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6話 絶対絶命

■背景

2913年、マミイが消滅してから2年の歳月が流れていた。



ここは1区ゾーン5、旧アメリカのワシントンから東へ50キロ。メリーランド州ボルモチア跡のカプセル。



イシュタルの保護者面談の為に学校に忍び込んだ桃井はイシュタルのクラスで教師ラフムに見つかる。



■登場人物

イシュタル

17歳

ポールローレンス・ダンバー高校11学年(高2)

合唱部とチアリーディング部を兼務

8年前の1区西海岸独立戦争で家族を亡くし戦争孤児としてウルク孤児院に引き取られた。



ラフム

年齢不肖

音楽教師

神がかった音楽指導能力を持つ。

人気ロックバンド『Q-WIN』のシンガー

イシュタルの合唱部のバンドディレクター



桃井

年齢不肖

ウルク孤児院の院長

旧世界のロックシンガー、フレディ・マーキュリーを崇拝

ピンクが好き



ナンナ

12歳

戦争孤児としてイシュタルと一緒にウルク孤児院に引き取られた。



リリイ

年齢不肖

3歳まで犬に育てられた。

ウルク孤児院にて保護されている。



ナズィ

17歳

イシュタルの同級生

チアリーディング部のチームメイト

ボーイッシュな金髪ポニーテールの女の子



■その他

ポールローレンス・ダンバー高校

イシュタル達の通うハイスクール



ウルク孤児院

桃井からは想像がつかないがプロテスタント系の教会の流れをくむ孤児院。


ラフム「何故学校に侵入したのかお聞かせ願えますか?」



桃井「し、侵入?違いまぁす!実はうちの娘の事でぃ相談に来たぁのです!」



ラフム「娘さん?」



桃井「はぁい。。確かに毛の事もありまぁすが。。ケ!っしてそれは本題でぃはなぁいのです。。」



ラフム:毛の事。。?



イシュタル「ナズィ。。私、気分が悪くなってきた。。」



イシュタルの顔は青ざめている。



ラフム「娘さんの事でしたら今日この後に保護者面積がありますのでそちらでお願いできますか?」



桃井「おぉ。。やはり今日だったぁのですね。。娘が何も言わないものでぃ、時間も場所分からぁず。。。それで直接聞こうと学校へ来まぁしたらこちらの窓かぁら娘の姿が見えたものでぃ。。」



ラフム「なるほど。。そうでしたか。。」



クラスがザワザワする。



「えー?誰?」



「あの変態の娘って誰だよ?」



「うわぁ。。恥ずかしい。。」



「ちょっと最悪じゃない?」



想像通りの周りの反応にイシュタルは震え上がった。



イシュタル:も、もう。。おしまいだぁぁ。。



ラフム「私の以前所属していたバンド、ラリール・レロックスのソング『ジャポネーゼタケダ』を歌われたのでてっきりコアな追っかけかと。。」



ラフム「実際、僕は貴方を幾度となく観客席に見かけています。」



桃井「はぁい。私はユーのでぃファンです。それも間違いありゃあせん。」



桃井「そして、それと同時にイシュ。。」



桃井がそう言いかけた時、ナズィが大声で割って入った。



ナズィ「先生!!イシュタルさんが気分が悪いそうです!!」



桃井がイシュタルの方に目をやるとそこには見たことも無いような鬼の形相のイシュタルがいた。



桃井「oh,,,」



ラフム「それは、いけませんね。ナズィさん、彼女を医務室までお願い出来ますか?」



ナズィ「はい。」



そして席を立つとそっとイシュタルの手を取るとイシュタルを庇う様に誘導した。



ナズィ「行きましょ。」



イシュタル達が出ていった後、教室はやはりザワザワしていたがラフムは教師らしくパンパン!と手を2度叩いて制した。



ラフム「みなさん!この話はここまでです!」



そして桃井に冷静に対応する。



ラフム「貴方のお名前は?」



桃井「桃井です。」



ラフム「ふむ、桃井と言う生徒はこのクラスにいませんよ。」



桃井「あ、それは。。」



ラフム「よく見て下さい。ここに貴方の娘さんはいますか?」



桃井「え?あ、いません。」



ラフム「きっと見間違いをしたのでしょう。」



桃井「え?いや。。」



ラフム「これ以上騒ぎを大きくすると警察を呼びますよ?」



桃井「え!?いや!。。。すいません。。」



ラフム「それでは授業が終わりましたら職員室前でお話を伺います。それでよろしいですね?」



桃井「ハイ!ありがとうございます!」



話を聞いてもらえると分かると急に元気になった桃井は



「失礼しました!」



と言うと何故か入って来た窓から出ていった。



◇  ◇  ◇  ◇  ◇



医務室



簡易ベッドに横になるイシュタル。



医務室の先生「顔色が悪いわね。熱はないようなので少し休んで様子を見ましょうか。」



イシュタル「はい。。」



ナズィ「じゃ、私はクラスに戻るね。」



イシュタル「うん。。。どうなったか連絡してね。。。」



ナズィ「まかせて!」



イシュタルの不安そうな顔にナズィも真剣な顔になる。



ナズィ「大丈夫。上手くやる。ひとつ貸しだよ!」



イシュタルはコクリとうなずくと泣きそうになりながら掛け布団をかぶった。



それからナズィは医務室を出てクラスへ戻っていった。



その後、ナズィからクラスの様子の知らせを受けるまでイシュタルにとっては長い長い時間に感じた。



そして待ちに待ったナズィからの連絡を受けたイシュタルはラフムの神対応に深く感謝するのだった。


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