33話 くるみ割り人形 2
ナノマシーンリミッターの研究室の端末に見つけたエルヴィンの隠しファイル。
そこにはられたパスワードはエルヴィンの名前ではなくウトナの名前の由来ではないかと言う疑念を抱いた時、今度はエンリルがティアマトのオーラに目覚めた。
そんなエンリルにマミイは自らも使用した未完成のナノマシーンリミッターを使う。
寝室で寝かされていたエンリルの元に突如現れたくるみ割り人形。
人形に操られてエンリルは研究室へ。
その只ならぬ気配に気付いたマミイだった。
エンキが寝室に駆寄ろうとした時にはマミイは既に廊下に出て研究室の前まで来ていた。
それを見てエンキは恐る恐る声をかける。
エンキ「マミイさん。。どうなってるの?エンリルは中にいるの?」
マミイ「。。。恐らく。でも、この気配は。。。?」
マミイ「中からとてつもない高純度のティアマトのオーラを感じます。。」
エンキ「まさかエンリルが!?」
マミイ「いえ、似ていますが何か違う気配です。」
マミイ「開けます!」
マミイは壁越しに隠れながら研究室の扉を壁に取り付けられたパネル操作で開いた。
ゆっくりと中を見る。
すると、中にはデスクで端末を操作するエンリルの姿。
マミイ「エンリル様。。。?」
それを聞いてエンキは思わず飛び込んでエンリルに詰め寄った。
エンキ「エンリル!!ここで何してるの!?一体どうしたの!?」
エンリルはエンキの方を見ると目の光が消えて気を失った。
エンキ「ちょっ。。エンリル!?とうしたの!?」
倒れ込みそうなエンリルを支えてエンキが問いかけるもエンリルには既に意識がなかった。
するとマミイは突然エンリルの胸ポケットに入っていたくるみ割り人形を取り上げて部屋の外へ投げつけた。
エンキ「どうしたの!?マミイさん。。。?」
マミイ「あの人形。。変です。。」
エンキ「変。。?」
マミイ「破壊します!」
そう言うとマミイはまたオレンジのオーラを纏い、即座に廊下に落ちたくるみ割り人形に電撃を放った。
しかしその瞬間、くるみ割り人形はマミイの方に顔を向けて大きく開けたその四角い口から電撃を吸い込むとそのままマミイに跳ね返した。
マミイ「きゃぁぁぁ!!」
プスプスと煙を上げながら思わず片膝をつくマミイ。
くるみ割り人形は紺藤色に輝かせたその瞳でマミイの目を見つめた。
すると人形と目が合った途端にマミイの身体は硬直する。
マミイ「う、動け。。。ない。。?」
くるみ割り人形は攻撃を重ねる訳でもなくマミイをしばらく見つめた。
それから、一度その小さなくるみ割り人形はエンキとエンリルの方を向くとそのまま忽然と姿を消した。
倒れ込んだマミイは右手を負傷している様だった。
エンキ「マミイさん。。大丈夫?」
マミイ「。。。はい。腕は再生も交換も出来ます。」
手のひらを見るマミイ。
人形を掴んだときに触れた部分が焼けただれている。
蘇生出来ずにオーラごと溶ける様に紺藤色の光が侵食しているのが分かった。
マミイはそれを見て迷わず自分の右腕を左手で切り落とした。
エンキ「マミイさん何を!?」
エンキは目の前の事態に全くついて行けずに只々驚くばかりだ。
珍しく息を切らしながらはマミイは切り落とした自分の腕を電撃で焼き払うと腰をついて左手で頭を抱えた。
マミイ「すいません。チカラを使いすぎました。このまま警戒しつつ少し休ませて下さい。」
エンキ「。。。わ、分かったわ。私もエンリルを休ませて来ます。」
マミイ「いえ、ここで私と一緒にいた方が安全です。少し、様子を見ましょう。」
エンキ「た、確かにそうね。じゃあ、私はエンリルに毛布を取ってくるわ。」
こうしてこの夜は警戒しながら眠らずに明かす事になった。
しかしこの時、誰も気がついていなかった。
端末にあったパスワードがこの騒ぎの中で何故か解除されている事を。




