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8話 面接

■背景

2913年、マミイが消滅してから2年の歳月が流れていた。



ここは1区ゾーン5、旧アメリカのワシントンから東へ50キロ。メリーランド州ボルモチア跡のカプセル。



桃井に大切なマイクを投げつけて壊してしまったイシュタルはナズィの進めるバイトをする事にした。




■登場人物

イシュタル

17歳、女性

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖、男性

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖、男性

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳、女性

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖、女性

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳、女性

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



ナンシェ

24歳、女性

『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店の店長

真面目で少し近寄り難い雰囲気のある



■その他

ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。


『T-SHOCK』それはここ2年で瞬く間に1区全体にチェーン店を展開した人気レストランだ。



ライスとメインディッシュとスープの組み合わせをひとつのセットにした料理がお求め安い価格で楽しめる。



しかも、それは誰もが感嘆とする程の美味しさだった。



慢性的な食料不足により人工食料が主流なこの時代、高級店と言えども味の保証など出来る筈がなかった。



度重なる戦争でエルヴィンの残した技術もロストされて、どの区も氷河期時代を生きていくだけで精一杯だったのである。



そんな中で突然『安くて美味しい』をテーマにしたレストランが現れたのである。



人々は飛びつき瞬く間に1区のレストランチェーンのみならず世界中に人工食料を輸出するメガ企業にまでになった。



当然、イシュタルの街にも数店舗ある。



ナズィは、自宅とウルク孤児院からほど近いアッシュランドアベニューと言う通りにある『T-SHOCK』でアルバイトをしている。



『T-SHOCK』はどの店も忙しく、年中人が足りない。



ナズィも部活などが休みの日だけの出勤だがそれでも少しでいいから出てほしいと言われるほどだ。



ナズィがイシュタルに頼み込んだのもそう言う背景があった。



下校中の二人は程なくこの『T-SHOCK』アッシュランドアベニュー店に到着すると裏手の従業員入口から入店した。



中に入るとすぐ廊下でNFC(非接触通信)カードリーダー式のタイムカード読み取り機がある。



そして、一番近くに雑多な控室のような部屋があった。



ナズィは慣れた様子で



「おはようございます!こないだ言ってた学校一の超美人連れてきましたー!」



とその部屋に顔を出すと中から



「おおお!」



「さすが!」



などの数人のテンションが上がる声が聞こえた。



イシュタルが少し顔を覗かせると男性店員が二人、女性店員が二人が丁度今から夕方勤務の入れ替えで控えていた。



イシュタル「宜しくお願いします!」



イシュタルがペコリと頭を下げると男性店員達は色めき立った。



男性店員「わわ!凄い!ホントに女優さんみたいだ!よ、宜しくお願いします!!」



男性店員「ふわぁ。。。こ、こりゃどうも。。」



二人共顔が赤らむのが丸わかりだ。



女性店員達はそんな男性店員達を冷ややかに見ながらため息を付く。



女性店員「ナズィ、店長呼んでくるから奥へ通しておいて。」



女性店員「ほらほら!仕事仕事!」



男性店員「え?まだ2分あるじゃないか!」



女性店員「2分しかよ!」



男性店員「えぇー。。じゃ、また!頑張って下さいねー!」



そして男性店員達は名残惜しそうに追い立てられていった。



ナズィ「さ、こっちよ!」



ナズィに連れられて廊下をさらに進むと更衣室やトイレの奥に小さなミーティングルームがあった。



イシュタルはそこに通されて一人簡素な椅子に座った。



ナズィ「じゃ、頑張ってね!」



そう言うとナズィは先程の控室の様な部屋に戻っていった。



それから数分後、ノックと共に一人の女性が部屋に入って来た。



仕事が出来そうで清潔感もあるがどこか人を寄せ付けないようなそんな感じがする。



そういった雰囲気の女性だ。



ナンシェ「ハァイ、初めまして。私はナンシェ、ここの店長よ。」



イシュタル「ハァイ、イシュタルです。ナズィの紹介できました。」



ナンシェ「随分キレイなお嬢さんね。いい看板娘になるわ。」



イシュタル「そ、そうでしょうか。。」



苦笑いをするイシュタル。



ナンシェ「ま、人手不足でこれ以上忙しくなってもらっても困るんですけどね。」



イシュタル「そ、そうなんですか。。」



ナンシェ「それで?いつ入れるの?ナズィと一緒で部活のない日?」



イシュタル「あ、はい。。出来れば。。」



ナンシェ「そうね。。分かったわ。じゃ、次の休みから来れる?」



イシュタル「あ、ハイ!」



ナンシェ「それじゃ取り急ぎ指定した病院で健康診断だけ受けて来てくれる?一応、感染病とか発作があるような持病がある人は働けない決まりになっているの。」



イシュタル「それは次の休みまでですか?」



ナンシェ「そうね。働くのは健康診断を受けてからになるから。」



イシュタル「なるほど。。分かりました。」



ナンシェ「OK、それじゃぁ受けたら連絡してくれる?」



イシュタル「分かりました。ありがとうございます。」



イシュタル「宜しくお願いします。」



ナンシェ「こちらこそ。宜しくね!」



ナンシェ「じゃ、忙しいのでこれで。」



そう言うとナンシェは慌ただしく部屋を出ていった。



イシュタルが慌てて席を立つと入れ替わりでナズィが顔を見せる。



ナズィ「おつかれー」



ナズィ「健康診断言われたでしょ?」



イシュタル「う、うん。いつ行こうかな。。」



ナズィ「じゃ、今から行く?」



イシュタル「え!?今から?」



ナズィ「善は急げよー!」



イシュタル「で、でも時間結構遅いし。。」



ナズィ「大丈夫大丈夫!そんな時間かからないから!」



ナズィ「それに調子悪くて帰って来たんだから病院行くのは辻褄が合ってるじゃん!」



イシュタル「え?ええええ?」



ナズィ「ハイハイ!いこいこー!」



イシュタル「こ、心の準備が。。」



そしてまたナズィに無理やり連れて行かれるイシュタルだった。


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