13話 奇跡
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世界各国から核攻撃は熾烈を極め、ついにアヌの身は崩壊した。
そして奇跡は起こった。
■登場人物の紹介
◇ウトナ アヌと共にナノマシーンの研究開発を行った科学者。
◇エンキ エンリルの母
◇エンリル 12歳のアヌとエンキの息子。小さい頃から病弱だつたがナノマシーンによって奇跡的に回復するも暴走するナノマシーンの騒動に巻き込まれてしまう。
◇エルヴィン エンリルの飼っている茶色のトラ猫。
すべては偶然だった。
オイラは自分でナノマシーンを投与した。
でなければ死んでいたかもしれないしそうじゃないかも知れない。
そもそもオイラはもう死んでいるのかも知れない。
ナノマシーンの適応は間に合わなかった。
あの時オイラの体は隕石の衝突で消し飛んだ。
その時見ていたものは死んでいたオイラだった。
エンリルが強く願ったから?
気が付けばオイラは人間の記憶を持っていた。
オイラは猫になった。
いや、違う。
猫にオイラの記憶、そして魂が入ったんだ。
そして『ウトナ』は消えた。
でもハッキリとわかっている事もある。
『ここにいちゃいけない』
って事だ。
見渡す限り何もない。
ここは地球じゃないんじゃないか?と思えるぐらいだ。
紫色のオーラが小さくなっていく。
オーラの外は酷い放射と灼熱地獄だ。
でもアヌのオーラが教えてくれる。
そこにウトナという人間の通ってきた軌跡がもつれ合って空間と繋がっているのがわかるだろうと。
「わかったよアヌ、エンリル達はオイラが安全な所まで連れて行くよ。」
エルヴィンはそう言うと白く輝きエンリルとエンキを包んで姿を消した。
1区で一番西にあるロサンゼルスのナノマシーン研究機関へテレポーテーションしたのである。
ここはウトナと繋がりの深い場所でもあった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「私達は死んでしまったの?」
エンリルを抱きしめながらエンキは何が起きたのか理解が追いつかない容子だ。
見渡せば白い壁に囲まれた小さな部屋。
窓があるがカーテンがかかっていて外の様子は伺えないが先程とさほど時間は経っていないだろう日中なのは分かる。
街中なのか外からは聞き覚えのあるパトカーや救急車等のサイレン音や騒がしい街の音が聞こえてきている。
その音を聞いてやっとエンキはどこか1区内の街に逃げ出せた事を理解した。
エンキ「一体どうやって。。。?」
エンキの腕の中でエンリルは気を失っている。
そしてふとエンリルの抱いているエルヴィンの死体を見た。
その時、かすかにエルヴィンが動いて見えた。
すると
エルヴィンはパチリと目を開いてエンキを見た。
エルヴィン「やぁエンキ!今、オイラが生きているって思っただろう?」
エンキ「え?何!?喋ってる!?」
驚くエンキをよそにエルヴィンはエンリルの腕の中からひょいと出てきてエンキに近寄る。
エルヴィン「ありがとう。お陰でオイラまだ役に立てそうだよ。」
エンキ「あなたは一体。。?」
エンキ「本当にあのエルヴィンなの?」
エルヴィン「そうだよ!オイラ、エルヴィンだよ。」
エンキ「どうして喋っているの?」
エルヴィン「うーん。さっきので何かウトナって人と混ざっちゃったみたい。」
エンキ「混ざるって。。。そんなこと。。?」
エルヴィン「良くわかんないけど、きっとオイラが特別って事だよ。」
困惑するエンキとは対照的に落ち着いた様子のエルヴィンはエンキにウトナとしての本題に入る。
エルヴィン「ところでエンキ、エルヴィンもいつ覚醒するか解らないからナノマシーンの暴走を制御出来るようになるまでコールドスリープに入れてその進行を止めたいんだけど。」
エルヴィン「ここの施設ならそれが可能なはずなんだ。」
エルヴィン「でも、今のオイラの姿じゃ機械を操作できないから。。」
エンキ「私に何か出来る?」
エルヴィン「ここの設備を使いたいんだ。エンリルを運んで指示通りに操作してくれればいいよ。」
エンキ「でも私達は狙われているんじゃないかしら?」
エンキ「だとしたら、この部屋から出たら捕まるんじゃ。。?」
エルヴィン「そうだね、それについてちょっと気にかかってる事があるんだ。」
エルヴィン「ちょっと待ってて!」
そう言うとエルヴィンの姿は忽然と消えた。
エンキは驚いて目を丸くするばかりだった。




