地球侵略漫才
円盤から舞台に降りる二人。
ツッコミ「よろしくお願いします」
ボケ 「今日は僕たちの母星だけでも覚えて帰ってくださいね」
ツッコミ「ハードル高いな、いきなり」
ボケ 「(無視して)子供の頃の遊びって懐かしいよね」
ツッコミ「ああ、ドッジボールとかね」
ボケ 「ネソンヴェルロとか」
ツッコミ「10回クイズとかもやったよね」
ボケ 「あとリパードゥッセも」
ツッコミ「地球人が知ってる遊びを言ってくれないかなあ。急にネソンヴェルロって言われてもお客さんポカーンだから」
ボケ 「ちょっとここでやってみたいなと」
ツッコミ「ネソンヴェルロを?」
ボケ 「いや10回クイズを」
ツッコミ「そっちかよ。まあいいや、ピザって10回言って」
ボケ 「ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ」
ツッコミ「ここは?」
ボケ 「触手」
ツッコミ「いや、そうなんだけど。今のは俺が悪かった」
ボケ 「後で触手をライターであぶる刑な」
ツッコミ「何それ超怖い」
ボケ 「次やったら触手をライターであぶって、マヨネーズつける刑な」
ツッコミ「おつまみみたいになってるじゃん」
ボケ 「他にないの、10回クイズ」
ツッコミ「じゃあみりんって10回言って」
ボケ 「みりんみりんみりんみりんみりんみりんみりんみりんみりんみりん」
ツッコミ「鼻の長い動物は?」
ボケ 「ジェゲゲド、もしくはアスーミルミス」
ツッコミ「だから地球の動物で答えて」
ボケ 「この遊び面白くないな」
ツッコミ「大部分おまえのせいだよ」
ボケ 「(無視して)結婚したいよね」
ツッコミ「急すぎるんだよ、話を変えるのが。相手とかいるの?」
ボケ 「それがいないんだよ」
ツッコミ「まあ、母星を離れてるから出会いはなかなかないだろうね」
ボケ 「だからその辺の地球人を適当に捕まえてこようかと思って」
ツッコミ「それは犯罪だね。絶対やめて」
ボケ 「結婚が無理なら子供だけでもほしい」
ツッコミ「ずいぶん切実だな」
ボケ 「だからその辺の地球人を適当に捕まえてこようかと思って」
ツッコミ「だからじゃねえよ。やめろって言ってるだろ」
ボケ 「もう、独り身だと寂しくて寂しくて。最近は家で分裂して寂しさを紛らわしてるの」
ツッコミ「分裂?」
ボケ2 「こんなふうに」
ツッコミ「いきなり増えるなよ」
ボケ3 「まだまだいくよ」
ツッコミ「ここで増えなくてもいいだろ」
ボケ4 「これで四人家族みたいになって、みんなでドライブ行ったり」
ツッコミ「気持ち悪いよ。全員同じ顔しやがって」
ボケ1 「途中でハンバーガー買おうとしたら、ドライブスルーで『円盤の方はちょっと……』なんて言われて」
ツッコミ「車で行けよ。ていうか、その店員も気にするところおかしいだろ」
ボケ2 「けど分裂しても自我は共通だから、子供とはやっぱり違うんだよね」
ツッコミ「そりゃそうだろ。おまえがやってるのって、大家族が全員ビッグダディみたいなことだからね。傍から見たらすげえ気持ち悪いから」
ボケ1 「気持ち悪いって言うな」
ボケ2 「そうだそうだ」
ボケ3 「そうだそうだ」
ツッコミ「ハモるなよ。そういうところが気持ち悪いんだよ」
ボケ4 「……」
ツッコミ「おまえは合わせろよ。同じ自我じゃねえのかよ」
ボケ 「ちょっと面倒だから融合するね」
ツッコミ「うわ、一人に戻った。けどなんで最初よりデカくなってるんだよ」
ボケ 「君は質量保存の法則を知らないのか」
ツッコミ「知ってるけど、おまえが法則から外れてるんだよ」
ボケ 「でもね、分裂してるといいこともあるんだよ」
ツッコミ「どんな時だよ。気持ち悪いだけじゃねえか」
ボケ 「四人でネソンヴェルロする時とか」
ツッコミ「いいかげんにしろ」
円盤に乗りこんだ二人、レーザービームで客席を攻撃し始める。