52話 仲直り
何でこのタイミングでラナが?
「ラナではありませんか、何故ここに?」
リファネル姉さんも不思議そうに、首を傾げてる。
「お姉様が武装して城を出たので、もしやと思いついてきました」
ラナはハナさんと仲直りしたがっていた。
表面上は仲が悪くても、傷だらけでボロボロのハナさんを放っておけなかったのかもしれない。
「そうですか。では退いて下さい。私はこれからそこの女に、罰を与えねばならないのです」
喋りながらも歩き続け、ラナの前まで近付いた所で、一旦動きを止める。
「……退きません!! もうお姉様はボロボロです。すでに決着はついてます」
「私は大丈夫だから、あんたは城に帰りなさいよ」
「いいえ、帰りませんし、絶対に退きません」
妹のラナが来たからだろうか、ハナさんは先程までの取り乱した口調ではなかった。
「本人もそう言ってます。それに、こんな姉を庇う必要はないと思いますが」
「…………わかってます。きっと今回の事もお姉様から仕掛けたのでしょう。それにお姉様は私を嫌っています。でも…………」
ラナは目に涙を浮かべながらも、決してそれを溢さないように、堪えながら、言葉を絞り出す。
「それでも、目の前でボロボロのお姉様を放っておくなんてできないんですっ! 例え嫌われていようとも、私はお姉様を嫌いになんてなれないんですっ。だからっ…………これ以上、お姉様に酷いことしないでっ!!!」
ラナがこんなにも感情的になってる所は初めて見たかも。
もう涙は堪えられなくなり、ポタポタと地面に落ちている。
姉さんは黙ったまま、動かない。
何か考えているのだろうか?
「リファネル姉さん、もし僕の事で怒ってくれてるんだとしたら、もう大丈夫だからさ。ね?」
「ラゼルがそう言うのなら、今回は許してあげましょう…………次はありませんからね?」
ニッコリとハナさんに微笑むリファネル姉さんだが、目は笑ってない……
「ごめんねラナ、僕達はもう帰るよ。一人で大丈夫?」
この二人を残して帰るのは少し不安だが、いい機会かもしれない。
二人きりで話をすれば、仲直りのきっかけにもなるかも。
「は、はい。大丈夫です。すいません、声を荒げてしまって」
涙を拭いながら、なんとか平静を装うラナ。
「じゃ、僕達は帰ろっか、行こう」
ラナ達を残し、僕達は家に帰る。
あの二人は大丈夫かな? 上手く行くといいけど…………
※ラナ視点
「お姉様……大丈夫ですか?」
私はボロボロの姉に、手を差し伸べた。
余計な事をしたのはわかってますが、傷ついて倒れてるお姉様を見て、気付いたら飛び出てました。
「…………ありがと……」
私は目と耳を疑った。
一応、手を差し伸べましたが、プライドの高いお姉様の事だから、きっと私の手なんか借りずに自らの力で立ち上がると思っていました。
それが、手を握るどころか、お礼までいわれるなんて…………。
ビックリです。
どういう心境の変化でしょうか?
「肩を貸しますので、城に戻りましょう」
お姉様と一緒に、城への道を歩く。
いつぶりでしょうか、お姉様をこんなにも近くに感じるのは。
「…………ってないから」
「はい? なんですか?」
お姉様が何か言ったような気がしましたが、上手く聞き取れませんでした。
「だから、別に貴女の事、嫌ってないって言ったの!!」
「え……? 私はずっと嫌われてると思ってましたが……違うのですか?」
「貴女が最初に、私を無視したんじゃない!! それで、ムカついて……………………」
確かに、昔の私はお姉様に嫉妬していて、嫌な態度をとったり、時には無視もしたかもしれません………
「ごめんなさい……あの頃の私は、お姉様の才能に嫉妬していて…………才能に恵まれたお姉様が眩しくて…………本当にごめんなさい」
昔を思い出すと、また涙が溢れてきた。
そうです。もとはといえば、私が原因なのに……
「あぁ、もう鬱陶しいわね! いちいち泣くんじゃないわよ」
「だって……私は、下らない嫉妬心でお姉様に嫌な態度をとって……それで…………」
「……いいわ、許してあげる」
「え?」
「さっき私を庇ってくれたでしょ? あれでチャラにしてあげるわ。私も大人気なかったわ…………ごめん」
「……ふぇ…………ふぇぇーん……!!」
「え? ちょ、ちょっと? どうしたのよ急に!?」
お姉様と仲直りできた安堵からか、私は大泣きしていた。
「ふぇぇん、だって、私、ずっとお姉様と仲直りしたぐて、だから……うれしくてぇっ」
「ちょ、私怪我人なのよ? あんましこっちに体重かけないでよ!」
「ごめんなさいぃー、ぐすっ」
そうでした、仲直りできたのは嬉しいですが、今はお姉様の傷の手当てをしないと。
『魔王(女)が臭い足を舐めさせようとしてくるんだが』
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もしよかったら此方もみて下さい♪(*・ω・)