14話 召喚士ミネルバ姫
ゲームの中のキャラクターの姿のままログアウト後の世界に出てきてしまったショウ。
ゲーム運営を名乗る男達の言うまま施設へ。
アナトが発見された事もあり施設側と交戦。
秘密のニオイがする地下10階で慢心から罠にかかり能力を半減された二人を次々と刺客ロボットが襲う。
アナトがナノマシーンウイルスに侵され、ショウ一人で『機械人形』との激戦に挑む
絶え間なく繰り返しショウに突き刺さる機械人形の無数の足爪。
羽交い締めの様になって動こうにも動けない。
驚異的な治癒力を見せるショウだがそれでも追いつかない程の速さと威力で攻撃は続く。
ショウ:こ、このままじゃまずい。。。
ショウ:アナトも戦闘不能のままか。。?
しかし、ショウを羽交い締めにした機械人形の無数の足爪のせいでショウからはアナトの様子が掴めない。
ショウはアナトに直接会話(SP)を試みる。
ショウ→アナト:「アナト!アナト!?どうなってる?」
アナト→ショウ:「他守か。。全身が焼ける様に熱い。。。防御力がかなり下がっているようだ。奴ら空気中に何か細工をしていたようだ。」
アナト→ショウ「それで、苦し紛れにティアマトのリンクを使った攻撃をしたせいで被爆したらしい。。おかげで空気に混じった何かは消し飛んだが。。。」
ショウ:空気中に。。?そうか。。そうだったのか。。
ショウ→アナト:「それで、アナトは復活できそうなのか?」
アナト→ショウ:「私はもう少し掛かりそうだ。。」
アナト:お前もあの空気にやられていたのに。。全くたいした回復力だな。。
ショウ→アナト:「アナト少し休んでいてくれ!何か出来る事を探してみる!」
と、強がって言ったものの正直言って身動きできないし、攻撃は痛いし、ハッキリ言ってノープランだ。
しかし、ショウはここで自分が奮起するしかないと心に決めた。
ショウ:な、何か方法は。。?コ、コントロールパネルは。。!?
一か八か試したコントロールパネルが、今度は開いた。
ショウ「よし!開いた!」
さっきまでは開く事すら出来ながった『ファーストアドベンチャー18』のコントロールパネルがショウの前に投影されている。
激しい戦闘による衝撃で施設側のシステムが一部ダウンして、ショウのインプルにかけられていた制限が一部外れたのだ。
どうやらインプルから直接アプリにと言うよりは外からDOS攻撃の様な攻撃をしてオーバーヒートさせてインプル自体をダウンさせていたらしい。
しかし、残念なことにコントロールパネルは開いたものの、パネルのナビゲーションメニューはグレーアウトしてボタンの押せない状態だった。
ショウ:クソっ!メニューが全部死んでいる。。
ショウ:何か使えるものは。。?
グレーアウトしているメニューを一つずつ押すも不活性なボタンは何も反応しない。そんな中で一つだけ押せるボタンがあった。
ショウ:やった!マスクが使える!
マスクとはゲーム内で自分のパートナーとして呼び出せるNPCである。
レベルは呼び出した者のレベルと同じになる仕組みでパーティーメンバーが揃わない時などに補充戦力として利用出来るシステムだ。
ショウが『マスク』のボタンを押すとサブメニューとして使えるキャラクターの一覧が出た。
ちなみにショウのよく使っているマスクはこんな感じ。
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名前 称号 メインジョブ サブジョブ サブジョブ
トリル 王子 ナイト 戦士
シャンプー 大魔法使い 黒 白
ミネルバ 姫 召喚士 白
影丸 忍者 忍者 戦士
ゾーム 魔王 ???
余談だがショウはtamoriの基本設定としてリザードマンとオーガとその他亜人の国、『デミューズ』出身という設定でゲームをしていたのだが、連れている『マスク』は人間とエルフとドワーフの国の『ヒュムリア』のキャラクターを好んで使っていた。
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しかし、折角表示されたこちらのマスク一覧もやはり不活性でどれも名前が選択できない。
焦るショウは諦めきれず押せないボタンを何度も押しまくった。
ショウ:頼む!出てきてくれ!
すがる気持ちで最もよく使っていた召喚士ミネルバを連打する。
ショウ:クソッ!頼む!!!
すると、ようやくボタンが反応してミネルバを呼び出す事に成功した。
ショウ:キタ!!よーし!天の助けだ!
すると、機械人形の後ろにとても戦闘をする様な格好には見えない優雅な白いドレスにキラキラと輝くティアラ。白いブーツに肘近くまであるロングホワイトグローブのアナトと同じ位の年齢に見える金髪で青い瞳の少女が現れた。
髪はロングだが邪魔にならない様にキレイに三つ編み束ねてシニョンスタイルになっており、両サイドからまた小さな三つ編みで巻かれている。
凛々しく気品のある顔立ちだが、どこか生意気そうな幼さが残る姫様。そんな感じのキャラクターだ。
ゲームの設定ではヒュムリア王国の姫であり、ファーストアドベンチャー18では数々のミッションで冒険者に幾度も助けられて信頼関係にあるも冒険者への好意を隠す為にわざと偉そうにしてしまう。。といったイメージのNPCだ。
もちろんNPCなので頭の上にはMinervaと青く名前が輝いている。
ミネルバ「tamori、わたくしをこんなむさ苦しい場所に呼出すとは一体どう言うおつもりかしら?」
ミネルバ「あれ?tamori?」
ミネルバ「呼び出しておいておらぬとは何事か?」
騒がしくショウを探すミネルバに気がついた機械人形は、その不気味な面で振り返る。
ミネルバ「うぅ。。気持ち悪いですわ。。まさかわたくしにこれの相手をしろと。。?ない。。。絶対ありえないですわ。。帰っても宜しいかしら?」
機械人形「お前ナニ?!ナニ!?俺はデン助ッテンダゼ!?」
ミネルバはいかにも嫌そうに
ミネルバ「ちょっと!こちらを見ないで下さいます?汚らわしい。」
機械人形「何だお前?俺を馬鹿にしテンのか?デンと任せランねえのか?」
ミネルバ「おっしゃっている意味が良くわかりませんが、馬鹿になどしておりません。気持ち悪いと言っているのです。」
機械人形「なんだ?腐ったもんでも食ったのか?俺にデン!とまかせとけ!」
ミネルバ「はあ?」
機械人形「この爪で食った腐ったもんほじくり出してヤローか?デンとほじくり出してやるよ!な!?」
ミネルバ「話の通じない化け物のようですわね。。時間の無駄ですわね。。仕方ない、さっさと終わらせますわよ。」
と、さも早く帰りたそうにミネルバは、早々に召喚魔法詠唱ポーズに入った。
通常の魔法詠唱とは異なり本人の足元ではなく少し離れた所に大きな魔法陣が現れる。
召喚士からは淡い光と周りにエメラルドグリーンの精霊の御霊の光がいくつも現れてミネルバの周りを回る。
まるで舞っているかのような優雅な詠唱ポーズに導かれるかの様に、魔法陣の上に機械人形を上回る巨体が浮かび上がる。
それは、悪魔の様な翼と、古代魚の様な硬い金属質の鱗を持つドラゴン。バハムートだ。
そして、空中に浮かび上がるホログラムの様に現れたそれは大きく口を開き、地響きのする様な雄叫びと共にその姿を安定させた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その様子をモニターで見ていた金森は立ち上がって喜んだ。
金森「これは凄い!彼はNPCを具現化したぞ!」




