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59話 一筋の光

警備員がナズィの事を幽霊だと騒いでいるスキに更に下の階へテレポートしたナズィ。


ナズィは気持ちを切り替えれるのか?

薄暗い部屋


中央に大きな円筒状の水槽がある。


そこには何か液体の薬品が溜められており、そこに一人の少女が入れられていた。


疾走中のイシュタルだ。


その薬品は以前、ヨーコがイシュタルに飲ませたカプセル同様でティアマトのチカラを抑制する効果があるものでイシュタルの今の能力は普通の少女と変わらない状態だった。


この薬品が後にナノマシーンウイルスの開発に繋がっていくがここでは触れない。


エンキ「それにしても美しい子ね。そして私の可愛い孫たちの母親になるのよ。」


エンキ「意識はあるはずよ。イシュタル、あなたには体を大切にしてもらわなくちゃ。」


エンキ「うふふふ。楽しみだわ。」


エンキは水槽の中のイシュタルに囁く。


エンキ「あなたには感謝しているのよ。あなたのお陰でリミッターの開発もナノマシーンやティアマトのチカラの研究も一気に進んだわ。」


エンキ「この調子でいけば間もなくあの人も。。。」


エンキ「うふふふ。アハハハハハハハ!」


不敵に笑うエンキの笑い声が響くその部屋の水槽の中で、イシュタルはまるで感情を持たない人形の様にぼーっとしたままただ一点を見つめていた。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇


地下2階多目的トイレ


さらに下へとテレポートしてきたナズィはやはり同じ作りのトイレの鏡の前で呆然と自分の姿を眺めていた。


そして一筋涙が溢れるとこらえ切れずに泣き崩れた。


エルヴィン:ナズィ。。。大丈夫?チカラの波動が小さ過ぎて付いているの気が付かなかったよ。。


ナズィ「な、なんで。。こんな。。酷い。。。」


ナズィ「ぶえぇぇぇーーーん!」


エルヴィン:ちょ、ナズィ!そんな大きな声で泣いちゃまずいよ。。


ナズィ「だぁってぇぇーーー」


エルヴィン:イシュタルを助けるんだろ?ね?


ナズィ「こんな頭じゃイシュタルに会えないよぉーー!」


ナズィ「うあぁぁーーーん!」


エルヴィン:またすぐ毛は生えてくるよ!


ナズィ「毛が生える?」


その時だった。


ナズィはある事を思い出した。


それはイシュタルのいたウルク孤児院での桃井の話だ。


桃井がナンナが回復した経緯をナズィに話した時の記憶。



○  ○  ○  ○  ○



桃井「ナズィ、イシュタァルは光ったンだよ!」



ナズィ「は?」



桃井「光ったぁんだよ!キレイなグリーンさぁ!」



ナズィ「ちょっと待って何の話?」



桃井「イシュタァルさぁ!光がブアーッとこう!部屋中グリーンね!そしたら何が起こったぁと思う!?」



ナズィ「???」



桃井「ナンナの毛が生えたぁのさ!」



○  ○  ○  ○  ○


「毛が生えたぁのさ!」


「毛が生えたぁのさ!」


「毛が生えたぁのさ!」


ナズィの脳裏にその時の会話の記憶が蘇る。


そして記憶の断片が一つの仮説を導き出した。


イシュタルには、毛を生やす能力がある!?


ナズィは一筋の光を見た気がした。


ナズィ「見つけなくちゃ。。。」


スッと顔を上げたナズィの表情が変わった。


エルヴィン:ナズィ?


ナズィ:エルヴィン。。。


エルヴィン:落ち着いたかい?


ナズィ:帽子。。。


エルヴィン:え?


ナズィ:帽子、出せる?


エルヴィン:え?あ、ああ。なんでもいい?


ナズィ:ええ。何でもいいわ。


エルヴィン:わ、わかった。


エルヴィンがそう言うと、ナズィの頭が輝いてフワリと古いアジアの文字が書かれたビンテージの黒いキャップがナズィの頭におさまった。


正面に「バナナマン」と刺しゅうされている。


それは現代の日本語のカタカナを白い糸で刺しゅうされているのだが今やそれを読めるものも、その意味を知るものいなかった。


エルヴィンが83区にいた頃に貰ったもので、かなりのビンテージものらしいが割と状態はいい。


ナズィは「バナナマン」キャップをかぶった自分の姿を鏡で確認する。


ナズィ:ありがとう。しばらく借りるね。


エルヴィン:オイラは必要ないからあげるよ!


ナズィ:。。。ありがとう。


エルヴィン:じゃまた姿を消すからもう大声をだしたりしないでくれよ?


ナズィ:ごめんなさい。わかった、もう大丈夫よ。


ナズィが言い終わらないうちにナズィの姿は再び消えるとエルヴィンはナズィに探索の再開を促した。


エルヴィン:さぁ、行こう!

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