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58話 幽霊?

自分の頭の惨状に気が付いて思わず大声を上げてしまったナズィ。


警報アラートが鳴り響く中、そこへ警備員達の足音がせまる。

地下に響くアラート音は一向に止む気配がない。


そこに、カツカツと複数の足音が近づいて来るのがわかる。


エルヴィンは何度もナズィに落ち着くように言ったが聞こえているのかよく分からない状態だ。


そうこうしている間にとうとうナズィのいる多目的トイレの個室にその足音は迫ってきた。


一人の警備員が多目的トイレの中に入ってくる。


エルヴィンに緊張が走る。


視界に男の影が迫る。


しかし数秒の沈黙が続いた後、男はホッとしたように言った。


「やっぱり誰もいません。」


「おかしいな。。何だったんださっきのは?」


「怨念だったりして?」


「ば、馬鹿な事いうなよ!」


「下の階でやってる事考えてみろよ?」


「考えるな!口にもするな!いいな?」


「はいはい。。」


その時だった。


ナズィは自分の頭の上に一本だけ生えているそれが自分の毛ではない事に気が付いた。


ギロリとナズィの眼光がそれを補足すると次の瞬間、叩き落としてねじるように渾身の力で踏みつけた。


バン!!!!


窓ガラスがビリビリと響く様な音が鳴り響いた。


多目的トイレの中の警備員は心臓が飛び出そうになる程驚いた。


「うわ!!!?な、なんだ!!??」


何もない所から大きな音がしたのだ。


驚くのは当然だ。


しかし、それで終わりではなかった。


ナズィ「あああああああ!!!このおおおお!!!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!」


踏みつけたアンソニーを足でグリグリとねじこむ様に床に擦りつけ始めたのだ。


そのナズィの地を這うドラゴン様な恨みに満ちた声にそこにいた警備員はその声に顔面蒼白になる。


「うわわわわ!ゆ、幽霊!?」


「な、なんだ!?」


多目的トイレの中に入っていた警備員はわれ先にとトイレから逃げ出そうとするも、もう一人の警備員に阻まれる。


「おい!?落ち着けって!実験体が逃げだしたのかもしれないだろ!?ティアマトの測定器使え!」


「わ、わかった!」


なんとか落ち着きを取り戻した一人が腰に付けていた機械を取り出す。


エルヴィン:まずい!


ティアマトのチカラを測定されてはまずいと慌ててエルヴィンはナズィをさらに下の階へとテレポートさせようと輝き始める。


するとナズィの怒りに満ちた表情がぼんやりとぼやけながら光って浮かび上がるように見えた。


おぼろげな光のなかに薄っすらと見えるナズィは鬼の形相だ。


ナズィ「殺す。。。」


警備員達もこれには堪らず腰が抜けて後退りするしかなかった。


我先にとトイレから逃げ出そうとする中、ナズィはさらに下の階へとテレポートした。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇


キャンディス達に衝撃が走った。


丁度それはナズィがアンソニーを踏みつけた時。


その瞬間、アンソニーは即死した。


アンソニーの死は時空を超えて仲間の元へ伝わったのだ。


キャンディス:いやぁぁぁ!!


アニー:アンソニー!!


テリュース:。。。。


ラフムの胸元に悲しみが広がるとその思念波はラフムの胸にも深く突き刺さる。


ラフム「すまない、お前達。僕はこうなる事を半分予想していた。。。」


キャンディス:!?


驚きを隠せないキャンディス。


キャンディス:ど、とうして?


ラフム「今までアンソニーは髪を切ってばら撒いていただろう?」


ラフム「それも一本や二本じゃない。」


ラフム「それだけの髪を犠牲にして私達を導こうとしたんだ。」


ラフム「もしこれが逆だったらどうする?これだけの数のお前達の仲間がこんな風に乱獲されたら。。。」


キャンディス:そ、それは。。。


ラフム「アンソニーは自分の手を汚し、それ程の危険を冒してまで僕たちに道を示したんだ。」


沈黙が続いた。


皆、泣いている事には変わり無かったがそれは悲しみの涙からアンソニーへの感謝への涙へ変わっていた。


ラフム「さぁ、行こう!アンソニーの気持ちを行動を無駄にしてはいけない!」


キャンディス:わかったわ!悲しいけど今止まったらアンソニーに顔向け出来ないわ!


アニー:そうね。。。行きましょう!


テリュース:それにちゃんと遺体を連れ帰ってやらないとな!


キャンディス:うん。そうだね。


テリュース:アンソニー、お前の育てていた薔薇の元にお前を連れ帰ってやるからな!


『行こう!』

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