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65話 絶体絶命

突然現れたくるみ割り人形と対峙したエルヴィン。


その闘いの行く末は?

くるみ割り人形の周りに出現した黒い球体は異様な存在感を放ちながらくるみ割り人形を中心にグルグルと回っている。


一体何で出来ているのであろうか?


その中心は重力の特異点の如く完全なる闇に包まれて周囲の光が重力レンズのように歪曲している。


かと言って何かを引きずり込んでいる訳でもない。


空間に穴が空いているかのようなそんな得体の知れない異彩を放っていた。


エルヴィン:何だこれ?ヤバイ予感しかしないんだけど。。。


ナズィ:大丈夫。。。よね?


エルヴィン:たぶん。。。


ナズィ:えー。。。。?


珍しく自信のなさそうなエルヴィンにナズィの心にも不安がよぎる。


エルヴィン『おい!何だよそれ!?』


くるみ割り人形はやはり黙ったまま左手の甲をナズィの方に向ける。


するとその指の先に球体の一つがフワリと引き寄せられた。


それから手首を返してくるりと手のひらをナズィに向けると手首だけで軽くボールを投げるような仕草をした。


同時にその動きに呼応して黒い球体はナズィの方に高速で飛んできてナズィを覆う泡のような膜に衝突した。


あっという間の出来事だった。


さっきまでは何をしてもすり抜けていた膜が今度はちゃんと接触してぶつかり合っているのだ。


ぶつかり合うエネルギーは凄まじく、接触した瞬間上下に衝撃が走り、地面を切り裂いた。


上はやはりカプセルの天井を切り裂いて上空に星空が見えた。


しかし、そんな事は全く意に介せずに次の攻撃がくる。


くるみ割り人形は先程と同じ手順で二つ目の球体を飛ばしてきた。


ぶつかった瞬間、それまで競り合っていた均衡が一気に破れる。


グイグイとエルヴィンの泡のような膜は押されてついには弾け飛んでしまった。


その衝撃で地面には一瞬で直径1キロ程のクレーターが出来た。


爆音と爆風は凄まじくナズィも飛ばされそうになるがエルヴィンがナズィの腕を一振りさせるとかまいたちのように空気が割れてそれらはナズィを避けるように駆け抜けていった。


この時、ナズィは何かをなくした様な気がしたがとにかく状況はそれどころではない。


カプセルの天井がガラガラと崩れ落ちてくる中、くるみ割り人形はすかさず三つ目の球体を発射したのだ。


無防備になったナズィに黒い球体が襲いかかる!


◇  ◇  ◇  ◇  ◇


その頃、T-SHOCK本社ではビルの外をうろついていたラフムが捕まっていた。


社長室


ラフムはその部屋の中心で拘束されて椅子に縛り付けられている。


その表情はいつになく硬かった。


社長のデスクにはエンキの姿があり、やはり険しい表情でラフムを見つめている。


アンソニーとナズィを追ってきたラフムであったがこのT-SHOCK本社への潜入に失敗して不審者として拘束さらたのだ。


彼がここまで厳重に拘束されてわざわざ社長室にまで連れてこられたのはアヌクローンの胎児殺害とイシュタル奪取があった事、さらには警備員ではラフムの『魅了能力』で逃してしまう事が判明した為だ。


当然エンキにはラフムからナノマシーンの波動など通用しない。


『魅了』などエンキにとっては子供の遊びに等しかった。


絶体絶命となったラフム。


そしてエンキのデスクの上には銀色に輝く金属製のトレイがあった。


そこには縮れた毛が一本。


それはアンソニーの亡骸であった。

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