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23話 エスケープ

■前回までのあらすじ

エルヴィンと出会い、難病の正体を知ったイシュタル。



自分もナノマシンに侵されている事に心折れそうになるもエルヴィンに励まされてその一歩を踏み出そうとする。



■登場人物

イシュタル

17歳、女性

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖、男性

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖、男性

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳、女性

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖、女性

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳、女性

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



ナンシェ

24歳、女性

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店の店長

真面目で少し近寄り難い雰囲気のある



三浦シュウ

年齢不詳、男性

T-SHOCKコーポレーション専務取締役



ドラゴ・ヒーラー

40歳、男性、体重102キロ

難病対策課課長

かなり腰が低い。

メガネをかけている。



ドラゴ・コーガ

35歳、男性、体重110キロ

難病対策課

メガネをかけている。



ジェシカ・キム

30歳、女性

ヒーラーをいつも冷たく諌めている。



ヨーコ・サトヤマ博士

36歳、女性

ジョンズ・ホプキンス病院で教授をしながら難病科の研究と治療を請け負っている。



エルヴィン

ナノマシンを知るというイシュタルにしか見えない不思議な猫



■その他

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店

ナズィがアルバイトをしているレストラン

イシュタルもこれから働く事になった。



ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。



ジョンズ・ホプキンス病院

イシュタル達の学校や孤児院からほど近い世界屈指の病院。

『T-SHOCK』から強力な資金と技術援助を受けており、この中にT-SHOCK慈善事業部難病対策課が設けられている。




エルヴィン→イシュタル:できるだけ多くの情報を患者さんから聞き出すんだ。いいね?



イシュタルは無言でうなずく。



エルヴィン→イシュタル:じゃあ患者さんにも直接会話(SP)をやってみて



イシュタル→エルヴィン:わ、わかった。



再び患者を見つめる。



イシュタル→患者:あの、聞こえますか?



患者→イシュタル:き、聞こえる!



イシュタル→患者:えっと。。具合が悪いんですか?



患者→イシュタル:た、頼む!拘束具を外してくれ!気が狂いそうだ!



イシュタル→患者:でも。。それは。。



患者→イシュタル:俺はまだ呑まれてはいないんだ!頼む!



イシュタル→患者:あなたは、どうして拘束されているんですか?



患者→イシュタル:突然何かが俺を引っ張ろうとしたんだ!それで気がついたら周りにいた人等が倒れていた!



イシュタル→患者:その倒れていた人達はどうなったんですか?



患者→イシュタル:気絶していただけだ!誰も死んでない!



イシュタル→患者:どうしてそんな。。。?



患者→イシュタル:わからない!でも俺は制御出来たんだ!今は大丈夫だ!このままじゃ心が折れて持っていかれてしまう!



イシュタル→患者:持っていかれる?



患者→イシュタル:そうだ!早く!早く拘束を解いてくれ!パニックを起こしそうだ!



あまりの剣幕に怖くなったイシュタルは



イシュタル→患者:ちょっ。。ちょっと人を呼んできます!



と、あまりにいたたまれなくなって病室を出て対策課に戻った。



ドアを開くとそこにはソファーで横になってイビキをかくコーガとデスクでまだ仕事をしているヒーラーがいた。



エルヴィンも後についているが誰も気が付かない。



ヒーラー「あれ?イシュタルさん。とうしてこんな時間に?」



時計を見ると時間は午後九時をまわっていた。



流石にむっとしたイシュタルはヒーラーに



イシュタル「コーガさんに言われて難病課に行ってました。喋れない患者さんが拘束を解いて欲しいっていってます!」



と、ちょっと感情的に伝えると



ヒーラー「あ、え?あ、はい。。。」



とうろたえるヒーラーを残してコーガを無視してその日は退勤した。



そして次の日の朝。



イシュタルはアパートから学校へ行く用意をしていた。



すると、部屋から女性の声でアナウンスが流れる。



「ポーン(機械音)。着信履歴があります。」



イシュタル「見せて。」



「わかりました。」



すると空中にディスプレイが現れて着信履歴が表示される。



コーガだ。



イシュタル「こんな夜中に。。」



見れば着信は夜の11時から深夜4時まで10件近く入っていた。



「ポーン(機械音)チャットアプリにメッセージがあります。」



イシュタル「。。。今はいい。」



「分かりました。」



イシュタル「ハァ。。。」



深くため息がでる。



エルヴィン「大丈夫?顔色よくないよ?」



イシュタル「うん。。」



イシュタルが憂鬱になるのも当然だ。



あの難病がいつ自分に発症するか分からないのだ。



重ねて入社に際して最初に決めていた約束と全く違うコーガの対応が一層重く心にのしかかっていた。



エルヴィン「ねえイシュタル。ちょっといい?」



イシュタルはぼーっとしたまま答える。



イシュタル「。。。なに?」



エルヴィン「今日、学校休んで55区に行かない?」



イシュタル「あの、言ってた薬?を取りに?」



エルヴィン「うん。なるべく早く必要だと思うんだ。」



イシュタル「。。。うん。行く。。」



イシュタルはそう言うと再び用意を始める。



すると



エルヴィン「あ、大掛かりな準備はいらないよ!軽装で大丈夫だから!」



と言われてキョトンとしたがイシュタルは言われるままに近くへ行くような格好に着替えた。



エルヴィン「じゃ、行くよ。」



すると、エルヴィンの姿が霞んで見える。



エルヴィンだけじゃない。



まわりの全てが霞んで見えた後、パッと視界が開けると、そこは見知らぬ部屋の中だった。



荒れ果てたリビングルームにエルヴィンと共に立っていた。



エルヴィン「着いたよ。。。でも、これは。。?」



イシュタルは当然驚いて声も出ない感じだったがエルヴィンもまた驚いていた。



研究施設のリビングルームが何か戦闘でもあったかの様に荒れ果てていたからだ。



慌ててリビングルームを飛び出すエルヴィン。



イシュタル「あ、待って!」



イシュタルも後を追う。



するとエルヴィンは廊下に出て一番奥の左手の部屋に入った。



続いて入ったイシュタルはその薄暗い部屋の中でエルヴィンが何かに驚いていて呆然としているのを見つけた。



エルヴィン「いない。。。?」




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