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19話 食料庫

700年近い長き眠りから覚めたエンキは右も左もわからなかった。



唯一の情報はエルヴィンからの短い手紙のみ。

そこから外は廃墟と化したカプセル。

そんな中、研究室の端末の情報から現在が2911年だと知る。

エンキが最後に眠りについてから700年近くも経過していた。



そして

廊下に出るとまだ奥には2つ扉が見える。



どちらかが食料庫でどちらかが生活する為の施設だ。



エンキ「確かエルヴィンの手紙では食料庫が先に出てきたからこっちが食料庫?」



エンキは手前の扉の前まで来て呟いた。



平面でノッペリした心なし重そうな扉だ。



するとここも自動でロックが外れて重そうにプシューッと音を立てながら扉が前にずれてその後スライドして開いた。



中からは冷気が漂うがどちらかと言うと外の方が寒いくらいの温度だ。



中に入るとおよそ食料庫というイメージからかけ離れた光景が目に飛び込んで来た。



まず、右手に白い石膏の様なレンガの様なものが大量に積んである。



それから何かの装置のような物が真ん中にある。



それには丁度へその高さ位に何かの取り出し口の様な物があった。



左手には密封された水槽のようなものが2つありこちらも中央に取り出し口の様な物がある。



エンキ「。。。これが食料庫?」



恐る恐るまずは真ん中の装置に近づくと装置から女性の声で音声が流れてきた。



「ご注文をどうぞ。」



キョトンとするエンキ



エンキ「ご注文?」



「ハイ、私は人工食料の調理システムです。豊富なレパートリーを搭載していますので何なりとご注文下さい。」



エンキ「へぇ、、何かオススメはある?」



「本日のオススメは、ハンバーグセット。です。」



エンキ「分かったわ。じゃぁそれで。。」



エンキが注文すると装置から何か動いている音がし始める。



「フッフーンフッフフーン♪」



鼻歌らしき音声が流れて数秒。。



ジャン!と何か完成したという感じの効果音が流れて取り出し口に何か現れる。



それは何とトレイに盛られたハンバーグとサラダのセットだった。



エンキ「わ!。。。すごい。。サラダまで。。」



エンキ「でも、穀物がないわね。。」



と、呟くと今度は右の装置から音声が



「パンになさいますか?それともライスになさいますか?」



と聞こえてくる。



エンキ「そ、それじゃパンにするわ。」



「かしこまりました。」



「それではパンの種類は何になさいますか?」



エンキ「そうね。。任せるわ。美味しいのをお願い。」



「かしこまりました。」



すると、かすかにウィーンと言う音がしてまた数秒。。



静かにコトリと音がして小皿に乗った丸く小さい品の良い感じの焼き立てパンが現れる。



「お待たせ致しました。ポン・デ・ケイジョでございます。」



エンキ「ありがとう。」



エンキはそれもトレイに乗せる。



エンキ「そう言えば水ってあるのかしら?」



と呟くと右の装置から



「リビングルームにてハウスキーパーにお申し付け下さい。」



エンキ「ハウスキーパー?他に誰かいるの?いたとしても生きている筈がないわ。」



「ハウスキーパーはアンドロイドです。定期的に起動してこの施設の管理を行っております。」



エンキ「アンドロイド。。。それもエルヴィンが作ったの?」



「はい。この施設に使用されている技術は全てエルヴィン様の開発されたテクノロジーです。」



エンキ「さすが。。。ね」



すっかり関心したエンキは食料庫を出て次の部屋、リビングルームに向かう。



そしてまた自動ドアが開き中に入るとそこは30畳はあるかと言う広々とした部屋。



壁にはいくつかドアがあり、まだ他にも部屋がある事を伺わせる。



壁の色は白いが他の部屋と同様で壁紙ではなくよく分からない素材だ。



壁際にソファがあり、手前に背の低い木目のリビングテーブルがある。



これも木目だが木ではない。



やはりよく分からない素材だ。



絨毯も壁に飾られた絵も置物を入れたガラスケースのような物すらもやはりよく見ると知っているそれでは無かった。



そんな部屋を見回しているとドアの一つがガチャリと開きエプロン姿の女性が入ってきた。



「これはエンキ様。ようこそおいで下さいました。」



そして近くまで来て深々と頭を下げて自己紹介を始めた。



「初めまして。私はハウスキーパーのマミイと申します。」



「ハウスキーパーマミイとお呼び下さい。」

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