31話 未完成なリミッター
ナノマシーンリミッターの研究室の端末に見つけたエルヴィンの隠しファイル。
そこにはられたパスワードのヒントは『エルヴィンの名前の由来』だった。
しかし、パスワードはエルヴィンの名前ではなくウトナの名前の由来ではないかと言う疑念を抱いた時、今度はエンリルがティアマトのオーラに目覚めた。
そんなエンリルをティアマトのオーラで抑えたマミイは自らも使用した未完成のナノマシーンリミッターをエンリルに使う。
エンキは事の顛末を聞くべくマミイと対面する。
その暗い部屋の小さな天井は青白くボンヤリと目に写り、よく整備されたベッドは程よい弾力だった。
ホテルなどでよくある壁に掛け布団を挟んで締め付けられた様な窮屈感もなく、空調も寒くも熱くもなく乾燥で喉が痛くなる事もない快適な部屋。
エンリルが薄っすらとその潤んだ瞳を闇の中で輝かせると意識が現実に近づくにつれて頭痛にさいなまれている事に気がつく。
エンリル「痛っ!!」
酷く頭が痛い。
身体も倦怠感で動く気力が湧かない。
枕元に置かれたコップに入った水を一口、口に含むとエンリルはまた横になる。
かすかに隣の部屋からエンキとマミイの話し声がしているのが聞こえていたが段々とそれが遠くなってまた眠りについた。
リビング
エンキ「早速だけと聞かせてもらえないかしら?まず、あなたのティアマトのオーラの事を」
マミイ「。。。はい。」
マミイ「以前にティアマトのリンクの発生条件である『神の禁忌』についてお話したと思います。」
エンキ「ええ。覚えているわ。知的な生命かもしくは人工的な疑似生命等が自然でない意図的な進化をする事。。。だったかしら?」
マミイ「大枠はそうだと思います。」
マミイ「私は機械部分を排除していくうちに機械から疑似生命の領域に入ったのだと認識しています。」
エンキ「つまり、あなたはナノマシーンを使った疑似生命または知的人工生命になったと言う訳ね。。」
マミイ「通常の進化の過程では、いきなり私の様な生命は誕生しませんので『神の禁忌』に触れたのでしょう。」
エンキ「それで、その後どうなったの?」
マミイ「身体の大半と脳の中までナノマシーン制御の細胞にや生体コンピュータになった時、ティアマトのリンクが繋がったのを実感しました。」
マミイ「それから暴走まではすぐでした。」
エンキ「それで、未完成のナノマシーンのリミッターを使ったの?」
マミイ「。。。はい。」
エンキ「それでどこに?」
マミイ「はい?」
エンキは言いにくそうに
エンキ「マミイさん。あなたはエンリルの。。。お尻に注入器具を刺しましたよね?」
マミイ「え?あ、はい。私も初め皮膚に刺さらなかったもので。。」
エンキ「それであなたもおしりに?」
マミイ「いえ、私は口にしました。」
エンキ「じゃぁ何故エンリルはおしりだったの?」
不満げなエンキにマミイは答える。
マミイ「はい、頭部は動きますし正面からはさすがに難しいかと思いまして。」
エンキ「そういう事。。。ね。」
屈託のない表情のマミイを横目に何かモヤモヤするエンキだった。
エンキ「で?あなたは60%で使用したんてでしょう?その時どうだったの?」
マミイ「私の場合はなんとかリミッターが効きましたがいくつか制限があります。」
エンキ「制限?」
マミイ「はい。私の場合は余地があってもオレンジ以上クラスを上げる事が出来ません。」
マミイ「ですのでオレンジのオーラが私の上限になります。」
エンキ「それだけ?」
マミイ「もし、オレンジ以上のオーラが覚醒すると暴走してしまう可能性が高いです。」
エンキ「ちょっとわかりにくいんだけど端的に言うとどういう事?」
マミイ「つまり、私の場合は本来の素質としては黄色までオーラを高める事が出来るのですがそれをするとリミッターが壊れてしまうのです。」
マミイ「エンリル様はまだ上限が未知数ですが今のリミッターの完成度なら黄色まで耐えれるでしょう。オレンジで一旦止めれたのは幸いでした。」
マミイ「エルヴィン様はアヌ様の子供であるエンリル様の素質はかなり高い可能性があると言っていました。青かそれ以上の可能性もあります。」
マミイ「ですので100%リミッターの完成を待つ方がいいと言っていました。」
エンキ「そう。。。」
エンキは少しほっとした表情を見せる。
エンキ「じゃあ、一旦は大丈夫なのね。。。」
マミイ「はい。」
エンキ「それにしてもマミイさん。あなたはどうしてその60%のリミッターのままなの?」
マミイ「今日の様な事がなければ上げる必要がありませんてましたので。」
マミイ「今後は上げておかないといけませんね。」
エンキ「ふーっ。。。疲れた。。。」
エンキ「今日は少し飲むわ。用意して下さる?」
マミイ「はい。すぐに準備します。」
そう言うとマミイはキッチンの方へ出ていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
深夜
エンリルが眠っていると枕元に何か気配を感じた。
ふと見を覚ますとそこには




