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15話 難病対策課

■前回までのあらすじ


難病ウトナイ症候群。


その奇病に特別耐性のあるイシュタルはT-SHOCK慈善事業部難病対策課に入る事を決意。


本社からヘリコプターで直接ジョンズ・ホプキンス病院にある難病対策課へやって来た。



■登場人物

イシュタル

17歳、女性

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖、男性

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖、男性

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳、女性

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖、女性

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳、女性

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



ナンシェ

24歳、女性

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店の店長

真面目で少し近寄り難い雰囲気のある



三浦シュウ

年齢不詳、男性

T-SHOCKコーポレーション専務取締役



ドラゴ・ヒーラー

40歳、男性、体重102キロ

難病対策課課長

かなり腰が低い。

メガネをかけている。





ドラゴ・コーガ

35歳、男性、体重110キロ

難病対策課

メガネをかけている。



ジェシカ・キム

30歳、女性

ヒーラーをいつも冷たく諌めている。





■その他

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店

ナズィがアルバイトをしているレストラン

イシュタルもこれから働く事になった。



ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。



ジョンズ・ホプキンス病院

イシュタル達の学校や孤児院からほど近い世界屈指の病院。

『T-SHOCK』から強力な資金と技術援助を受けており、この中にT-SHOCK慈善事業部難病対策課が設けられている。


ジョンズ・ホプキンス病院。



非常に大きな病院でこの難病対策課のある北館のビルだけでも20階建ての非常に大きな建築物だ。



そんなビルの最上階に難病対策課はある。



そして、対策課はと別に病院としての難病科が地下にある。



患者の悲鳴による『騒音』問題の為に一般病棟とは別けられているのだ。



難病医療の最前線である難病科に隣接して研究所があり、そこにサトヤマ博士を筆頭とした医師が常駐している。



ヨーコ・サトヤマは医師であり医学博士でもあるがここジョンズ・ホプキンス病院に隣接する付属の医療大学で博士号を取ったわけではない。



そもそもこのボルモチアのあるゾーン5はまだ出来て日も浅い。



当然このジョンズ・ホプキンス病院も氷河期前にあった様な権威ある病院ではなく、その当時の病院を模した新しい病院であり、学校だ。



なるのに10年はかかると言われる博士を排出する程の歴史はこの病院にはまだない。



ヨーコ・サトヤマ博士はこの難病が発見される前からヒトの細胞や遺伝子の研究実績を重ねて博士となり、それを評価されてここジョンズ・ホプキンス病院に引き抜かれてきたのだ。



現在は教授職をしながら難病科の研究と治療を請け負っている。



そのエピソードには『T-SHOCK』との繋がりが深く関係しているらしいがここでは触れない。



そして、T-SHOCK慈善事業部。



ここは主にこのジョンズ・ホプキンス病院への医療技術の提供を主な目的として活動している。



この病院での治療や研究に使うあらゆる機器は『T-SHOCK』から寄贈されている。



そして、この研究の要である細胞や遺伝子の研究も『T-SHOCK』の技術なしでは語れない程に深く、密接に関わっていた。



ここ難病対策課は慈善事業部からの技術や資金提供の『T-SHOCK』側の窓口だ。



病院側からすれば有り難い存在である一方、腫れ物の様な存在でもある。



普通ならギクシャクしそうだがこの難病対策課のヒーラー課長の人柄もあり両者の関係は良好に保たれていた。



そして今ここに新たな風が吹こうとしていた。







ナンシェ『ここです。』



ドアには『難病対策課』のプレートがついてる。



小ぎれいな病院の廊下から一歩その中に入ると、そこは外からは想像もできない程雑多で散らかった昔ながらの『会社』の雰囲気を醸し出していた。



本棚には紙ベースの資料やファイルがびっしりと詰められ、ロッカーにも年月別に紙の書類が所狭しと収められている。



棚には良く分からない装置が並び、特に課長のデスクは書類で一杯だ。



そして、そんな部屋の様子を覆い隠すような巨漢二人が扉の前に立っていた。



やたらハイテンションな年配のヒーラー課長と考え事の途中なのか半分白目を向いているコーガだ。



パンパーン!!(クラッカーの音)



