も行ったことのある所ならテレポーテーション出来るだろ?全員の家族の住所を聞いて最短距離で回るんだ。」


イシュタル「わかった、やってみる。エルヴィンは?一緒に来てくれないの?」


エルヴィン「イシュタル、オイラは先にナズィを迎えに行ってくるよ!」


イシュタル「ありがとう。ナズィをお願い。」


エルヴィン「任せておきなって!後で合流するよ!」


そう言うとエルヴィンは早々に白く光ってスッと消えた。


それからイシュタルは全員の家族の住所を聞いて記憶した。


ナノマシーンは脳の記憶力も活性化していたのだ。


イシュタル「みなさん、私の近くへ集まって下さい。」


そして皆が集まるとイシュタルはまた緑色に輝き始める。


するとそのオーラは部屋を包み、程なくしてその場から全員が消え去った。


イシュタルの飛び先はジョンズ・ホプキンス病院の敷地内だった。


自身はゾーン5のこの場所に飛んだが他にも各ゾーンでイシュタルの行ったことのある場所にそれぞれ聞いていた身寄りの情報を元に振り分けて全員を整理してそれぞれテレポートさせたのだ。


さらにイシュタルは着くとすぐにそれぞれのテレポート先で皆の姿を隠す為に各地の空間に細工を施した。


そしてそれが終わると全員同時に直接会話(SP)で話しかけた。


イシュタル→全員:みなさん、そこからみなさんの行き先は遠くないはずです。時間が惜しいので見た目の目立たない方はこのままご家族の安否を確認しに行ってください。何かあればこの直接会話(SP)をこのまま全員に繋げておくので直ぐに知らせて下さい。


そう言われると見た目が人間のタイプの者はイシュタルに礼を告げて早々に急いでそれぞれの場所に走った。


しかし残った者たちは見た目が人間ではない。


このまま街に出たら恐らく街はパニックになるだろう。


イシュタルは目を閉じると少し考えてそれから両手を上げて輝き始める。


するとその光はまるで少年少女が見るヒーローアニメを思わせる様な視覚効果で各地の者も含めて全員の姿を変身させた。


まあ、変身と言っても何のことはない。残りの者達にはその厳つい風貌とは真逆の可愛らしい気ぐるみを着せただけの事だった。


イシュタル→残りの全員:ごめん、急ぎだからこのぐらいしか思いつかなくて。。。これで何とか上手く家まで行ってください!何かあったらすぐにその場所に飛ばせるから。。。


イシュタルの機転で『変身』させられた者たちは自分達の予想外の姿に呆気にとられた。


「おおお。。おおお?」


「こ、これは。。。」


「かわいい。。。」


「マジですか。。。」


「イ、イシュタル様。。。(恥)」


「ワンだふる。。。」

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