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66話 尋問

くるみ割り人形とエルヴィン達が死闘を繰り広げていた丁度その頃。


T-SHOCK本社ビルの社長室ではラフムはエンキに拘束されて尋問を受けようとしていた。

エンキ「正直に答えなさい。我社に不法侵入した理由は何ですか?」


シーンとした部屋にエンキの声が響いた。


ラフム「。。。そ、それは。。。うちの生徒がこの付近で行方をくらませたので探しに来たのです。」


エンキはピクリとする。


エンキ「生徒。。。とは?」


ラフム「私は教師です。ゾーン5にあるポールローレンス・ダンバー高校という高校で音楽を教えています。」


エンキはポールローレンス・ダンバー高校と聞いてまた表情を一層険しくする。


他でもないイシュタルの通っている学校だからだ。


エンキ「あなたが教師だという証拠は?」


ラフム「もちろんあります。学校に問い合わせても構いません。」


エンキ「。。。」


エンキ:どこまで知っていのかしら。。?イシュタルを連れ去った件と無関係とも思えないし。。。とりあえず探って見ましょうか。。。


エンキ「それで?その高校の先生がどうして法を犯してまでうちのビルに忍び込んだと言うのですか?」


ラフム「実は私の教え子にイシュタル・カヤと言う生徒がいまして、最近騒がれていますのでご存知かとは思いますが現在行方不明となっております。」


エルキ「ええ、知っているわ。」


受け答えは丁寧だがいきなりイシュタルの名前が出てきたのでエンキの内心穏やかではない。


ラフム「実はイシュタルと親しい生徒が彼女を探してこのビルまで来たことが分かったんですが。。。その生徒もこのビルあたりで消息を絶ちまして。。。」


エンキ:イシュタルの友人。。。?この男、何の話をしてるの?


エンキ「その子がどうしてこのビルでいなくなったと分かるんですか?何か根拠でも?」


そう問われたラフムは少し言いにくそうにエンキを見た。


そして視線はデスクの上のトレイに移る。


ラフム「その。。。トレイに乗せられた毛が教えてくれました。。。」


シーンとする部屋


エンキ「この毛はあなたのものですか?」


ラフムは悲しそうに答える。


ラフム「。。。はい。」


エンキ「そうですか。。。」


エンキ:私がこれを見つけた時、殆ど気付かない程の小さな波動が消えゆくのを感じた。


エンキ:これがナノマシーン適合者の細胞によって動かされていた可能性は高い。。。


エンキ:でもこれが最初のアラートの原因だとするのは少し無理があると思っていたわ。。。


エンキ:それに女の幽霊を見たと言う警備員達。。。


エンキ:察するにどうやらそのイシュタルの友人とやらがこの騒動の犯人で間違いなさそうね。。。


思考を巡らせる中、ふと気がつくとラフムは涙を流している。


エンキ「泣いて。。。?」


エンキ:いや、これは一人の悲しみじゃない。。。もっと多くの。。。?


エンキはハッとした。


複数のすすり泣く声はラフムの胸元から発せられている事に気が付いたのだ。


エンキ「その体毛。。。?生きている?」


エンキには聞こえた。


いや、感じ取ったと言うべきか?


キャンディス達のすすり泣く声が。


アンソニーの死を目の前の現実と受け止めた彼女達の悲しみの声が。


エンキのティアマトのオーラを通じて入ってきたのだ。


そして思った。




『気持ち悪い』と




エンキ:何なのこのゲテモノ人間は?


エンキ:よく見たら胸毛が一本ずつ生きているわ。。。


エンキ:こんなのに教師を任せる?普通?ありえないわ。。。


不快そうにエンキは尋ねる。


エンキ「ひとつ、伺ってもいいかしら?」


ラフム「。。。はい。」


エンキ「あなたが探していたそのイシュタルさんの友人と言うのはどこの誰なのかしら?」


ラフム「それは。。。」


ラフムは躊躇した。


ナズィがイシュタルを追ってきてここで消えたと言う事はこのT-SHOCKも何かしら事件に関与している可能性があるからだ。


ラフム「すいません。私を警察に突き出してください。そこで全てお話します。」


エンキ「警察?」


ラフム「私は不法侵入したのです。突き出されて当然です。それは弁明の余地がありません。」


ラフム「しかし、彼女は確かにここで消息を断ったのです。そして、僕にはもうこれ以上彼女を追いかけるすべがありません。。。」


エンキ「。。。そう。」


エンキ「勘違いなさっている様ね。」


次の瞬間、エンキの目がキラリと赤く光ったかと思うとラフムの胸元からすべての体毛が跡形もなく砕け散る。


そしてラフムは心の底から絶叫した。


ラフム「ノーーーーーーーーーーオオォォォ!!!!!!!!」

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