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21話 無茶振り

■前回までのあらすじ

アパートを借りて新しい生活を始めたイシュタル。


本社からの最初の依頼は心の中で命じてインコを動かすとい謎の指示だった。



■登場人物

イシュタル

17歳、女性

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖、男性

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖、男性

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳、女性

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖、女性

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳、女性

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



ナンシェ

24歳、女性

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店の店長

真面目で少し近寄り難い雰囲気のある



三浦シュウ

年齢不詳、男性

T-SHOCKコーポレーション専務取締役



ドラゴ・ヒーラー

40歳、男性、体重102キロ

難病対策課課長

かなり腰が低い。

メガネをかけている。



ドラゴ・コーガ

35歳、男性、体重110キロ

難病対策課

メガネをかけている。



ジェシカ・キム

30歳、女性

ヒーラーをいつも冷たく諌めている。



ヨーコ・サトヤマ博士

36歳、女性

ジョンズ・ホプキンス病院で教授をしながら難病科の研究と治療を請け負っている。



■その他

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店

ナズィがアルバイトをしているレストラン

イシュタルもこれから働く事になった。



ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。



ジョンズ・ホプキンス病院

イシュタル達の学校や孤児院からほど近い世界屈指の病院。

『T-SHOCK』から強力な資金と技術援助を受けており、この中にT-SHOCK慈善事業部難病対策課が設けられている。


ヒーラー「イシュタルちゃんすごい!もう、完璧だね!」



夕方も近づく頃にはイシュタルが心にイメージした通りにインコが動く様になったいた。



そして、イシュタルもインコが今何を求めているかが分かるようになってきた。



しかしこれは心の声のようなもので相手に伝える意思がなければ伝わらない。



心が読めるというものではなかった。



イシュタル「ほんとに不思議ですね。」



そして、『T-SHOCK』に行く定時の30分程前になった。



その時、しばらく離席していたコーガがどこからか戻ってきた。



そして慌ただしくイシュタルの所へやって来て唐突に頼み事始めた。



コーガ「あー、すいません。ちょっと取り急ぎお頼みしたいんですけどいいですかね?」



イシュタル「え?何ですか?」



コーガ「難病科の方で声の出ない患者さんが何か言いたげなんですけどちょっとわからなくて。」



イシュタル「え?でも、わたしもちょっと分からないですが。。。」



コーガ「え?でもインコできたんですよね?」



イシュタル「え?それが何か?」



コーガ「見てもらった方が早いんで、ちょっと至急なんですいませんが来てもらえます?」



イシュタル「は、はい。。」



イシュタルはコーガに半ば強引につれられて地下にある難病科へと向った。



途中、本社で見た動画が頭をよぎると胸が苦しくなるのを覚えながらコーガの後ろをついていった。



そして、ある病室に案内される。



そこにはベッドが一台あり、拘束具でぐるぐると羽交い締めにされた一人の男性が顔だけ出して固定されていた。



コーガ「じゃ、宜しくお願いします。」



いきなりの無茶振りにイシュタルは戸惑った。



イシュタル「え?あ、あの、私は何をすれば?」



コーガ「とりあえずこの患者さんが何を訴えてるのか知りたいですね。」



イシュタル「あの、サトヤマさんとか。。は?」



コーガ「今日は不在なんすよ。。他の方も重症の急患で手一杯でして。」



イシュタル「コーガさんも病院の人ではないんですよね?どうしてこんな?」



コーガ「。。。ま、それは色々とあるんです。取り敢えず見てもらえません?」



イシュタル「私は医者じゃありません。」



コーガ「いや、治療をお願いしているんじゃなくてですね、この方が何を言おうとしているか聞いて欲しいんですよ。」



イシュタル「そう言われても。。。」



イシュタルはチラリと患者を見る。



確かに苦しそうだ。。。



イシュタル「拘束を解いて紙に書いてもらったらどうですか?」



コーガ「危険なんでそれは俺じゃ出来ないです。」



イシュタル「うーん。。。」



時計は既に17時をまわっていた。



イシュタル「あの、もうお店に行かないと。。」



コーガ「いや、これは今やってもらわんと困りますね。」



イシュタル「そんな。。」



仕方なく、イシュタルは心の中で患者に語りかけた。



イシュタル:どうされたんですか?何か困っていますか?



しかし患者は無反応だ。



何か間違っているのだろうか?



インコにはイメージを送っただけで声は送っていない。



イシュタルは心の中での語りかけを何度かやってはみたがやはり上手く行かない。



そして時間が経つに連れて諦めて途方にくれてきた時、コーガはさらに信じられない事を言い出した。



コーガ「すいません。ちょっと俺今から出ないといけないんで後お願いします。」



驚いたイシュタルは必死で止める。



イシュタル「ちょっ!ちょっと待って下さい!私一人にする気ですか!?」



コーガ「すいません。急用なんで。はい。」



イシュタル「無理ですよ!そんな!」



コーガ「いや、無理って言われても仕事なんでやるしかないんです。」



イシュタル「ヒーラーさん呼んでもらえますか?」



コーガ「あー、俺から伝えとくんて大丈夫っす。」



イシュタル「そう言う意味じゃなくて。。」



コーガはイシュタルの抵抗も虚しく半ば強引にイシュタルを置いて出ていってしまった。



シーンと静まり返る病室に患者が拘束具の中でうごめいてギシギシきしんでいる音だけがしている。



イシュタル:なんなの?あの人。。



見渡すとこの部屋には内線すらない。



なすすべもなく時間だけが過ぎていく。



その時だった。



「お困りかい?」



と、謎の声が聞こえてきた。



アパートで聞いたのと同じ。



最近よく聞こえる声だ。


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