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13話 決意

■前回までのあらすじ

『T-SHOCK』本社に招かれたイシュタルは、自身が謎の難病に対する耐性を持っている事を告げられる。


突然協力を求められ、驚きで揺れるイシュタルに専務取締役の三浦シュウはその難病に対する『T-SHOCK』の取り組みを紹介した企業PR動画を見せた。


■登場人物

イシュタル

17歳、女性

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖、男性

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖、男性

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳、女性

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖、女性

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳、女性

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



ナンシェ

24歳、女性

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店の店長

真面目で少し近寄り難い雰囲気のある



三浦シュウ

年齢不詳、男性

T-SHOCKコーポレーション専務取締役。



■その他

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店

ナズィがアルバイトをしているレストラン

イシュタルもこれから働く事になった。



ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。


「こうして、日々私達T-SHOCKコーポレーションは社会に貢献出来る会社として努力を惜しまず区と人々と共に発展していく事を目指しています。」



闘病中の家族など様々なドキュメンタリー映像が続いた後、その動画は終わりを継げた。



しばらく沈黙が続く。



その静寂を打ち破ったのはイシュタルの方だった。



イシュタル「。。。T-SHOCKはどうしてこの難病と闘っているんですか?」



三浦シュウ「。。。そうですね。あなたにはお話ししましょう。」



三浦シュウ「実は我社の社長のご子息もこの難病にかかっておられるのです。」



イシュタル「。。。え?」



三浦シュウ「症状は軽いのですが我が子がいつこういった状態になるかわからないというのは子を持つ親としては計り知れない心痛だと思います。」



イシュタル「。。。。そうですか。。」



三浦シュウ「あなたには過剰に期待するのもそういった事情があるのです。」



イシュタル「。。。。」



イシュタル「あの、私のその病気に対する耐性って他の人と比べてそんなに位強いんですか?」



三浦シュウ「これまで見つかった人を全て足してもあなたには及びませんよ。私達も非常に驚いています。」



イシュタル「そう。。ですか。。」



イシュタルは何が心に決めたような表情を見せると



イシュタル「分かりました。わたしでお役に立てるか分かりませんが何かできるならしたいと思いました。」



すると三浦シュウは席を立ち上がり喜んだ。



三浦シュウ「そうですか!良かった。良い返事がもらえて。」



そう言うとイシュタルの目の前まで歩いてきて手を差し出した。



三浦シュウ「宜しくお願いします。これできっと多くの人が救われる。」



イシュタルはその手を取って握手を交わすと



イシュタル「よ、よろしくお願いします。」



イシュタル「あ、でも。。あまり期待し過ぎないでください。。」



三浦シュウ「ハッハッハ!大丈夫!心配しなくとも結果は問いませんよ!」



イシュタル「あ、ありがとうございますっ」



その様子を見てナンシェもほっとして笑顔を見せた。



そうして、和やかな雰囲気に包まれて本社での説明会は終わった。



イシュタルはアルバイト希望だったが正社員雇用され、役職はいきなり各店長より上の本部係長となる事が告げられた。



イシュタルが一般新人として粗末に扱われないようにとの配慮だった。



また、イシュタルのたっての希望で夕方の一時間はお店の方にも立たせてもらうことになった。



そして、この日は早速研究チームのいるジョンズ・ホプキンス病院へ向った。



そう、先日健康診断を受けた病院である。



この病院の一角にT-SHOCK慈善事業部難病対策課は設けられていた。



そこでは、責任者風の人の良さそうな太った中年男性と気難しそうなこちらも太った男性社員、それから冷めた感じの女性社員が一人、イシュタルの到着を待っていた。



そわそわしているのは責任者風の中年男性一人、後はどうでも良さそうに黙々と自分の仕事をしている。



このそわそわしている男こそこの課の課長、ドラゴ・ヒーラーだ。



紛らわしい事に、その近くで気難しそうな顔をしている男性はドラゴ・コーガといいファーストネームがヒーラーと同じだ。



そこでここではヒーラーさん、コーガ君とファミリーネームで呼び合っている。



二人とも100キロ超えの巨漢でメガネをかけている。



ヒーラー「コーガ君!だ、大丈夫ですかねぇ?ちゃんときてくれますかねぇ?」



落ち着きのないヒーラー。



コーガは短髪の頭をガリガリひっかきながら



コーガ「んー?知りませんよそんな事。大体、新入社員の何も知らない女子高生が

いきなり係長ってなんなんすか?」



ヒーラー「さぁ?上層部の決定みたいですよぉ!」



ヒーラー「あ!ひょっとしてどこかの偉いさんのご令嬢とか!?緊張するなぁ。。」



コーガ「ヒーラーさん、ちょっと仕事の邪魔なんで静かにしてもらえます?」



ヒーラー「あ、すいませんすいません!うるさかったですか?だって他に相談する相手がいないから!」



コーガ「たまにはジェシカに聞いてもらって下さいよ!」



そしてそんな二人をさも興味なさそうに見ているのがジェシカ・キム。



主に事務を担当している。



チラリとジェシカを見るヒーラー。



ヒーラー「。。。ど、どうも。。」



ジェシカ「。。。課長、お暇なんですか?」



ヒーラー「。。。いえ。」



ジェシカ「では、ご自分の仕事をして下さい。」



ヒーラー「あ、はい。。すいませんすいません。」



そしてまたカタカタと無言で仕事をするジェシカだった。



ヒーラーはコーガにすり寄ると



ヒーラー「。。。ね。」



コーガ「何が「ね。」すか。シゴトして下さいシゴト!」



ヒーラーは残念そうに席に戻ると書類に目を通し始めた。



ようやく部屋が静かになった頃、内線が入る。



ジェシカが電話にでると三浦シュウからだった。


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