ヒーラー「ようこそ!我らが難病課へ!!」



パチパチパチパチ



やはり一人でテンションの高いヒーラー課長。



突っ立ったままブツブツと何か言いながらあれは何だったかな?という顔をしているコーガに



ヒーラー「ホラ!コーガ君!君も盛り上げて!」



とコーガに詰め寄るもコーガは全くの無関心で



コーガ「あ、あぁ、はい。」



と、答えるのみだった。



イシュタルはそんなヒーラーに愛想笑いをしながら



イシュタル「あの、よろしくお願いします!」



と深々と頭を下げた。



ヒーラーは慌てて



ヒーラー「あ!すいませんすいません!むさ苦しいところですがどうぞ!」



と、ヒーラーの一番近くのひとつだけ何もない空きデスクの前まで行き



ヒーラー「こちらの席を使って下さいね!」



ヒーラー「ホラ!ジェシカ君が!コーヒーでもお出しして!」



そう言われてジェシカはキッとヒーラーを睨み、無言で席を立った。



イシュタル「あ、あの、お気遣いなく。。」



オドオドするイシュタル。



見かねたナンシェが割って入る。



ナンシェ「すいません。皆さん宜しいでしょうか?」



ヒーラー「あ、すいませんすいません。騒がしかったですか?」



ナンシェ「いえ、先に紹介させて頂きたく。」



ヒーラー「あ!そうですね!失礼しました!」



ナンシェ「いえ、ありがとうございます。」



ナンシェ「本日付けで難病対策課の非常勤係長となられたイシュタルさんをお連れしました。」



イシュタル「よろしくお願いします。イシュタル・カヤです。何かお役立てる事があると聞き、ここに来る事を決意しました。右も左も分かりませんのでご指導宜しくお願い致します。」



パチパチパチパチ!



拍手していのはヒーラーだけだ。



ヒーラー「いやぁ!ご丁寧にありがとうございます!何でも聞いてくださいね!」



ナンシェ「みなさんも御了知の通り、この件は社長自らの意向でとても関心が高いそうです。くれぐれも宜しくお願いします。」



ヒーラー「は、はい!!」



それを聞いてようやくコーガもハッとして焦り始める。



コーガ「しゃ、社長自らってヤバくないっすか?」



ヒーラー「だから言ってるでしょ!」



すると何故か変顔で答えるコーガだった。



ヒーラー「コーガ君。。今はそう言うのいいからっ!ね?」



そんな二人とは対象的なのはヨーコ・サトヤマ博士だ。



サトヤマ「宜しくお願いします。私は当病院の難病科と研究所を預かるサトヤマです。これから色々とご相談させて頂きたく思いますのでその節は宜しくお願いします。」



と、イシュタルに握手を求めるとイシュタルに近寄り



サトヤマ「一度詳しい精密検査をしてみませんか?きっと新しい発見がある筈です。」



と、イシュタルへの興味を顕にする。



イシュタル「え?え?えっと。。」



困り顔のイシュタルに気が付いたヒーラーは慌てて間に入ると



ヒーラー「博士!困りますよ!直接そんな事を頼まれては!私の仕事なくなっちゃいますからね!」



とサトヤマをやんわり制した。



ちょうどそこへジェシカがコーヒーを持って戻ってくる。



ジェシカ「インスタントですけど、どうぞ。」



そしてまだ何もないイシュタルのデスクにそっと置いた。



すると、いちいち大きな声でヒーラーはイシュタルを席へ誘導した。



ヒーラー「あ!ありがとうございます!さ!さ!イシュタルさん!こちらへどうぞ!」



イシュタル「あ、ありがとうございます。」



ほのかに香るコーヒーの香り。



砂糖もミルクも既に入っている。



イシュタル「いただきます。」



イシュタルはコーヒーを一口飲むとようやくホッと一息ついた。



イシュタル「そ、それで。。私はここで何をすれば良いのでしょう?」




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