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53話 バイシコ

戻ってきた体毛達の話を聞くラフムは一本の体毛、アンソニーが行方不明になっている事に気が付いた。


ラフムの脳内会議



ラフムのボディヘアー達はラフムに対して直接会話(SP)に似た特殊なテレパシーで語りかけている。


◇  ◇  ◇  ◇  ◇


ラフムの脳内


キャンディス:アンソニーは死んじゃったのよー!


ラフム「なに!?アンソニーが!?どうして!?」


アニー:待って、ラフム。キャンディスは気が動転してるわ。


アニー:キャンディス、落ち着いて!みんな今、一生懸命アンソニーの事を探してるわ!何か見つけたの!?


ラフム「キャンディス、泣かないで話してごらん。」


キャンディス:えーん!アンソニーがどこにもいないのー!えーん!


アニー:キャンディス泣かないで。きっと大丈夫だから!


キャンディス:えーん!そんな事ないわ!きっとあの時腕から落ちて死んだのよー!えーん!


テリュース:ちょっといいかい?


アニー:どうしたの?


テリュース:これを見て。


アニー:これは?毛?人間の髪の毛?


テリュース:そう!でもホラ!


アニー:アンソニーの臭いがするよ!


キャンディス:。。。!え?


キャンディスはその毛の臭いを嗅ぐ。


キャンディス:アンソニーよ!アンソニーの臭いだわ!


キャンディス:どうしたの?これ?


テリュース:道に金色に光っているのが見えて、そこにこれが落ちてたんだ。


テリュース:しかも点々と遠くに続いていたよ。


アニー:それってもしかして。。


キャンディス:道しるべ!?


テリュース:僕もそう思うよ。


キャンディス:どこに落ちてたの?


テリュース:コッチだ!


ラフム「よし、私も行こう!」


◇  ◇  ◇  ◇  ◇


ラフムはこうして点々と落ちている金色の髪の毛を追うことになると、ちょうどそこに自転車を探しに行った人達が戻ってきた。


そして一斉に歌い出す。


人々『バーイシコ!バーイシコ!バーイシコ!』


ちゃんとハモっている。


『バイシコバイシコバイシコバイシコー!』


歌いながら人ごみがきれいに真ん中で真っ二つにわれるとその先に真新しいロードバイクが現れる。


チリンチリン!


ラフム「OH!僕の行く手には自転車レースがやってきたのか!」


そのロードバイクにさっそうとラフムはまたがるとそのフォルムを優しく撫でる。


その表情は納得の一言だ。


ラフム「いい自転車だ。ありがとう!」


そう言うと、ラフムは力強くこぎ始めた。


真新しいロードバイクはキラキラと光るアスファルトを滑るように進み出す。


ラフム「さあ!追いかけよう!」


すると自然にその後を幾人もの人々が追いかけ始めた。


自転車を持ってきた人々だけでなく道すがらにいる人々も子供も大人も自然に走り始めるとあっという間にマラソン大会のような大集団になってしまった。


しばらく皆、本当に嬉しそうにラフムの後について走っていたがラフムが駅前まで来たところで急に立ち止まってしまう。


そこは大英博物館を思わせる石造りの外観の駅で駅前のロータリーには10メートルはあろうかという大きな人の形をしたオブジェが設置されている。


ラフムが駅前で立ち止まるとついてきた人々はそのオブジェを囲むように円形のロータリーに集結し、両手上げてラフムコールを始めた。


しかし、そんな事は全く気にしていないかの様にラフムはじっと駅の入口を見つめている。


落ちている金髪が駅の中へと続いていたのだ。


ラフム「キャンディス、すまない。この金髪がどの路線に続いてるか見てきてくれないか?」


キャンディス:わかったわ!


アニー:私も行く!


テリュース:僕も行くよ!


ラフム「頼んだよ!」


3毛『了解!!!』


3毛はそう言うとフワフワと浮かび上がり、駅の中への消えていった。


ラフム:ゾーン1のワシントン方面か空港方面か。。。空港方面なら厄介だ。。。


そんな事をしている間にもロータリーの人々はヒートアップしていく。


当然だが許可もなくこのような集会がなされて大音声でラフムコールが響くと鉄道警察の警察官数名が制止しようと出てくる。


しかし、既にそれでは収集つかなくなっていた。


ちょっとした警察官との間に小競り合いが起き始めていたのだ。


さすがにそうなるとラフムも看過出来ない。


その時だった。

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