73話 巨大な魔族
暫く放置してました。すみません。
これから更新していきたいと思います。
どうか見捨てないで下さい( 。゜Д゜。)
活動報告も書いたので見てもらえると嬉しいです( =^ω^)
地中から僕達の前に姿を現した魔族。
リバーズルと同じく尻尾が二本、腰の辺りでウネウネと動いている。
人間の何倍もある大きな体。
上半身は裸で分厚い筋肉に覆われた、赤紫色の肌をした巨大な魔族。
それにしたってデカ過ぎる…………普通の家くらいの大きさはあるんじゃないか?
「かかれーッッ!!!!」
誰もが突如として地中から這い出た魔族に対し、呆気にとられて動けないでいた中、ザナトスさんが騎士団に指示を出し、自らも盾を構えながら向かっていく。
「ガハハハハッ、相変わらず直ぐ死ぬなぁ、お前ら人間は!!」
握り潰した人間を見て豪快に笑う魔族を、騎士団が取り囲む。
「ワラワラと虫みてぇに湧いてきやがって。――――ほらよ、お前らの大事な仲間を返すぜ!!」
「――――なっ、貴様ぁッッ!!」
一体どれ程の力を込めればこうなるんだろうか……
挑発するように魔族が手の内にある、潰した人間を見せつけた後で、勢いよく投げつけた。
魔族の投げつけたかつて人間だった肉塊は、騎士団の包囲の一部分を突き破り、そのまま僕達の方へと勢いそのままですっ飛んできた。
「危ないっ!!」
ラナやナタリア王女を守らなければと、僕は剣を抜き前に出たが…………
「させませんわ!!」
それよりも速く、ルシアナの羽織っていたローブが拳の形へと変化して、飛んできた物体をなんなく弾いてみせた。
というより、反射的に前に出たはいいけど僕はどうするつもりだったんだろうか。
ルシアナが何とかしてくれてなかったら、間違いなく吹き飛ばされていたと思う…………
「ほほう。今のを弾くか。さっきの魔術といい、中々に遊びがいのありそうなのがいるな」
囲まれてるのを物ともせず、その巨大な手で騎士団の人達を吹き飛ばしながら、僕達の方へと迫る魔族。
何てことだろうか。
魔族は羽虫でも払うかのように手を振ってるだけなのに、それだけで、何十何百という人が死んでいく……
騎士団も負けじと剣で斬りつけたり、槍で突いたりしてるんだけど、魔族は微動だにしない。
逆に武器の方が折れたりしている。
どれだけ頑強な体をしてんだ…………
「ちょっと何なのよあいつ、明らかに私達のほうに向かってくるわよ?」
「そうですね。ですが、先程の攻撃でラゼルが危険な目にあったのは事実です。斬り殺しましょう」
リファネル姉さんとレイフェルト姉が、それぞれ戦闘に備え剣を構える。
「ルシアナ、貴女はラゼル達を守るのよ?」
レイフェルト姉の「達」という言葉に僕は安心した。
僕だけじゃなくラナ達のことも、守る範囲に入っているってことだ。
「ええ、お任せを。傷ひとつ負わせませんわ。さぁお兄様、私の後ろにいて下さい」
戦闘に加われない僕は、ルシアナの後ろへとおとなしく下がる。
「ありがとうルシアナ。ラナと王女様も早くこっちに」
こういう場面に出くわす度に思う。
僕にも戦えるだけの力があればと。
「……そ、そんな……騎士団の方々が…………あんなにもあっさりと」
自分の国の兵達が次々と死んで行く現実を前に、目を伏せるナタリア王女。
「ラゼル様、あれはいったい何なのでしょうか?」
「多分魔族だと思う。姉さん達がいうにはシルベストを襲った魔族と同じか、それ以上の強さだって……」
「…………リファネルさんとレイフェルトさんは大丈夫ですよね?」
不安そうな顔で僕を見るラナ。
正直な意見を言わせてもらうと、ルシアナの魔術を耐えた時点で、僕も不安しかない。
きっと今までで一番の強敵だと思う。
「大丈夫だよ。ラナも姉さん達の強さは知ってるでしょ?」
震えながら僕の腕を掴むラナの手を、そっと握り返す。
「ラゼル様……」
「お兄様? 何で手を握る必要があるのですか? 浮気ですか?」
ラナの手を握った途端、ルシアナの魔術によって形成されたローブの腕が、僕とラナの間に入ってきた。
「浮気って……僕達は兄妹だよルシアナ」
「何を仰いますか。私のお兄様への愛の前には、兄妹だとかそんなものは関係ありませんわ!! それにシルベスト王国に戻ったらキスしてくれると言ったではありませんか!! それは即ち、結婚ということですよね!?」
うん、違うね。
そういうことを言うと、ラナに変な目で見られるからやめてほしい。
けど今はそんなことを言い合ってる場合じゃない。
「落ち着いてルシアナ、もうすぐそこまで魔族がきてるってば」
気付けば魔族は既に、姉さん達と相対していた。
僕はラナの微妙な視線を背中に受けながら、姉さん達へと目を向けた。